「カメムシ亜目」の版間の差分

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== 特徴 ==
カメムシ亜目は、文部省学術用語集でカメムシ亜目の名称が採用される前は'''異翅亜目'''と呼ばれていた(学術用語集の方式を嫌って今日でもこれを使う人も多い)。これは、[[翅#翅の構造|前翅]]の根元側半分位が分厚くなり、先端の半分の膜質部分とはっきり異なるためである。この類の昆虫は、膜状の[[翅#翅の構造|後翅]]を背中に畳み、その上に前翅を交互に被せるようにして[[翅]]を畳むことができる。背中側から見れば、前胸以降の背面は、ほぼ翅に覆われている。腹部後方は、左右の前翅の膜状部を重ねた部分に覆われる。腹部前半と部第二第三節後胸の左右は前翅の硬化部分に覆われ、左右の前翅の間に部第二節の背板の一部(中胸小楯板)が見える。この部分は三角形になって、盛り上がっており、特に背盾板と呼ばれる。[[マルカメムシ]]科や[[キンカメムシ]]科ではこれが中胸より後の胸部と腹部の背面を完全に覆い、翅もこの下に格納される。
 
口器が針状の細い口針と、この鞘に相当する口吻になっているのは、[[カメムシ目]]全体に共通する特徴である。カメムシ亜目のものには、植食のものと肉食のものがあり、植食性のものは、口吻が細長く、真っすぐであるが、肉食性のものの口吻はしばしば太くて短く、鉤状に曲がっている。口器の構造に関しては[[カメムシ目#特徴]]にて詳述。
 
頭部は先のとがった三角形で、基部の両端に[[複眼]]がある。両方の複眼の間に三の[[単眼]]があるのが普通であるが、カスミカメムシ科の大半はこれを欠く(そのためかつてはメクラカメムシ科と呼ばれたが、複眼があるので視力はある)。[[触角]]は陸生のものでは細長く、水生のもの、特に水中生活に適応したものは太短く、折りたたみ式に格納できるものもある。
 
三対のは陸生の植食性のものでは特徴が少ないが、肉食性のものでは、前が太く、捕獲用に発達するものがある。水生の種は多くが肉食性で、前が太く、捕獲に適した形に発達するとともに、第二第三脚が遊泳用に発達するものが多い。なお、陸生の種の一部には、雄の第三脚が太く、かつ刺々しく発達するものがあり、[[配偶行動]]における雄同士の闘争の際に使われる場合がある。
 
== 習性と生活環 ==
カメムシ亜目のものは、非常に多様なものを含んでいる。植物の上で暮らすもの、地上性のもの、地中にいるものから、水辺、水面生活、水中生活のものまでを含む。また、[[ウミアメンボ]]類のように海水面に進出したものがあり、これらは[[昆虫]]では数少ない海の生活者である。
 
=== 食性 ===
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=== 生活史 ===
カメムシ亜目のものは、[[不完全変態]]で、成虫に近い姿の幼虫から、[[蛹]]を経ずに成虫になる。幼虫の生活は、ほぼ成虫と同である。成虫は、多くのものでは塊で卵を産む。多くの種でこの卵塊にカメムシの栄養摂取を助ける共生微生物のカプセルが付着していることが知られており、そうした種ではここから幼虫が微生物を摂取してから離れていく。卵塊を雌親が保護する習性をもつものが、ツノカメムシ科やツチカメムシ科、コオイムシ科といった複数の分類群にまたがって知られている。生まれた幼虫がしばらくの間、集団で生活するものも知られる。
 
また、草食性の種では、時に大集団を作るものがあることが知られている。カメムシの一部では、[[越冬]]のための大集団を作るものがあるが、それ以外の種でも、さまざまな種で、理由は十分に解明されていないが、大集団を作るのを見ることがある。
 
=== 臭いについて ===
カメムシ類は悪臭を発することで有名だが、この臭いには、捕食者などからの防御の働きとともに、仲間への警報の意味がある。また、低濃度では[[集合フェロモン]]、高濃度では[[警報フェロモン]]として働く例も知られている。それ以外にも、[[トコジラミ]]や[[アメンボ]]などが臭いを発することが知られているが、その意味については十分に解明されてはいない。これらの臭い物質は'''臭腺'''と呼ばれる線から分泌される。臭腺は幼虫では背面に開口するが、翅が背面を覆ってしまう成虫では腹面に開口するようになる。
 
== 分類 ==
陸生の大型種は、普通は[[カメムシ]]と呼ばれる。水中性の仲間を特に[[水生カメムシ類]]という呼ぶこともある。また、アメンボなどの水面や水辺に生活するグループを両生カメムシ類と言う呼ぶ
 
*[[カメムシ下目]] {{Sname||Pentatomomorpha}}
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***ハナカメムシ科(捕食性)
*[[クビナガカメムシ下目]] {{Sname||Enicocephalomorpha}}
**[[クビナガカメムシ科]](捕食性、カメムシ亜目中最も原始的とされる
*[[ムクゲカメムシ下目]] {{Sname||Dipsocoromorpha}}
**ムクゲカメムシ科(捕食性)