「広島小1女児殺害事件」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
m 括弧付き記事へのリンク
編集の要約なし
31行目:
|参照法条=刑事訴訟法294条、刑事訴訟法379条、刑事訴訟規則208条
}}
'''広島小1女児殺害事件'''(ひろしましょういちじょじさつがいじけん)は、[[2005年]](平成17年)[[11月22日]]に[[広島県]][[広島市]][[安芸区]][[矢野 (広島市)|矢野西]]で帰宅途中の女子児童が[[ペルー人]]の男によって[[わいせつ|強制猥褻]]のうえ、[[殺害]]された事件である
 
== 状況 ==
11月22日午後、下校途中の女子児童(当時7歳)が学校を出てから[[行方不明]]となり、同日17時頃に空き地に放置されていた段ボール箱の中から[[遺体]]となって発見された。死因は絞殺による窒息死で、推定死亡時刻は13時から14時。遺体の下半身には[[性的暴行]]の際に受けたと思われる指で傷つけられた痕跡が存在していた。頬には涙の跡があった。
 
[[広島県警察]][[海田警察署|海田署]]の[[捜査]]により、遺体が入れられていた段ボール箱から[[東広島市]]のホームセンターで売られていたガスコンロを購入した顧客が割り出された。これを受けて29日夜、事件現場の近所に住んでいた自称日系ペルー人の男(当時30歳と自称していたが、後に33歳であることが判明)が[[指名手配]]され、この男は翌30日に[[三重県]][[鈴鹿市]]内の親族宅で[[逮捕]]された。
 
この男はペルー国内でも未成年者に対する3件以上の[[婦女暴行]]をしたとして指名手配されていたため、本名を偽って[[就労ビザ]]を取得したうえで2004年4月に日本に渡航していたことが判明した。男は当初は三重県に在住し、2005年夏頃に広島県に引っ越していた。母国には被害者と同じくらいの年齢の子供を残してきていた。
46行目:
 
『[[週刊文春]]』2005年12月8日号では、段ボール箱を封印する際のテープの型が、当時、『[[週刊少年ジャンプ]]』で連載中であった漫画『[[魔人探偵脳噛ネウロ]]』に登場していたものに似ているとの記事が掲載された。また、[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]の『[[NNNニュースプラス1]]』でも同様の報道がなされた。
逮捕された犯人は日本語を満足に話すことも出来ない外国人なので、記事内容は全くの的はずれであった。この指摘は事件報道での再現映像において段ボール箱にビニールテープが漫画内の怪盗殺人鬼"XI"の字の形に巻かれていた事から来ていると見られるが、その段ボール箱は再現映像のために作られた別物で実際に犯行に使われた段ボール箱の状態とは全くの無関係であった。このことから、マスメディアによる強引なこじつけであったと考えられる。
<!-- ノートを参照ください。
 
逮捕された犯人は日本語を満足に話すことも出来ない外国人なので、記事内容は全くの的はずれであった。この指摘は事件報道での再現映像において段ボール箱にビニールテープが漫画内の怪盗殺人鬼"XI"の字の形に巻かれていた事から来ていると見られるが、その段ボール箱は再現映像のために作られた別物で、実際に犯行に使われた段ボール箱の状態とは無関係である。このことから、マスメディアによる強引なこじつけであったと考えられる。
-->
 
=== 実名報道の是非 ===
当初、被害女児の実名は[[報道]]されていたが、性的暴行を受けた事が判明したため各種[[報道機関]]は遺族の感情を考慮するという名目の下、[[実名報道]]を取りやめた。しかしその後、被害者遺族が氏名報道を行うこと、性犯罪が行われた事実を報道することを各種報道機関に要請したため、実名報道及び性犯罪に関する報道も復活する形となった。
 
== 裁判 ==
容疑者は取り調べに対し「悪魔が乗り移った」などと主張し、[[広島地方裁判所]]における[[第一審]]では[[検察]]より[[死刑]][[求刑]]した。
 
