「ドント方式」の版間の差分

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== 性質 ==
=== 最適性 ===
=== 死票・無駄票最小化問題の解であるかもしれない ===
ドント方式による議席配分は次の最適化問題
{{独自研究|section=1|date=2012年11月11日 (日) 09:58 (UTC)}}
[[死票]]にはいくつかの定義があるが、このうち
*広義の死票 = 落選者の得票(狭義の死票) + (最低得票当選者の得票数よりも多く得票した票(取り過ぎ票))
と定義された死票を最小化する最適化問題の解とドント方式は必ず一致する、と主張する言説がある。
<!--
と定義された死票を最小化する最適化問題の解が、ドント方式である。逆に言えば、「1,2,3…と整数で割る…」という手続きによる定義の他に、「広義の死票が最も少ない」という性質的定義をドント方式は持つ。ハーゲンバッハ=ビショフ制は、ドント方式とは異なる手続きで死票の最小化問題を解く。このため、ドント式より計算量の少ない最大剰余方式の手続きで議席の大半を配分するにも拘らず、ドント式と同一の配分結果になる。-->
 
<math>\mathrm{maximize}\quad\max_{1\le i\le m}\frac{h_i}{p_i}
[[品田裕]]は「[[衆議院]][[選挙区]]の[[都道府県]]間の配分について --最高裁の違憲判決を受けて代替案を考える--」[http://www.ps.ritsumei.ac.jp/assoc/policy_science/193/193_07_shinada.pdf]の100ページにおいて<br>
</math>
「たとえば、m番目の議席を配分する際には、
各団体は現有議席に加えてもう1つ議席を獲得した場合に1つあたりの重みがどうなるかを競
い、より大きな値を示せるものが、その議席を獲得するのである。言い換えれば、一つ一つの
議席を配分していく際には、その時点で1議席当たりの重みを最大にする団体にその権利を認
めているといえる(脚注9)。」
と述べた後、109ページにおいて、
「(脚注9) それは、同時にその時点で最も過剰に代表されている団体に他ならない。したがって、ドント式は最も
過剰に代表される団体の過剰代表を最小にする制度と定義でき、ドント式指標は最大過剰代表団体の過剰
代表の大きさを測定する。」
と述べ、[[最適化問題]]の形での定義をドント式に与えている。
{{節スタブ}}
 
<math>\mathrm{subject\ to}\quad h_1+\dots +h_m=h\ ,\ h_i\in\{0,1,2,\dots\}\ ({}^\forall i\,)</math>
 
の解のうちの一つになっている<ref>{{Cite journal|last=哲男|first=一森|date=2013-03-25|title=議員定数配分問題の離散最適化による解法について(応用)|url=https://doi.org/10.11540/jsiamt.23.1_15|journal=日本応用数理学会論文誌|volume=23|issue=1|language=ja|doi=10.11540/jsiamt.23.1_15|issn=2424-0982}}</ref>。つまり、ドント方式はすべての配分方法の中で「各党ごとに計算した1票あたりの議席数の最大値」が最小になっている、という意味で最適な配分を与える。
 
=== 大政党への過大配分 ===
前項の意味での最適性は、直観に反する配分結果を「最適」としてしまうことがある。
 
一般に <math>h</math> 議席を比例配分するとき、総投票数 <math>p</math> 中の <math>p_i</math>票を獲得した政党 <math>i</math> の純粋な「取り分」は <math>\frac{p_i}{p}\cdot h</math> 議席と書ける。実際にはこの値は端数を含むから、実際の比例配分において各党への配分議席は「取り分」の端数を切り上げるか切り捨てるかしたものであることが望ましいと考えられる。ところがドント方式では、得票の大きな政党が「取り分」の端数切り上げよりさらに多くの議席を得る可能性がある。
 
以下の表に例を示す。政党Aへの配分議席は多くても5議席とするのが妥当であるように思えるが、ドント方式では6議席が配分される。
{| class="wikitable" style="text-align:right;"
|-
!
! 政党 A
! 政党 B
! 政党 C
! 政党 D
!合計
|-
! 得票数
|4,900
|3,050
|1,550
|500
|10,000
|-
!「取り分」
|4.9
|3.05
|1.55
|0.5
|10
|-
! 獲得議席
|'''6'''
| '''3'''
| '''1'''
| '''0'''
|'''10'''
|-
! 議席 1
|style="color:red"|4,900
|3,050
|1,550
|500
| rowspan="10" |
|-
! 議席 2
|2,450
|style="color:red"|3,050
|1,550
|500
|-
! 議席 3
|style="color:red"|2,450
|1,525
|1,550
|500
|-
! 議席 4
|style="color:red"|1,633.33
|1,525
|1,550
|500
|-
! 議席 5
|1,225
|1,525
|style="color:red"|1,550
|500
|-
! 議席 6
|1,225
|style="color:red"|1,525
|775
|500
|-
! 議席 7
|style="color:red"|1,225
|1,033.33
|775
|500
|-
! 議席 8
|980
|style="color:red"|1,033.33
|775
|500
|-
! 議席 9
|style="color:red"|980
|762.5
|775
|500
|-
! 議席 10
|style="color:red"|816.67
|762.5
|775
|500
|}
== ドントとジェファーソン ==
ドント方式は、常に同じ結果を与えるという点でジェファーソン方式(合州国の政治家[[トーマス・ジェファーソン]]に因んで名づけられた)と同じであるが、割り当てを計算する方法が異なっている。 ジェファーソン方式は、1792年に[[アメリカ合衆国議会]]で選挙よりむしろ各州への[[アメリカ合衆国下院]]議員の割当てのために発明された。そして割当を[[最大剰余方式]]([[:en:Largest remainder method|Largest remainder method]])のときのように用いるが、その割当(除数もしくは基数と呼ばれる)は、生じる商がいかなる端数の剰余を無視してでも要求される合計になるように、必要に応じて調整される。
 
== ハーゲンバッハ=ビショフ方式 ==
ドント方式は最大の議席を配分するために割当式とともに使われることもある。標準的なドント式によって達成されるのと同じ結果を得るための残っている議席を配分するために、ドント方式が適用される。この変種はハーゲンバッハ=ビショフ制([[:en:Hagenbach-Bischoff System|Hagenbach-Bischoff System]])として知られ、国の選挙制度が単に'ドント'と称される時に多用される式である。