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量的形質座位(りょうてきけいしつざい、Quantitative trait locus、'''QTL'''と略す:量的形質[[遺伝子座]]ともいう)とは、量的[[形質]]がどように生物に表されるか関連す影響を与える[[ゲノム染色体]]上の[[DNA]]領域ことである。そのDNA領域は、シス因子(後述)であることもあり、必ずしも[[RNA]]に[[転写]]される[[遺伝子]]であるとは限らない。
 
量的形質とは人間の身長や木に実る果実数のように連続した実数あるいは整数で示される形質であり、る。それと対をなす質的形質は人間のABO式血液型や米のモチ・ウルチ性のように不連続で質的な変異違いとして示される形質である。質的形質を遺伝的に支配する座位(遺伝子座)単一またはごく少数あるいは単の遺伝子座の影響を受けるが、量的形質を支配するQTL多数存在しており、複数の異なる[[染色体]]に存在すの多数のQTLの影響を受けことも多い
 
ある量的形質一般関与するQTLの作用力は個々のQTLごとに異なることが多い。形質の[[表現型]]は、関与するQTLの相加効果、[[超優性]]効果(ヘテロシス)および遺伝子座間の相互効果([[エピスタシス]])などの[[遺伝効果]]および[[環境効果]]の合計として観察される。
 
QTLは形質に関連する遺伝子(Quantitative Trait Gene、QTG)の候補を見出す手段としても有用である。同定したQTLの配列決定を行い、すでに明らかになっている遺伝子あるいはゲノムの配列データベースと比較する。このようにして形質と直接的に関連している遺伝子があればそれを明らかにすることができる。
 
QTLに関する情報を得るには、すでに知られている[[標識遺伝子]](マーカー)とQTLの[[連鎖]](共に遺伝する確率≒[[遺伝的距離]])およびQTLの作用力を調べる方法([[連鎖分析]])が取られる。具体的には[[遺伝子型]]が異なる個体からなる集団について調査を行い、標識遺伝子の遺伝子型と形質の表現型の関連を[[統計学]]的に解析する。この連鎖分析によってQTLの情報を得る過程を、既存の[[連鎖地図]]にQTL情報を加えることから、マッピング(mapping)とも言う。
QTLの位置を明らかにするには、形質と[[染色体]]上のマーカー配列を[[統計学]]的に比較して[[遺伝子地図]]にする方法がとられ、これをQTLマッピングという。複数の遺伝子またはマーカーが互いにどのような関係にあるか([[連鎖]])、またそれぞれが表現型に有意な影響を与えるかどうかを明らかにするのに統計学的な方法が必要とされる。
 
最近発展してきた方法では、QTL解析と遺伝子発現プロファイリング([[DNAマイクロアレイ]]を用いて発現パターンを調べる方法)が組み合わせて用いられている。このような発現QTL(e-QTL)を用いると、疾病など形質に関連する遺伝子そのものの他、その発現に影響する調節因子(遺伝子近傍にある調節配列などのシス因子、および遺伝子に結合する[[転写因子]]の遺伝子などのトランス因子)を明らかにすることが可能である。