「デンプン」の版間の差分

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== 分子構造 ==
デンプンはその構造によって[[アミロース]]と[[アミロペクチン]]に分けられる。アミロースは直[[鎖]]状の分子で、[[分子量]]が比較的小さい。アミロペクチンは枝分かれの多い[[分子]]で、分子量が比較的大きい。アミロースとアミロペクチンの性質は異なるが、デンプンの中には両者が共存している。デンプンの直鎖部分は、[[グルコース]]がα1-4結合で連なったもので、分岐は直鎖の途中からグルコースのα1-6結合による。アミロースはほとんど分岐を持たないが、アミロペクチンは、平均でグルコース[[残基]]約25個に1個の割合でα1-6結合による分枝構造をもつ(直鎖部分の長さは18〜24残基、分岐間は5〜8残基の間隔がある)。また、アミロースの中にはα1-6結合を持つものも少量あり、中間体と呼ばれている。なお、動物における貯蔵多糖として知られる[[グリコーゲン]]はアミロペクチンよりもはるかに分岐が多く、3残基に一回の分岐(直鎖部分の長さは12〜18残基、分岐の先がさらに分岐し、網目構造をとる)となり、アミロースやアミロペクチンとは区別される。トウモロコシの種子などでもこのグリコーゲンの顆粒が存在する。
 
α-グルコース分子が直鎖状に重合している部分は、[[水素結合]]によりα-グルコース残基6個で約1巻きの[[ラセン]]構造となっている。また、ラセン構造同士も相互に水素結合を介して平行に並び、結晶構造をとる。分子は二重螺旋状態での結晶と、一重螺旋状態での結晶を作りうる。まず二重螺旋状態の結晶には、お互いのグルコース残基上の水酸基同士で直接水素結合を形成するタイプ(A型。コーンスターチなどの穀類由来のものがこの形)、間に水分子一層をはさむタイプ(B型と呼ぶ。馬鈴薯などの根茎・球根由来のものがこの型)と、両者の混合したタイプ(C型。根由来のもの)がある。また一重螺旋状態の結晶はV型と呼ばれ、天然ではデンプン顆粒に含まれる油脂成分がアミロースの一重螺旋のなかに包接された、包接錯体として存在している。
 
== デンプンの生合成 ==
デンプンは植物の[[プラスチド]]で生合成され、特にデンプン合成が盛んでデンプンを貯蔵しているプラスチドを[[アミロプラスト]]とよぶ。細胞質からプラスチドに輸送された[[グルコース-1-リン酸]]や[[グルコース-6-リン酸]]や[[ADP-グルコース]] ([http://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?cpd:C00498 ADP-glucose]) はプラスチド中で最終的にADP-グルコースとなり、ADP-グルコースのグルコース[[残基]]はデンプン合成酵素 ([http://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?ec:2.4.1.21 starch synthase], EC 2.4.1.21, [http://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?reaction+R02421+R06049 反応]) によって伸長中のアミロースやアミロペクチンの[[非還元末端]]のグルコース残基の4位の[[水酸基]]と[[脱水縮合]]して新たなα-1,4グルコシド結合を形成して取り込まれる。プラスチド中のデンプン合成酵素はデンプン粒結合型デンプン合成酵素 (GBSS: granule-bound starch synthase) と可溶性デンプン合成酵素 (SSS: soluble starch synthase) に大別される。GBSSはアミロースの生合成に関与している。SSSによって合成途中のα-1,4[[グルコシド結合]]のグルコース残基の直鎖が、枝分かれ酵素 ([http://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?ec:2.4.1.18 branching enzyme], EC 2.4.1.18, [http://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?reaction+R02110+R06186 反応]) によって一部切断され、その切断されて生じた還元末端のグルコース残基の1位の水酸基と直鎖部分の中間のグルコース残基の6位の水酸基の間でα-1,6グルコシド結合が生じる。こうして生じた分子中に存在する複数の非還元末端はSSSによって伸長するとともに枝分かれ酵素によって新たに非還元末端の側鎖が次々と形成される。余分なα-1,6グルコシド結合部分は[[枝切り酵素]]によって切断され側鎖は整理されて、アミロペクチンは合成される。つまり、アミロースとアミロペクチンの含量はGBSSとSSSの活性によって制御されている。よって、GBSSが欠損していればアミロペクチンのみを含む[[モチ]]性となり、SSSの活性が低下していると高アミロース含量となる。