「日本の漫画」の版間の差分

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=== 語源 ===
[[Image:Hokusai-MangaBathingPeople.jpg|300px|thumb|葛飾北斎『北斎漫画』]]
「漫画」という言葉は字義的には「気の向くままに漫然と描いた画」という意味の日本で生まれた和製漢語であり<ref>『 Manga Discourse in Japan Theatre』 Fukushima Yoshiko 2013年 p19 ISBN=9781136772733</ref>、[[1798年]]に発行された[[山東京伝]]による絵本『[[四時交加]]』の序文にその初見が見られ、「気の向くままに(絵を)描く」という意味の言葉として「漫畫(画)」が使用されている<ref>{{Cite web| url = http://heartland.geocities.jp/hamasakaba/44kyoden/ | title = 『山東京伝による絵本』一覧 |accessdate=2018-05-17}}</ref><ref name="四時交加">{{Cite web| url = http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2534277/5?contentNo=5&itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F2534277&__lang=jp | title =『四時交加』(国立国会図書館) |accessdate=2018-05-17}}</ref><ref name="Shijinoyukikai">「平常、舗中ニ在ツテ梧ニ凭リ、偶、夫ノ貴賎士女老少等ノ大路ニ交加スル所ヲ'''漫畫'''シ」 山東京伝『四時交加』(1798年) 序文</ref>。この語は[[1814年]]の[[葛飾北斎]]の[[北斎漫画]]により「漫画」は戯画風のスケッチを指す意味の言葉として広まった。『北斎漫画』は絵手本(スケッチ画集)であったが戯画や風刺画も載っていた<ref name="北斎漫画">{{Cite web| url = http://www.dh-jac.net/db1/books/results.php?f39=%2A%2F000&f40=SB4738&-sortField1=f39&skip=0&enter=portal | title = 『北斎漫画』一覧 |accessdate=2018-05-17}}</ref>。北斎漫画は第二次世界大戦後も版行されるロングセラーとなり幅広い層に愛読された。この影響を受け、[[尾形光琳]]の『光琳漫画』(1817年)などいくつもの戯画風の絵を載せた書籍が「 - 漫画」というタイトルになっている<ref>{{Cite web| url = http://www.dh-jac.net/db1/books/results-thum.php?f1=BM-JH259&f12=1&-sortField1=f8&-max=30&enter=portal# | title = 光琳漫画 |accessdate=2018-05-17}}</ref>。明治時代に入っても月岡芳年の『芳年漫画』(1885年)など「 - 漫画」の伝統は失われていない<ref>{{Cite web| url = http://archive.library.metro.tokyo.jp/da/research?q=%E8%8A%B3%E5%B9%B4%E6%BC%AB%E7%94%BB&dispStyle=thumb&sort=%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%AB_STRING+asc%2C+METADATA_ID+asc | title = 芳年漫画 |accessdate=2018-05-17}}</ref>。山東京伝に「漫画」という語を使用されいて以来の「気の向くままに(絵を)描く」という意味に近く、現代語の「漫画」と同じ意味とは言えない。
 
日常語として「漫画」という言葉が使われ始めたのは昭和時代からで、それまでは「ポンチ」や「鳥羽絵」、「狂画」、「戯画」などと呼ばれていた。風刺(コミカル)など現代人と同じ意味で「漫画」という語を使い始めたのは明治時代の[[今泉一瓢]](いまいずみ いっぴょう)である。一瓢は1895年10月31日、風刺画を中心とする『一瓢漫画集初編』を出版、"caricature"または"cartoon"の訳語として「漫画」を用いている。一瓢は、一瓢雑話において「漫画というものは、一口にいえば滑稽書であって、その内に風刺的なものを含んだのもある、また含まないのもある。日本に昔からあるものは俗に鳥羽書、あるいは北斎漫画のやうな類の書であって、この他にはオドケ書と云う」と論じた<ref>今泉秀太郎(今泉一瓢)述、福井順 速記、『一瓢雑話』、国立国会図書館、 p1</ref>。明治期に日本に入ってきた"cartoon"と"comic"の訳語として「漫画」という言葉を使用したのは、[[北澤楽天]]が最初であり<ref name="Manga no Jiten_02">清水 勲 『日本 漫画の事典』 p102-103</ref>、以後この意味での「漫画」が現代における漫画という語へ定着するようになった。<ref name="hyo2002-2-1">{{cite web| last =美鈴| first =窪田| url =http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/81002824.pdf| title =視覚伝達メディアとしての尾竹国観の「ポンチ」| publisher=神戸大学表現文化研究会| format =PDF| work =「表現文化研究」第2巻第1号2002年度| pages =11-30 |accessdate=2011年8月28日 }}</ref>
 
「漫画」という語は前述の通り、山東京伝による『四時交加』以来使われてきた語であるが、別の語が変化した語であるという主張もある。中国から伝わった「気の向くままに(文章を)書く」という随筆を意味する漢語「漫筆」が日本で「漫筆画」を経て「漫画」になったとする説<ref name="Manga no Jiten_01">清水 勲 『日本 漫画の事典』 p53 ISBN 4-385-15586-0 </ref>や、中国語名で「漫画(マンカク)」という[[ヘラサギ]](箆鷺)の一種が、雑食で水をくちばしでかき回して何でも乱雑に食べることから「種々の事物を漁る」「様々な事柄を扱う本」を指す意味になったとする説である。『日本近代漫画の誕生』は「マンカク」が戯画の意味を持たないことを指摘し前者を支持しているが、『四時交加』、『北斎漫画』といった由来となっている文献にそれらを示す要素があるわけではない<ref name="四時交加"/><ref name="北斎漫画"/>。
 
「漫画」という語は外国にも輸出され、"manga"の綴りでヨーロッパ語圏でも通じる日本語の一つになった。なおヨーロッパ語圏で"manga"は、日本の漫画のみを指す言葉である<ref name="definmwo">{{cite web|url=http://m-w.com/dictionary/manga|title=Definition of manga|publisher=Merriam-Webster Online|accessdate=2008-05-15}}</ref><ref>ドイツ語版ウィキペディア「[[:de:Manga|Manga]]」、スペイン語版ウィキペディア「[[:es:Manga|Manga]]」など</ref>。[[アラビア語]]では、Manjaと呼ばれている<ref>[http://publications.nichibun.ac.jp/ja/item/symp/2007-12-20/pub アラブ社会における日本のアニメ・マンガの影響]{{リンク切れ|date=2017年10月 |bot=InternetArchiveBot }}保坂修司、国際日本文化研究センター, 2007.12.20. </ref>。