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== 概要 ==
プロト工業化は経済史家の[[フランクリン・メンデルス|F・メンデルス]]および[[ピエール・デーヨン|P・デーヨン]]が[[1960年代]]末〜[[1970年代]]前半の研究で概念化した定義によれば、それは単なる農村工業化ではなく、以下の以上3つの条件が結びついた歴史現象とされている。すなわち、第一に[[自給自足]]的な経済活動や地域内[[市場]]のための[[商品]]生産ではなく、特に国際貿易市場を志向する域外市場向け手工業生産である。第二に、多くの場合都市部の問屋商人によって組織された[[問屋制家内工業]]の形態をとった、農村部で小農によって営まれる[[家内制手工業|家内手工業]]である。そして第三に同一の地方経済の内部で、一方では農村工業、他方では生産性の高い大規模な商業的農業へと特化する、2つの地域間の[[分業]]として展開される<ref>斎藤 (2013) pp.45-46</ref>。この現象はイギリスの場合は17〜18世紀、その他の大陸諸国では18世紀〜19世紀初頭に進行した<ref>斎藤 (2013) p.14</ref>。
 
プロト工業化論の登場以前、産業革命以前の生産形態として重視されていたのは、主として[[マニュファクチュア|マニュファクチュア(工場制手工業)]]であったが、この学説においては問屋制家内工業が重要な役割を果たすものとされている。