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厚生労働省「平成25年度労働時間等総合実態調査」によれば、三六協定を締結している事業場は、301人以上の事業場では96.1%であるのに対し、10人未満の事業場では46.8%となっていて、事業場規模が小さくなるほど締結率が低い傾向となっている。また延長時間は、限度基準上限(月45時間・年360時間)に集中化する傾向がある。
 
==== 延長限度なし ====
延長時間の限度は、以下の事業・業務には適用されない(限度時間基準第5条)。労働時間管理等について別途[[行政指導]]を行っている分野については、現行の指導基準の水準に到達させることが先決であること、事業又は業務の性格から限度時間の適用になじまないものがあること等の理由によるものである。
 
*[[建設|工作物の建設等の事業]]
*[[運輸業|自動車の運転の業務]]
*新技術、新商品等の研究開発の業務
*季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業若しくは業務又は公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務として厚生労働省労働基準局長が指定する事業又は業務(指定する範囲に限る)(ただし、1年間の限度時間は適用される)
 
しかし[[働き方改革関連法案]]が成立し、建設業ならびに運輸業は2014年4月より限度なし指定から外されることとなった。
 
==== 特別条項 ====
三六協定の締結にあたり、前項の限度時間以内の時間を一定期間についての延長時間の原則として定めたうえで、労使が合意すれば、弾力措置として、限度時間基準を超えた時間数を設定することができる(限度時間基準第3条1項但書)。これを'''特別条項'''という。1年単位の変形労働時間制により労働する労働者についても特別条項付き協定を締結することができるが、限度時間の制限がない上述の事業・業務には本項の適用はない。特別条項付き三六協定には以下の事項を定めなければならない。
 
* 限度時間を超える必要がある'''特別の事情'''
** 「特別の事情」については、'''臨時的なものに限る'''(平成15年10月22日厚生労働省告示355号)。労使当事者が事業又は業務の態様等に即して自主的に協議し、可能な限り具体的に定める必要がある。具体的には、予算・決算業務や、ボーナス商戦に伴う業務の繁忙、機械の故障、大規模なクレームへの対応などが挙げられる。一方、年間を通じて適用されることが明らかな事由や、単に「業務上やむを得ないとき」や「使用者が必要と認めるとき」といったあいまいな表現では認められない。 しかし、現実には明らかに臨時的ではないものは認められないにしても、何が臨時的なものであるかは現実的には判断できるものではなく、たいていは何を書いてあっても受付される。なお第33条に該当する場合は「特別の事情」に含まれない。
* 限度時間を超える場合に際して労使が取る'''手続き'''
** 「手続き」の方法については特に制約はないが、三六協定の締結当事者間の手続として労使当事者が合意した協議、通告その他の手続であること。「特別の事情」が生じ、限度時間を超過する前に必ず行う必要がある(平成11年1月29日基発45号)。
{| class="wikitable floatright" style="font-size:90%; margin:1.5em; text-align:right; min-width:14em"
|+特別延長時間数の上限規制<br>(2019年から部分施行)<ref>労働基準法 第35条第2項</ref>
|-
! 期間
! 超勤上限
|-
|{{rh}}|1ヶ月 || 100時間
|-
|{{rh}}| 1年間 || 720時間
|-
|colspan=2|<small>※ 2020年4月に完全施行</small>
|}
* 特別延長時間数
** その上限は労使当事者間の自主的な協議による決定に委ねられており、法令等の制限はないが、延長することができる労働時間を'''できる限り短く'''するように'''努めなければならない'''(限度時間基準第3条2項)。
** 月80時間超の時間外労働を定めると労働基準監督署から「長時間労働の抑制のための自主点検結果報告書」の提出を求められ、実際に月80時間超の時間外労働を行った労働者がいると[[臨検|呼出監督]]の対象となることから<ref>「平成28年度地方労働行政運営方針」により、それまで「月100時間」としていた臨検の基準を「月80時間」に引き下げた。</ref>、月80時間超の特別条項は設定しないことが望ましいが、呼出監督の対象となる会社が極めて多く、全数の呼出監督が行えない状況である。
** 2019年4月からは[[働き方改革関連法案]]により、上限時間規制が適応されることとなった。[[#延長限度なし]]業種にも適応される。違反した者は一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金となる。
* 「1日を超え3ヶ月以内の一定期間」について、限度時間を超える期間の回数
** 通常三六協定は有効期間1年として定めることから、限度時間を超える期間の回数については、特定の労働者について'''1年の半分を超えないように定める'''とは法文上記載されておらず、法文上「臨時的なもの」というのの解釈を1年の半分を超えないようにと厚生労働省が通達でさえないもので主張しているだけである。 しかし厚生労働省は、例えば1ヶ月単位の場合は6回以内、3ヶ月単位の場合は2回以内で定める、などと指導しているが、その法的な根拠はほとんどない。