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'''腹側被蓋野'''(ふくそくひがいや、ventral tegmental area, ventral tegmentum、'''VTA''')は哺乳類の脳における[[中脳]]の一領域であり、[[被蓋]]の腹側部に位置する。被蓋とは[[脳幹]]の背側の領域を広く指す言葉であり、系統発生的に古い部分である(赤核や黒質も被蓋に含まれる)。この中の腹側被蓋野は[[黒質]]や[[赤核]]に囲まれた内側の領域である。A10細胞集団と呼ばれる、[[ドーパミン作動性ニューロン]]が多く存在し、中脳辺縁投射、中脳皮質投射を形成している。これらのニューロンの活動は[[報酬系|報酬]]予測に関わっていると考えられている。
 
腹側被蓋野は[[ドパミン]]、[[GABA]]、[[グルタミン酸]]作動性神経によって成り立ち、以下の主だった2つのドパミン経路の一部である。
:中脳辺縁系(腹側被蓋野と[[側坐核]]を結ぶ)
:中脳皮質系(腹側被蓋野と前頭葉を結ぶ)
 
:中脳辺縁系(腹側被蓋野と[[側坐核]]を結ぶ)
== 機能 ==
腹側被蓋野は[[報酬系]]の一部と考えられている。快の感覚を生むような活動は腹側被蓋野を活性化する。また、[[コカイン]]などの[[覚醒剤]]はこの領域に直接的に作用する。そのため、嗜癖行動の神経学的なメカニズムに関っていると考えられている。
 
:中脳皮質系(腹側被蓋野と前頭葉を結ぶ)
また、腹側被蓋野は[[恐怖条件付け]]などに関与しており、様々な情動や防御本能に関わっていると考えられる。
 
VTAのドーパミン神経(ドーパミン神経)は報酬や目標志向型の行動に中心的な役割を担っている。VTAのドーパミン放出神経細胞は様々な入出力パターンを持つものが混在しており、中にはドーパミンに加えてGABAやグルタミン酸を放出するドーパミン神経もいる。動機付け信号はVTAのドーパミン神経だけでなく、独自の回路を持っている非ドーパミン神経によっても生じている。ドーパミン神経も非ドーパミン神経も局所の抑制的、興奮的回路を使って入力された情報を統合し、出力発火パターンを形成している。様々な個々の入力、出力、局所回路は報酬行動や忌避行動を引き起こすのに十分であり、この小さな細胞集団の行動への寄与は目を非常に重要である。
 
== 重要なポイント ==
・VTAのドーパミン神経は様々な動機付け行動に寄与している
 
・異なった行動は独自の神経回路を持った異なったドーパミン神経によって媒介されている
 
・VTAの出力神経細胞は他の脳領野からの情報を統合するだけでなく、GABA神経やグルタミン酸神経からの情報も統合し、微小回路を形成している
 
・VTAのGABA神経やグルタミン酸神経の一部はドーパミン神経と同じ脳領野から入出力を受けている
 
・VTAの神経細胞の一部は、ドーパミンとともに、グルタミン酸もしくはGABAを共放出する
 
・遺伝子改変動物における光遺伝学的研究は強化学習や動機付けに関して独自の機能を持つVTAの神経細胞の発火パタンや結合形式を明らかにした
 
== 関連項目 ==