「地方公務員」の版間の差分

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'''地方公務員'''(ちほうこうむいん)は、[[地方公共団体]]に勤務し、地方公共団体の組織のなかで一定の地位を占め、地方公共団体に勤務を提供する反対給付として、報酬、給料、手当などを受けている者をいう。[[地方公務員法]]第2条の規定では、「地方公共団体のすべての[[公務員]]」を地方公務員と定義している。
 
== 勤務形態による区別 ==
*常勤[[職員]]
*非常勤職員、[[嘱託制度|嘱託員]]([[地方公務員法]]第3条第3項)
*臨時的任用職員(いわゆる22条職員)(地方公務員法第22条)
*[[任期]]付職員(「地方公共団体の一般職の任期付職員の採用」に関する法律による)
 
== 職による区別 ==
 
地方公務員には[[一般職]]と[[特別職]]がある。
 
=== 一般職地方公務員 ===
一般職は、特別職に属する職以外の一切の職をいう([[地方公務員法]]第3条第2項)。一般職の職員には、地方公務員法に規定する一般職の職員に関する任用、職階制、給与、勤務時間その他の勤務条件、分限及び懲戒、服務、研修及び勤務成績の評定、福利及び利益の保護並びに職員団体等に関する規定が適用される。
 
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**[[労働関係調整法]]
 
=== 特別職地方公務員 ===
特別職とは次に掲げる職である。(地方公務員法第3条第3項)法律に特別の定めがある場合を除き、特別職である公務員には地方公務員法は適用されない(地方公務員法第4条第2項)
*就任について公選又は地方公共団体の議会の[[選挙]]、議決若しくは同意によることを必要とする職
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*失業対策事業又は公共事業のため[[公共職業安定所]]から失業者として紹介を受けて地方公共団体が雇用した者で、技術者、技能者、監督者及び行政事務を担当する者以外のものの職
 
== 職員の任用(公務員の任命)==
=== 任用 ===
任用とは、任命権者が特定の人を特定の職につけることである。職員の任用は、地方公務員法の定めるところにより、受験成績、勤務成績その他の能力の実証に基いて行わなければならない。職員の職に欠員を生じた場合においては、任命権者は、採用、昇任、降任又は転任のいずれか一の方法により、職員を任命することができる。
 
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また、上の条項(3.を除く)に該当するに至った時は、条例に特別の定がある場合を除いてその職を失う(28条)。
 
=== 任命権者 ===
職員の採用・昇任・降任・転任・免職・懲戒などの人事権は、法律又はこれに基づく条例・規則・規定に従い、地方公共団体の長のほか、[[議会]]の長、[[行政委員会]]、代表監査委員、[[警視総監]]、道府県[[警察本部]]の[[本部長]]、消防長、消防団長、[[地方公営企業]]の管理者等に与えられている。これらの者を[[任命権者]]という。
 
=== 成績主義 ===
成績主義とは、採用、昇任、転任及び降任のすべてがその職員の能力の実証に基づいて行われなければならないという考え方のことである。これは、猟官主義([[猟官制]]・スポイルズシステム)に対立する制度であり、政治的介入や党派的利益を排除し、行政の安定性、能率性を確保することを目的とする。すなわち、成績主義を導入することで、政治と行政を分離し、職員に、中立的な立場から、住民福祉の向上のために全力を挙げることを求め、またそれを可能とする環境を確保しようとしているのである。
 
なお、成績主義に反して任用を行った者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処される。
 
=== 職員の採用 ===
地方公共団体が職員を採用する場合、それぞれの地方公共団体ごとに競争試験を行う。一般的に区分は'''上級'''(大卒程度)、'''中級'''(短大卒程度)、'''初級'''(高卒程度)に分かれる。区分は地方公共団体により異なり、学歴制限が設けられていることもある。人事委員会が置かれる地方公共団体については人事委員会が、人事委員会を置かない地方公共団体については任命権者が競争試験を行う(⇒[[公務員試験]])。
 
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人事委員会は、作成した任用候補者名簿のうちから任命権者に採用すべき者1人につき高点順の志望者5名を提示し、任命権者はこの中から所要の職員を採用する。
 
