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[[Image:Benthic foraminifera.jpg|right|300px|thumb|'''有孔虫''' 底生性の4種を[[走査型電子顕微鏡]]で撮影したもの。左上から時計回りに''Ammonia beccarii''、''Elphidium excavatum'' ''clavatum''、''Buccella frigida''、''Eggerella advena''。いずれも直径数百μm]]
 
有孔虫の殻はいわゆる[[微化石]]として産出する。その殻の形態が多様であり、形態が複雑であること、また多量に産出することから、化石有孔虫群集からは岩石の正確な相対的年代を知ることができ、生物[[層序]]にとって極めて有用である。また同様の理由で、現生の有孔虫群集は海岸環境の[[生物指標]]として使われている。これは有孔虫の生息域(もしくは形態)が温度、水深、静水圧、光、酸素、塩分などの様々な要因によって決まっており、環境変化に対して敏感に応答するという性質による。ただし、有孔虫の炭酸カルシウムの殻は酸性条件では溶解しやすいため、化石化後の修飾として気候の変化や海洋酸性化の影響を受けていたり、他の鉱物への置換などが起きている可能性もある<ref>微古生物学(上巻) 浅野清 編 朝倉書店(1970)</ref>。
第一に、有孔虫化石は[[示相化石]]として広く利用されている。有孔虫化石を含む[[微化石]]は、個体数の多さから群集組成の統計的な分析が可能であり、少量の試料から十分な個体数を得ることができる。古くからあらゆる種類の[[微化石]]が[[示相化石]]として利用されてきたが、特に有孔虫には、立体的に古環境を復元できるという利点がある。すなわち浮遊性有孔虫から海洋表層および中層の古環境を、底生有孔虫から底層の古環境を、それぞれ復元できる。これまで、古水深や古水温、さらには古地理および古海況などが復元されてきた。ただし、石灰質の殻は酸性の雨水に溶解しやすく、また殻の特徴で種を定義しているため、保存状態が悪いと[[同定]]できないという欠点もある。そのため、なるべく雨水にさらされていない試料を採取することが望ましい。以上のような伝統的な方法に対して、有孔虫化石の酸素あるいは炭素の同位体比の分析から古環境を復元するという化学的な方法もあり、盛んに研究がなされている。
 
有孔虫化石は古気象学や古海洋学でも有用である。有孔虫化石の酸素安定同位体比(有名なのは<sup>18</sup>Oの<sup>16</sup>Oに対する比)を調べることで、過去の気候を再構成することができる。また浮遊性有孔虫化石の地理的分布および炭素安定同位体比は、過去の海流を再構成するのに使われる。つまり、化石有孔虫は[[示準化石]]としても[[示相化石]]としても重要である<ref>{{cite journal | author = Duplessy JC, Roche DM, Kageyama M | title = The deep ocean during the last interglacial period | journal = Science | year = 2007 | volume = 316 | issue = 5821 | pages = 89-91}} PMID 17412954 ほか</ref>。石油産業は以前は油層の候補を見つけるために有孔虫などの[[微化石]]に依存していた。
第二に、[[示準化石]]としても広く利用されている。生層序学的な方法および化学的な方法があり、他の[[微化石]]や[[テフラ]]のデータなどを含めて総合的に堆積年代が推定される。かつては石油産業における油層の推定に応用された。
 
有孔虫の殻の一部は[[堆積物]]として沈殿する。海洋底の堆積物中において、有孔虫殻が多くを占めるものを'''有孔虫軟泥'''と呼び、年月を経て固結すると石灰岩となる。[[エジプト]]の[[ピラミッド]]の建材である貨幣石石灰岩などはその例である。
第三に、有孔虫殻などからなる有孔虫軟泥から形成される[[石灰岩]]や[[大理石]]は、古くから人類に広く利用されてきた。
 
== 分類 ==