「ドント方式」の版間の差分
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== 性質 ==
=== 最適性 ===
ドント方式による議席配分は次の最適化問題
<math>\mathrm{maximize}\quad\max_{1\le i\le m}\frac{h_i}{p_i}
</math>
<math>\mathrm{subject\ to}\quad h_1+\dots +h_m=h\ ,\ h_i\in\{0,1,2,\dots\}\ ({}^\forall i\,)</math>
の解のうちの一つになっている<ref>{{Cite journal|last=哲男|first=一森|date=2013-03-25|title=議員定数配分問題の離散最適化による解法について(応用)|url=https://doi.org/10.11540/jsiamt.23.1_15|journal=日本応用数理学会論文誌|volume=23|issue=1|language=ja|doi=10.11540/jsiamt.23.1_15|issn=2424-0982}}</ref>。つまり、ドント方式はすべての配分方法の中で「各党ごとに計算した1票あたりの議席数の最大値」が最小になっている、という意味で最適な配分を与える。
=== 大政党への過大配分 ===
前項の意味での最適性は、直観に反する配分結果を「最適」としてしまうことがある。
一般に <math>h</math> 議席を比例配分するとき、総投票数 <math>p</math> 中の <math>p_i</math>票を獲得した政党 <math>i</math> の純粋な「取り分」は <math>\frac{p_i}{p}\cdot h</math> 議席と書ける。実際にはこの値は端数を含むから、実際の比例配分において各党への配分議席は「取り分」の端数を切り上げるか切り捨てるかしたものであることが望ましいと考えられる。ところがドント方式では、得票の大きな政党が「取り分」の端数切り上げよりさらに多くの議席を得る可能性がある。
以下の表に例を示す。政党Aへの配分議席は多くても5議席とするのが妥当であるように思えるが、ドント方式では6議席が配分される。
{| class="wikitable" style="text-align:right;"
|-
!
! 政党 A
! 政党 B
! 政党 C
! 政党 D
!合計
|-
! 得票数
|4,900
|3,050
|1,550
|500
|10,000
|-
!「取り分」
|4.9
|3.05
|1.55
|0.5
|10
|-
! 獲得議席
|'''6'''
| '''3'''
| '''1'''
| '''0'''
|'''10'''
|-
! 議席 1
|style="color:red"|4,900
|3,050
|1,550
|500
| rowspan="10" |
|-
! 議席 2
|2,450
|style="color:red"|3,050
|1,550
|500
|-
! 議席 3
|style="color:red"|2,450
|1,525
|1,550
|500
|-
! 議席 4
|style="color:red"|1,633.33
|1,525
|1,550
|500
|-
! 議席 5
|1,225
|1,525
|style="color:red"|1,550
|500
|-
! 議席 6
|1,225
|style="color:red"|1,525
|775
|500
|-
! 議席 7
|style="color:red"|1,225
|1,033.33
|775
|500
|-
! 議席 8
|980
|style="color:red"|1,033.33
|775
|500
|-
! 議席 9
|style="color:red"|980
|762.5
|775
|500
|-
! 議席 10
|style="color:red"|816.67
|762.5
|775
|500
|}
== ドントとジェファーソン ==
ドント方式は、常に同じ結果を与えるという点でジェファーソン方式(合州国の政治家[[トーマス・ジェファーソン]]に因んで名づけられた)と同じであるが、割り当てを計算する方法が異なっている。 ジェファーソン方式は、1792年に[[アメリカ合衆国議会]]で選挙よりむしろ各州への[[アメリカ合衆国下院]]議員の割当てのために発明された。そして割当を[[最大剰余方式]]([[:en:Largest remainder method|Largest remainder method]])のときのように用いるが、その割当(除数もしくは基数と呼ばれる)は、生じる商がいかなる端数の剰余を無視してでも要求される合計になるように、必要に応じて調整される。
== ハーゲンバッハ=ビショフ
ドント方式は最大の議席を配分するために割当式とともに使われることもある。標準的なドント式によって達成されるのと同じ結果を得るための残っている議席を配分するために、ドント方式が適用される。この変種はハーゲンバッハ=ビショフ制([[:en:Hagenbach-Bischoff System|Hagenbach-Bischoff System]])として知られ、国の選挙制度が単に'ドント'と称される時に多用される式である。
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