=== 職員の選考 ===
職員の採用・昇任については、原則として競争試験によらなければならないが、人事委員会の定める職について人事委員会の承認があった場合に限り例外的に選考が行われる。
 
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人事委員会を置かない地方公共団体においては、職員の採用・昇任について、競争試験によるか選考によるかは任命権者にゆだねられている。
 
== 職員の給与 ==
地方公務員法には、給与に関する基準(給与決定の根本原則)として
# [[職務給]]の原則
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#:また、地方公務員法においても、第24条第6項「職員の給与、勤務時間その他勤務条件は条例で定めることとし、これに基づかずにはいかなる金銭又は有価物も職員に支給してはならない」というものである。
 
=== 給与の種類 ===
地方公共団体の職員の給与については、地方自治法では次のように定められている。
*非常勤職員
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*技能労務職員(単純労務職員)の労働関係その他身分取扱いは、原則として地方公営企業法の企業職員に関する規定が準用される(地公企労法附則第5条)ため、労働協約によって労働条件が取り決められることとなる。
 
=== 給与の額及び支給方法 ===
報酬、給料、手当の額並びにその支給方法については条例で定めなければならない(同法第203条第5項、第204条第3項)とされている。なお、実際の報酬・給与(=給料+手当)の額の決定方法、支給方法については給与規則などに定められている。
 
=== 給与の改定 ===
公務員は、[[団体交渉権]]、[[争議権]]を制限されており、給与を適正に維持する目的から[[人事委員会]]が民間の賃金や経済状況を勘案の上、給与の勧告を議会及び地方公共団体の長に対して行う。人事委員会を置かない地方公共団体においては、議会及び長において、地方公務員法第14条に定める情勢適用の原則に従い、適切な措置を行う。
 
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なお、地方公務員と国家公務員の給与を比較した指標として[[ラスパイレス指数]]があり、[[総務省]]、各地方自治体が公表している。<ref>[http://www.soumu.go.jp/iken/kyuyo_h21.html 総務省 地方公共団体別給与等の比較]</ref><ref>[http://www.city.osaka.lg.jp/jinji/page/0000200111.html 大阪市 国と地方の公務員給与比較の問題点について]</ref>
 
== 職員の服務(義務)==
すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。(地方公務員法第30条)
 
以下に述べる服務上の義務規定に違反した場合は、[[懲戒処分]]の対象となる。
 
=== 服務の宣誓 ===
職員は、条例の定めるところにより、[[服務の宣誓]]をしなければならない。(地方公務員法第31条) ただし、職員の服務上の義務は、任用(採用)によりいわゆる[[特別権力関係論|特別権力関係]]に入ることによって当然に生じるものであり、服務の宣誓をすることによってはじめて義務が生ずるわけではない。
 
=== 法令・条例等及び上司の命令に従う義務 ===
職員は、その職務を遂行するに当って、[[法令]]、[[条例]]、地方公共団体の[[規則]]及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、かつ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。(地方公務員法第32条)
:ここでいう上司とは、職務の遂行についてその職員を指揮監督する権限を有する者をいう。
 
==== 職務上の命令 ====
職務上の命令とは、上司から、指揮監督下にある職員に対して発せられる命令をいう。その内容は、職務の執行についての他、職務の執行に関連した合理的な範囲内で必要となる身分上の義務(例えば、制服等の着用や、過度の飲酒を差し控えることなど)を含む。
 
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職務命令に重大かつ明白な[[瑕疵]]がある場合は、無効であるから従う必要はない。ただし、当該命令が無効であるか否かは、客観的な認定によるべきものであり、部下が上司の職務命令について実質的な審査権を持つとまではいえないものと解される。また、当該職務命令を無効であると判断した職員は、その判断した結果について責任を負わなければならない。
 
=== 信用失墜行為の禁止 ===
職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。(地方公務員法第33条)
 
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:したがって、「職務上知り得た秘密」であって「職務上の秘密」でないものについては、証人、鑑定人等となった場合において、同法第34条第2項にいう任命権者の許可を要しないこととなる。これは、職員が職務に関係のない一私人として証言、鑑定等を行う場合であっても同様である。
 
=== 職務専念義務 ===
職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。(地方公務員法第35条)
 
=== 営利企業等の従事制限 ===
地方公務員法・第38条<br />
'''第一項'''<br />