削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
編集の要約なし
103行目:
 
==== 新生子豚-肥育豚 ====
===== '''新生子豚への外科的処置''' =====
 
===== '''新生子豚への外科的処置''' =====
 
====== 歯切り ======
*新生子豚には8本の鋭い歯が生えており、母豚の乳頭の取り合いをする際に、他の子豚や母豚の乳房を傷つける可能性がある。また、母豚が乳頭を噛まれ授乳を拒否したり、急に立ち上がったりすることにより、子豚のけがや圧死の原因となる可能性もある。歯切りは、このような事故等を防止するための手段の一つと考えられている<ref name="animal">[http://jlta.lin.gr.jp/report/animalwelfare/index.html 国産畜産物安心確保等支援事業 「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」より抜粋]</ref>。日本の農家の88.1パーセントが歯切りを実施しており、そのうち8割はほぼ根元から切断される。歯切りは生後7日以内に無麻酔で行われることが一般的である。またその道具として日本の農家の9割以上がニッパーを使用している<ref name="tikusan" />。神経感染症や出血、骨折等の痛みや重傷を引き起こす<ref name=":0">{{Cite news|title=子豚の歯を麻酔なしで切断|date=2016-01-22|url=http://www.hopeforanimals.org/pig/426|accessdate=2018-05-10|language=ja|work=畜産動物のためのサイト:動物はあなたのごはんじゃない}}</ref>。歯肉炎を引き起こし痛みで授乳や人工乳を食べなくなることがある<ref name=":0" />。歯切りについて、ニッパは元来針金を切る道具で歯を切るのに適さない、子豚を傷つける、悪い環境で育てているために歯切りが必要になる、といった批判がある。<ref name=":0" />
 
*新生子豚には8本の鋭い歯が生えており、母豚の乳頭の取り合いをする際に、他の子豚や母豚の乳房を傷つける可能性がある。また、母豚が乳頭を噛まれ授乳を拒否したり、急に立ち上がったりすることにより、子豚のけがや圧死の原因となる可能性もある。歯切りは、このような事故等を防止するための手段の一つと考えられている<ref name="animal">[http://jlta.lin.gr.jp/report/animalwelfare/index.html 国産畜産物安心確保等支援事業 「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」より抜粋]</ref>。日本の農家の88.1パーセントが歯切りを実施しており、そのうち8割はほぼ根元から切断される。歯切りは生後7日以内に無麻酔で行われることが一般的である。またその道具として日本の農家の9割以上がニッパーを使用している<ref name="tikusan" />。神経感染症や出血、骨折等の痛みや重傷を引き起こす<ref name=":0">{{Cite news|title=子豚の歯を麻酔なしで切断|date=2016-01-22|url=http://www.hopeforanimals.org/pig/426|accessdate=2018-05-10|language=ja|work=畜産動物のためのサイト:動物はあなたのごはんじゃない}}</ref>。歯肉炎を引き起こし痛みで授乳や人工乳を食べなくなることがある<ref name=":0" />。歯切りについて、ニッパは元来針金を切る道具で歯を切るのに適さない、子豚を傷つける、悪い環境で育てているために歯切りが必要になる、といった批判がある。<ref name=":0" />
 
====== 断尾 ======
*77.1パーセントの農家で断尾が実施されている<ref name="tikusan" />。豚舎での過密飼い、換気の不備、[[梅雨]]時期の多湿や夏場の高温等、豚が[[ストレス]]を受けた場合に、他の豚の尾をかじる行動や、耳や腹を噛む等の行動が見られることがある。特に、尾かじりの行動が起きた場合には、その行動は群内にすぐに広まる。尾かじりを受けた豚は、ストレスにより飼料の摂取量や増体量が低下したり、怪我がひどい場合には死亡したりすることがある<ref name="animal" />。断尾も一般的に生後7日以内に無麻酔で実施される。
 
====== 雄豚の[[去勢]] ======
*77.1パーセントの農家で断尾が実施されている<ref name="tikusan" />。豚舎での過密飼い、換気の不備、[[梅雨]]時期の多湿や夏場の高温等、豚が[[ストレス]]を受けた場合に、他の豚の尾をかじる行動や、耳や腹を噛む等の行動が見られることがある。特に、尾かじりの行動が起きた場合には、その行動は群内にすぐに広まる。尾かじりを受けた豚は、ストレスにより飼料の摂取量や増体量が低下したり、怪我がひどい場合には死亡したりすることがある<ref name="animal" />。断尾も一般的に生後7日以内に無麻酔で実施される。
*ほぼ100パーセントの雄豚に無麻酔で実施される<ref name="tikusan" />。これは食肉とされた時の雄独特の[[豚の雄臭|雄臭]]を防ぐためである。雄臭のため、去勢していない豚は食肉格付評価が下がる。去勢は生後8日以上後に実施されることが多い。
 
====== 雄豚の[[去勢]] ======
 
*ほぼ100パーセントの雄豚に無麻酔で実施される<ref name="tikusan" />。これは食肉とされた時の雄独特の[[豚の雄臭|雄臭]]を防ぐためである。雄臭のため、去勢していない豚は食肉格付評価が下がる。去勢は生後8日以上後に実施されることが多い。
 
新生子豚は、21日 - 24日の授乳期を経て1カ月程度で離乳させる。その後、'''肥育豚'''として主に配合飼料を給餌し、豚舎内で群飼肥育される。豚の寿命は10年から15年ほどだが、食用豚は6 - 7ヶ月で105 - 110キロ・グラム程度に仕上げられ、屠畜される。
122 ⟶ 117行目:
==== 動物愛護に関する各国のガイドライン・法規制 ====
 
