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== 概要 ==
一般に、[[カブ]]の品種とされているが、これは[[1756年]]、野沢温泉村の健命寺の住職が[[京都]]に遊学した際、[[大阪市]][[天王寺]]で栽培されている[[天王寺蕪]]の[[種子]]を持ち帰り、その子孫が野沢菜となったとの言い伝えによる。しかし、種子[[表皮]][[細胞]]ほかに対する[[遺伝]]的研究<ref>青葉高「本邦そ菜在来品種の地理的分布と分類に関する研究」園芸学会雑誌32号4巻(1964年)</ref>から、これは否定されている。
 
[[日本]]のカブは、[[西日本]]で主流の[[アジア]]系(var. ''glabra''、[[中国]]経由)と、[[東日本]]の[[山間部|山間]]地に多く[[耐寒性]]に優れる[[ヨーロッパ]]系(var. ''rapa''、[[シベリア]]経由)に大別される<ref>澁谷茂、岡村知政「種子の表皮型に依る本邦蕪菁品種の分類」園芸学会雑誌22号4巻(1952年)</ref>が、野沢菜は天王寺蕪のようなアジア系ではなくヨーロッパ系の特徴が強く、[[福島県]]に近縁種が確認されている。
 
現在は、カブに由来する別の[[変種]](var. ''hakabura'':葉蕪)と考えられ、近隣で栽培されている[[伝統野菜]]の漬け菜(稲扱菜、羽広菜、鳴沢菜、長禅寺菜など)や紫かぶ(諏訪紅蕪、細島蕪など)は、いずれも近縁とみられる。
 
野沢温泉村では蕪菜(かぶな)と呼んでいたが、[[大正時代]]に開設されたスキー場を訪れた都会のスキー客が蕪菜の漬け物に感激して「野沢菜漬け」と愛称を付け、それが全国的になって野沢菜、野沢菜漬けという呼び名が定着した。
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野沢菜の利用法としては、葉と茎を[[漬物]]にした野沢菜漬けが有名だが、その他の利用法もある。
 
栽培は、9月に[[播種]][[間引き]]を繰り返すが、間引いた[[木|苗]]は[[おひたし|お浸し]]や[[浅漬け]](当座漬け)として食される。成長した地上部は10月から11月にかけて収穫され、主用途である野沢菜漬けとなる。残された[[]]からは、翌春の[[雪どけ|雪解]]後に[[]]が伸びるので、これを収穫し[[野菜]](とうたち菜)として利用されるほか、新たに[[]]を蒔いて春菜、うぐいす菜を育て浅漬けとして利用する。
 
地上部はさらに成長して5月に[[開花]]し、6月に[[種子]]の採取が行われる。
 
=== 野沢菜漬け ===
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{{栄養価 | name=のざわな 漬物 塩漬<ref name=mext7/>| kJ =75| water=91.8 g| protein=1.2 g| fat=0.1 g| carbs=4.1 g| opt1n=[[食物繊維|水溶性食物繊維]]| opt1v=0.2 g| opt2n=[[食物繊維|不溶性食物繊維]]| opt2v=2.3 g| fiber=2.5 g| sodium_mg=610| potassium_mg=300| calcium_mg=130| magnesium_mg=21| phosphorus_mg=39| iron_mg=0.4| zinc_mg=0.3| copper_mg=0.05| Manganese_mg=0.13| betacarotene_ug=1600| vitA_ug =130| vitE_mg =0.7| vitK_ug=110| thiamin_mg=0.05| riboflavin_mg=0.11| niacin_mg=0.5| vitB6_mg=0.06| folate_ug=64| pantothenic_mg=0.13| vitC_mg=27| opt3n=[[硝酸イオン]]| opt3v=0.4 g| note =ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した<ref>[[厚生労働省]] 「[http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000114399.pdf 日本人の食事摂取基準(2015年版)]」</ref>。廃棄部位: 株元。
水洗いし、手搾りしたもの| right=1 }}
畑で根(蕪)を切り落としてから[[共同浴場]]で「お菜洗い」したのち、大きな木の[[]][[塩け]]にする。そのほか家庭ごとの味付けがされる。
 
[[乳酸発酵]]が進みアメ色に変色した本漬と、緑色のままの浅漬がある。
 
寒冷な環境で製造・保存されるため、[[発酵]]はあまり進まず、臭いは少なめであっさりした味わいなのが特徴。[[常温]]で放置しておくと急激に[[軟化]]して歯ざわりが変化し[[酸味]]が増すため、保管には低温を維持する必要がある。茶受けや酒の[[]]として広く好まれる。またそのまま食べる以外にも、[[炒め物]][[炒飯]]に用いたり、細かく刻んで[[納豆]][[薬味]]として混ぜるなど、広範囲に応用される。[[おにぎり]][[おやき]]の具材としても人気が高い。酸味が強くなったものは、[[醤油|しょうゆ]][[砂糖]][[]]で炒めて「[[佃煮]]風」にして食べることもある。
 
長野県の北信地域ではノザワナを「お菜」あるいは「なっぱ」、野沢菜漬けを「お葉漬け」と呼んでいる。
 
昭和40年代までは農家の自家用栽培が大部分で、一部が八百屋を通して非農家に販売されるに過ぎなかった。昭和40年代以降の観光ブームとともに消費が増え、お土産用に工場で大量生産されるようになると、夏には信越産が使われ、冬には主に[[徳島県|徳島]]産が、また春や秋では[[山梨県]]産や関東産が使用されている。
[[長野県]][[佐久地域]]では、野沢菜漬を「カジカ」とも呼ぶ<ref>佐久市志編纂委員会編纂『佐久市志 民俗編 下』佐久市志刊行会、1990年、1341ページ。</ref>。
 
なお[[長野県]]は、野沢菜漬けを[[1983年]][[昭和58年|(昭和58年]])に[[選択無形民俗文化財]]「信濃の味の文化財」に指定した<ref>『信濃の食文化』共立プランニング1986年4月1日発行全279頁中4頁</ref>。
昭和40年代までは農家の自家用栽培が大部分で、一部が八百屋を通して非農家に販売されるに過ぎなかった。昭和40年代以降の観光ブームとともに消費が増え、お土産用に工場で大量生産されるようになると、夏には信越産が使われ、冬には主に[[徳島県|徳島]]産が、また春や秋では[[山梨県]]産や関東産が使用されている。
 
なお[[長野県]]は、野沢菜漬けを[[1983年]][[昭和58年|(昭和58年]])に[[選択無形民俗文化財]]「信濃の味の文化財」に指定した<ref>『信濃の食文化』共立プランニング1986年4月1日発行全279頁中4頁</ref>。
 
===その他===
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== 関連項目 ==
* [[すんき漬け]]
 
== 脚注 ==
{{Reflist}}
<references />
 
== 外部リンク ==