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「半陰陽」は、男女両方の性腺をもつものや外性器の性別が曖昧な真性半陰陽、もしくは外性器が性腺の性と異なる仮性半陰陽(精巣組織に女性様性器を有する男性仮性半陰陽、卵巣組織に男性様性器を有する女性仮性半陰陽)を指す言葉である。<ref>東優子(2010). 非典型的な「性」をめぐる性科学の言説(第3回講演)女性学連続講演会. 14, p.48-70.</ref>
 
これらの半陰陽が性分化疾患に分類されるため、半陰陽ではない性分化疾患であるクラインフェルター症候群やターナー症候群なども半陰陽と混同されやすい<ref>{{Cite web|url=https://uranaru.jp/topic/1041071|title=半陰陽の芸能人・有名人と半陰陽の芸能人の割合|漫画家|accessdate=2018-6-23}}</ref>。
 
陽と陰、男と女といった対立的にして補完的なものの調和を重視する[[陰陽思想]]などに基づいて、半陰陽を理想的な性別のあり方とする考え方もあった。
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== 真性半陰陽(卵精巣性性分化疾患) ==
真性半陰陽では、その性器の状態は人それぞれであり、またその要因は未だ解明されていない。人体に2つある性腺のどちらか一方が[[精巣]]、もう一方が[[卵巣]]である場合と、卵巣と精巣が混ざった卵精巣を性腺の一方もしくは両側とも有する場合に診断される。染色体構造は「46, XX」に次いで「46, XY」が多く、「46、XX/46、XYモザイク」も多い。仮性半陰陽と比べてもきわめて稀な症例とされ、半陰陽のなかで外性器異常を最も伴いやすい<ref>酒徳, 治三郎;卜部, 敏人.真性半陰陽の1例.泌尿器科紀要 (1957), 3(3): 221-225.)</ref>。
 
現在は「半陰陽」という表現が両性具有をイメージしやすいとして適切ではないことから見直され、日本小児内分泌学会性分化委員会による[[2008年]](平成20年)[[3月1日]]付けの「性分化異常症の管理に関する合意見解」において、真性半陰陽 (True hermaphrodite) については「 '''卵精巣性性分化疾患 (Ovotesticular DSD)'''」と呼称するように提唱されている<ref>{{PDF|[http://www.nch.go.jp/endocrinology/seibunka/images/kanri.pdf 性分化異常症の管理に関する合意見解]}}(日本小児内分泌学会性分化委員会、2008年 <small>(平成20年)</small> 3月1日付)</ref>。
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== 自己・周囲の認知 ==
仮性半陰陽の場合、外見的には表に出ている男性または女性そのものであることも少なくないため、周囲はおろか当人も全くそれに気づかない場合もある。[[精巣]][[卵巣]]も形成され、たとえ遺伝子情報のそれと反していても、外見通りの性別に成人する。
 
たとえば遺伝子は男性だが女性の形態をとる男性仮性半陰陽の場合、本人もそれと知らずに結婚、一生を女性として過ごすこともある。ただしこの場合、[[膣]]はあるものの[[子宮]]が痕跡的で少なくとも機能しないため、自然な妊娠はできない。少なくとも現在のところ、男性仮性半陰陽の女性が出産にまで至った事例は知られていない。
 
== 社会認知 ==
社会的には現在、半陰陽の状態を持つ人々は差別以前に[[日本]]ではほとんど認知されていない。
 
ごく最近では、性的ファンタジーとしての両性具有ではない、半陰陽の状態を持つ人の現実的な問題を描いた漫画『[[IS (漫画)|IS〜男でも女でもない性〜]]』(著:[[六花チヨ]]、[[講談社]]刊)が話題となり、以前より少しは半陰陽の状態を持つ人々の存在が認知されるようになった。しかし、これらの作品でも半陰陽について分かりやすい解説を加えているにもかかわらず、その概念が理解できず、未だに「[[性同一性障害]]」「[[トランスジェンダー]]」と混同している人は少なくない。
 
== 法的対応 ==
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== 手術 ==
現在、日本で半陰陽の状態を持つ子が生まれた場合、整形手術が行われることが多い。特に生まれてすぐに手術を行うことで生殖能力の保持に関わるケースなどもあり、医師と親の判断に任されることが多々ある。しかし、本人の身体についての説明が十分でない場合、後に本人の[[アイデンティティ]]を揺るがすことがある。手術をすることによって初めて自分の体に満足する人もいるが、<!-- 本人の同意を得ないで手術すべきではないし、また、本人に正確な情報を与えないで手術に同意させる方向に誘導させてはいけない。-->当事者団体では、半陰陽の状態を持つ子供が生まれた場合、即座の整形手術は健康的な問題を含まない限り避けられるべきで、かつ、男性女性どちらかで養育するように推奨している。ただし、後々で明確になる本人の[[性同一性|性自認]]は尊重すべきであり、成長に合わせた柔軟性も必要である。[[モントリオール宣言]]や[[ジョグジャカルタ原則]]第18原則は特にこうした十分な[[インフォームド・コンセント]]の伴わない医療介入から児童が保護される必要性を訴えている。
 
手術の問題点としては、説明が十分になされないゆえの[[アイデンティティ]]の危機、性感帯の切除による満足の減少、また、ホルモンの減少によって骨粗鬆症になりやすくなる、精神が不安定になる場合がある。骨粗鬆症に関しては、生来的なホルモン不足により起こることがほとんどで、その上ではホルモン投与などの治療はむしろ推奨される。
 
== 関連項目 ==
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; 人物
* [[橋本秀雄]]:日本半陰陽者協会代表。
* [[:en:John Money|ジョン・マネー]]:アメリカの心理学者・性科学者で、半陰陽の研究で有名。身体的性別とは別個にある[[性同一性|ジェンダー・アイデンティティ]]を見いだした。「ジェンダー・アイデンティティの形成は、生物学的要因による先天的なものか環境要因による後天的なものか」との論争において、環境要因を重視し、外性器を失った男児[[デイヴィッド・ライマー]]を女児として育てさせるよう両親に勧め、女性としてのジェンダー・アイデンティティを獲得するようカウンセリングをおこなった。しかし当のライマーは環境によって女性であることの[[ジェンダー・アイデンティティ]]を持つことはなく、この悲劇を防ぐために自らの体験談を世間に公表した。
* [[スタニスラワ・ワラシェビッチ]]:元陸上競技選手。女性選手として新記録を残したが、死後、両性具有者であることが判明した。
* [[キャスター・セメンヤ]]:[[南アフリカ共和国]]の陸上競技選手。[[2009年世界陸上競技選手権大会|2009年世界陸上]]女子800mで優勝し、その後の医学的検査で両性具有者と判明したと報じられた。<ref>{{Cite web |url=http://www.afpbb.com/article/sports/sports-others/athletics/2640101/4565236 |title=性別疑惑のセメンヤは両性具有、オーストラリア紙が報じる 国際ニュース : AFPBB News |accessdate=2013-1}}</ref>
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=== 出典 ===
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== 参考文献 ==