初[[公判]]から50日目の2006年7月4日に[[判決]]。地裁では猥褻行為を生前に行ったこと、「悪魔」は罪を逃れるための言い訳であり「責任能力はある」と認められた。しかし、容疑者が過去ペルー国内において犯した犯罪について指名手配中であったが、[[推定無罪]]の原則上、前科が証明できず初犯扱いとなり、[[無期懲役]]の判決が言い渡された。
60 ⟶ 59行目:
[[2008年]][[12月9日]]、[[控訴審]]の[[広島高等裁判所]]は第一審判決を破棄し、犯行場所についての供述を含む被告人の検察官調書が第一審で取り調べなかったことは違法であるとして審理を広島地方裁判所へ差し戻した。スピード裁判で十分な審理が行われなかったことに触れ、前科について破棄した事について「賛同することはできない」とした<ref>{{Cite news |title=「まことに不可解」広島高裁、1審判決を厳しく批判 |url=http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081209-OYT1T00816.htm |date=2008-12-10 |newspaper=[[読売新聞]] |accessdate=2014-03-07 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20081212055213/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081209-OYT1T00816.htm |archivedate=2008年12月12日 |deadlinkdate=2017年10月 }}</ref>。この判決を不服とし、現在被告側が[[上告]]したところ、[[最高裁判所 (日本)|最高裁]]は控訴審判決を破棄した。その理由は、検察官が第一審で取調べを請求した被告人の検察官面前調書の立証趣旨は被告人の弁解状況、殺意の存在及び被告人の責任能力とされ、犯行場所については立証趣旨とされていなかった。そのような中で、第一審裁判所が被告人質問の内容から犯行場所に関する供述内容が記載されていると推測し、弁護人に具体的な任意性を争う点を釈明させ、任意性立証の機会を与える義務まではないとして否定した。さらに、検察官が控訴審においてはこの点について特に解明する必要がないと態度をとっていた。したがって、第一審には釈明義務を認め、検察官に対し任意性立証の機会を与えなかったことが審理不尽として違法であるとし、当事者の主張もないのに、前記審理不尽を認めた判決は違法であるとした。
 
この事件は[[裁判員裁判]]のモデルケースとされ、[[公判前整理手続]]が行われ、従来に比べ短い期間で判決が下され公判における証拠調べのあり方についても問われた。最高裁は証拠の採否について第一次的にゆだねられている第一審裁判所の合理的裁量を尊重し、当事者からの主張もないのにたやすく控訴審がその判断を覆すのは妥当でないと判断したと思われる。
 
広島高裁に差戻されたやり直し第二審であるが2010年7月28日に被告人に殺意があり猥褻目的による犯行でありながら、刑事責任能力が事件当時あったことを認めた上で計画的犯行でなかったとして無期懲役を言い渡し一審判決を支持した。この判決に対し検察側は最高裁への上告を検討したが、判例違反であると上告するのは困難であるとして断念した<ref>[http://sexual.g.hatena.ne.jp/cantake/20100807/p1 <広島女児殺害>検察が上告断念へ 差し戻し審で無期懲役]</ref>。また被告人側も上告しなかったため無期懲役が確定した。
 
== その他 ==
{{出典の明記|date=2015年12月|section=1}}
犯人が逮捕された5日後である[[12月5日]]にこの事件と、12月に発生した[[栃木小1女児殺害事件]]による子どもの安全対策を問われた事に触れ、[[和歌山市]]の[[大橋建一]][[市町村長|市長]]が「[[広島県|広島]]もかなり郊外ですし、[[栃木県|栃木]]の[[今市市|今市]]もイマイチのまちであります。そういうところで事件が相次いで起こる。我々のまちも全くひとごとではない」と発言した。大橋市長は6日の本会議で発言を取り消した上「不用意な、配慮を欠いた発言だっでした」として謝罪した。
 
この女子児童は2005年夏、1年生の1学期まで[[千葉県]][[船橋市]]の小学校に通っていたが、2学期から事件が起きた[[広島県]][[広島市]][[安芸区]]の小学校に転校していた。
 
== 出典 ==