===== [[妊娠ストール]] =====
*[[欧州連合]](EU)は理事会指令「豚保護のための最低基準(COUNCIL DIRECTIVE 2008/120/EC of 18 December 2008 - laying down minimum standards for the protection of pigs)」において2013年1月1日から妊娠ストールを禁止した。アメリカではフロリダ,メイン,ロードアイランド,オレゴン, アリゾナ,カリフォルニア,コロラド,ミシガンが妊娠ストールの廃止を決定した<ref>http://www.onegreenplanet.org/animalsandnature/states-that-have-banned-cruel-gestation-crates-for-pigs/<nowiki/>9 States That Have Banned Cruel Gestation Crates for Pigs</ref>。
 
*[[欧州連合]](EU)は理事会指令「豚保護のための最低基準(COUNCIL DIRECTIVE 2008/120/EC of 18 December 2008 - laying down minimum standards for the protection of pigs)」において2013年1月1日から妊娠ストールを禁止した。アメリカではフロリダ,メイン,ロードアイランド,オレゴン, アリゾナ,カリフォルニア,コロラド,ミシガンが妊娠ストールの廃止を決定した<ref>http://www.onegreenplanet.org/animalsandnature/states-that-have-banned-cruel-gestation-crates-for-pigs/<nowiki/>9 States That Have Banned Cruel Gestation Crates for Pigs</ref>。
 
===== 歯切り・断尾 =====
*[[デンマーク]]、[[スウェーデン]]、[[ノルウェー]]、[[フィンランド]]、[[リトアニア]]では[[麻酔]]なしでの尾の切断を禁止あるいは規制<ref>EFSA(European Food Safety Authority)2007年「The risks associated with tail biting in pigs and possible means to reduce the need for tail docking considering the different housing and husbandry systems」</ref>しており、[[カナダ]]では2016年7月1日から、年齢にかかわらず痛みを制御する鎮痛剤を用いて行われなければならない<ref>https://www.nfacc.ca/codes-of-practice/pig-code<nowiki/>code of practice</ref>とされている。歯の切断については、欧州連合(EU)では日常的に行うことを禁止しており、デンマーク、ノルウェーでは歯の切断自体を禁止している<ref>Danish Agriculture & Food Council「Danish pig production in a European context」 Norwegian Agricultural Economics Research Institute「Norwegian pig producers’view on animal welfare」</ref>。
 
*[[デンマーク]]、[[スウェーデン]]、[[ノルウェー]]、[[フィンランド]]、[[リトアニア]]では[[麻酔]]なしでの尾の切断を禁止あるいは規制<ref>EFSA(European Food Safety Authority)2007年「The risks associated with tail biting in pigs and possible means to reduce the need for tail docking considering the different housing and husbandry systems」</ref>しており、[[カナダ]]では2016年7月1日から、年齢にかかわらず痛みを制御する鎮痛剤を用いて行われなければならない<ref>https://www.nfacc.ca/codes-of-practice/pig-code<nowiki/>code of practice</ref>とされている。歯の切断については、欧州連合(EU)では日常的に行うことを禁止しており、デンマーク、ノルウェーでは歯の切断自体を禁止している<ref>Danish Agriculture & Food Council「Danish pig production in a European context」 Norwegian Agricultural Economics Research Institute「Norwegian pig producers’view on animal welfare」</ref>。
 
===== 去勢 =====
*欧州連合(EU)では、2018年からは自主的に、外科的[[去勢]]を「原則」終了することとしている<ref>http://www.globalmeatnews.com/Industry-Markets/EC-to-consider-additional-laws-on-animal-welfare<nowiki/>EC to consider additional laws on animal welfare(2014.2 Grobal Meat)</ref>。カナダでは2016年以降麻酔なしでの豚の去勢は禁止<ref>http://www.thepigsite.com/swinenews/36621/researchers-examine-pig-behaviour-to-assess-pain/<nowiki/>Researchers Examine Pig Behaviour to Assess Pain 19 May 2014</ref>、[[ドイツ]]では2019年1月から国内外の子豚の無麻酔去勢が禁止される<ref>雑誌「養豚情報」2017年7月号参照</ref>。また去勢をほとんど行っていない国もある(去勢率:[[イギリス]]2%、[[ポルトガル]]12.5%、[[スペイン]]15%、[[オランダ]]20%<ref>。https://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2017/aug/wrepo02.htm<nowiki/>エーリック 畜産の情報 2017年8月号 EUの養豚・豚肉産業~多様な産地と経営体~</ref>)
 
*欧州連合(EU)では、2018年からは自主的に、外科的[[去勢]]を「原則」終了することとしている<ref>http://www.globalmeatnews.com/Industry-Markets/EC-to-consider-additional-laws-on-animal-welfare<nowiki/>EC to consider additional laws on animal welfare(2014.2 Grobal Meat)</ref>。カナダでは2016年以降麻酔なしでの豚の去勢は禁止<ref>http://www.thepigsite.com/swinenews/36621/researchers-examine-pig-behaviour-to-assess-pain/<nowiki/>Researchers Examine Pig Behaviour to Assess Pain 19 May 2014</ref>、[[ドイツ]]では2019年1月から国内外の子豚の無麻酔去勢が禁止される<ref>雑誌「養豚情報」2017年7月号参照</ref>。また去勢をほとんど行っていない国もある(去勢率:[[イギリス]]2%、[[ポルトガル]]12.5%、[[スペイン]]15%、[[オランダ]]20%<ref>。https://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2017/aug/wrepo02.htm<nowiki/>エーリック 畜産の情報 2017年8月号 EUの養豚・豚肉産業~多様な産地と経営体~</ref>)
 
=== ブタの飼育史 ===