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比較的未開拓のアジア市場は21世紀となってからグローバル化の洗礼を受けた。まず[[米韓自由貿易協定]]が結ばれた。米中の間でも、貿易・投資における障壁、中国の最恵国待遇(MFN)、中国のWTO加盟、といった問題を中心に摩擦が激化してきている<ref name=seki>関志雄(2002)「日米貿易摩擦から日中貿易摩擦へ― 歴史から学ぶべき教訓 ―」独立行政法人経済産業研究所 http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/020115ntyu.htm</ref>。韓国のようにあっさりといかないのは、中国と接する[[カザフスタン]]などの中央アジア諸国でロシア・欧州の利権がもともと交錯しており、さらに中国がロシア・欧州の製品輸出先となっているからである。この構造は[[露清銀行]]と[[インドシナ銀行]]が競り合った近現代とさほど変わってはいない([[#帝国主義と貿易摩擦]]も入門として参照のこと)。
 
日米貿易摩擦がなりを潜め、日中貿易摩擦が話題となっている。その背景として、対中貿易赤字の拡大に加え、躍進している中国に職と市場が奪われるのではないかという国民の恐怖感も挙げられる。現に、日本は2001年4月23日から11月8日までの200日間、主に中国から輸入しているネギ、生しいたけ、畳表の農産物3品目に対する[[緊急輸入制限|セーフガード(緊急輸入制限措置)]]の暫定措置を初めて発動した。<ref name=seki />しかし、日本経済に米国資本が浸透していることを考えると、これは間接的な米中貿易摩擦といえる。
 
東南アジアとの貿易摩擦は[[環太平洋戦略的経済連携協定]]をめぐり局地戦が展開された。しかし東南アジアは、[[インドネシア独立戦争]]から分かるような[[オランダ]]の利権や、[[ロスチャイルド]]がつまはじきにされるほどの高いナショナリズムとそれに由来する資本規制が存在している。報道されるほど露骨な戦法がとられる見込みはない。
 
<!--(未完の研究は特筆性が薄い)==貿易摩擦の原因と理論==
===教科書における貿易摩擦===
貿易摩擦は、過去の日米貿易摩擦の例を見るように重大な国際関係であるが、国際経済学の標準的教科書にはこの話題はほとんど登場ない。たとえば、[[ポール・クルーグマン]]とオブズフェルトの『国際経済学』(上)貿易編(原著第8版)には、「貿易摩擦」という項目は、目次にも索引にも登場しない。原著(第8版)を調べてみると、"trade friction"と"friction"単独がそれぞれ一回表れる。"conflicts" という単語は17回登場するが、"trade conflicts"という組合せの用例はない<ref>Paul R. Krugman, Maurice Obstfeld (2009) International Economics (8th ed., Paperback). 検索は、Amazon.co における同書Look Inside による。ただし、「貿易戦争」という項目や「輸出自主規制」(Voluntary Export Restriction)という項目はある。</ref>。日本の標準的教科書のひとつ大山道広『国際経済学』(培風館、2011)には「貿易摩擦」が索引に上がっているが、当該ページ(p.80)には「日本をめぐる貿易摩擦の中でしばしばいわれてきたように」という形での引用であり、主題として取り上げたものではない。大学院レベルの標準的教科書であるFeenstraのAdvanced International Tradeにも、本文中には"trade friction", "trade conflict" という語は登場しない<ref>Robert C. Feenstra ''Advanced International Trade: Theory and Evidence'', Princeton University Press, 2004. 正確には、両用語とも参考文献中に1回だけ現れる。すなわちLevinsohn (1997) Carwars: Trying to Make Sense of U.S.-Japan Trade Frictions in Automobile and Automobile Parts Markets, 1997 と Tyson (1992) ''Who's bashing Whom: Trade Conflict in High-tech Industries''が引用されている場所にのみ""trade friction"および"trade conflict"という用語が現れる。</ref>。
 
例外として、竹森俊平『国際経済学』(東洋経済新報社、1995)と佐藤秀夫『国際経済/理論と現実』(ミネルヴァ書房、2007)がある。竹森『国際経済学』の第8章は「通商摩擦と通商交渉」と題され、第4節では「貿易紛争の多発化」が説明されている。佐藤『国際経済』では、摩擦緩和措置としての輸出自主規制、貿易摩擦解消目的の国際直接投資(FDI)などに触れられている。
 
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貿易摩擦がなぜ起こるかについては、現在のところ、十分な理論はない。根岸隆は、2001年の著書''Development of International Trade Theory''「貿易の利益の証明は、生産要素が国内経済で完全にかつ効率的に雇用されていることを暗に仮定している」(p.147)と指摘している<ref>Takashi Negishi ''Development of International Trade Theory'' Kluwer Academic Publishers, 2001.その理由は、「もし労働の失業あるいは資本の不完全利用が存在するならば、産出されて商品の組合せは生産曲線上に位置しえない」(pp.147-148)からである。</ref>。Heid and Larch は「貿易自由化の厚生効果の定量化は国際貿易おけて中核的問題の一つである。既存の枠組みは用の完全労働市場を前提にしており、したがって総雇用量の変化という厚生効果を無視している」と指摘している<ref>Benedikt Heid and Mario Larch 2014 International Trade and Unemployment: A Quantitative Framework, CESifo Working Paper No. 4013, Abstract. Introduction にも同様の主張がある。</ref>。通常の貿易理論は、各国の完全雇用(一般均衡)を前提に組み立てられており、貿易摩擦の主要な要因のひとつである失業問題を主題とできていない<ref>田淵太一『貿易・貨幣・権力』ミネルヴァ書房、2006年、第5章「新古典派貿易理論の誕生/「ケインズ革命への不感応」。</ref>。ハロッドは、「古典学派の理論の欠陥は、...その論理がいかなる場合においても完全雇用が維持せられるという仮定を要求するという事実に基づく」(p.213)と指摘し、その著の第7章・第8章において主として「失業と国際貿易との関係」を検討したが(p.134)、このような分析は現在でも珍しい<ref>ハロッド『国際経済学』(改訂版、藤井茂訳、実業之日本社、1958)。</ref>。
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== 国際収支 ==
{{see also|国際収支統計#学者の見解}}