2006年6月8日 (木) 23:25時点における版編集 Vina-iwbot~jawiki (会話 \| 投稿記録) 20,456 回編集 m robot Adding: ru:Флюсы, uk:Флюс, zh:助熔劑 ← 古い編集		2006年8月5日 (土) 09:19時点における版編集取り消し Calvero (会話 \| 投稿記録) 20,476 回編集 m mdcat, sty, -stub, lk 新しい編集 →
1行目: '''融剤'''（~~'''~~ゆうざい~~'''、flux）~~ ）は物質を融解しやすくするために添加される物質で'''フラックス''' (flux) ともいう。用途に応じて色々な物質が用いられる。融剤が溶解を促進する作用は化学反応や塩の交換反応に基づいて液相を形成する場合が多い。また、[[セラミックス]]の焼結反応や結晶化を促進する目的や単結晶を得やすくするために添加される薬剤などは多成分系の融点降下により溶けやすくする。融雪剤はこの一種で、この原理は化学変化ではなく多相系の[[束一的性質]]による。乾式製錬で融剤が反応して生成するスラグは融解を促進する作用以外に、表面に浮かぶことで大気を遮蔽したり、不純物を取り込むなど精錬度を向上させる作用も併せ持つ。 == 鉱石の製錬時に用いる融剤 == 各種鉱石中の岩石成分は製錬に際しては無用のものであり、できるだけ事前に取り除いておく(（[[選鉱]])）が必要であるが、除き切れなかったものはある程度の高温で融けて流動することが望ましい。そうすれば鉱石だけが比重が大きいので沈み、浮き上がった鉱サイは流出させることができる。▼ ~~'''融剤''' ('''ゆうざい''') は物質の流動点を下げるための物質で'''フラックス'''fluxともいう。~~ 岩石中の主たる成分は[[ケイ酸]]である。ケイ酸は~~2000℃~~ 2,000 ℃ の高温でも流動しにくい。それはケイ素原子の4本の結合手がすべて二本の結合手を持つ酸素原子と結合し、三次元網目状になっているからである。すなわち、その酸素原子の一部でも1本の結合手しかない[[フッ素]]に置き換えることができれば、それだけで網目構造はかなり不完全なものとなる。▼ ▲各種鉱石中の岩石成分は製錬に際しては無用のものであり、できるだけ事前に取り除いておく([[選鉱]])が必要であるが、除き切れなかったものはある程度の高温で融けて流動することが望ましい。そうすれば鉱石だけが比重が大きいので沈み、浮き上がった鉱サイは流出させることができる。古来融剤として[[蛍石]](（[[フッ化カルシウム]])）が用いられてきた。鉱石を加熱して蛍石を投入すると不要部分が融けて流れ出すことからフッ素には fluorine と言う名前が与えられた。この言葉は英語では flow( （流れる)）という語と同語源である。そのとき蛍石は赤紫色の光を発した。これは[[蛍光]] fluorescence という語になった。▼ ▲岩石中の主たる成分は[[ケイ酸]]である。ケイ酸は2000℃の高温でも流動しにくい。それはケイ素原子の4本の結合手がすべて二本の結合手を持つ酸素原子と結合し、三次元網目状になっているからである。すなわち、その酸素原子の一部でも1本の結合手しかない[[フッ素]]に置き換えることができれば、それだけで網目構造はかなり不完全なものとなる。その後、多くの鉱物が融剤としての効果を認められ、現在に至っている。製鉄では石灰石がケイ酸と結合してケイ酸カルシウムになり、銅の製錬では鉄分の除去に、ケイ酸と石灰石を加えて生じるケイ酸カルシウムを用いる。ケイ酸鉄がケイ酸カルシウムに融け込みやすいことを利用している。これは、ケイ酸は酸性酸化物であり、石灰石が分解して生じる酸化カルシウムは塩基性酸化物であるから、塩を作りやすいことに起因する。生じたケイ酸イオンは２2次元高分子のイオンであり、ある程度の高温 (~~700℃~~700 ℃) で流動しやすい。▼ ▲古来融剤として[[蛍石]]([[フッ化カルシウム]])が用いられてきた。鉱石を加熱して蛍石を投入すると不要部分が融けて流れ出すことからフッ素にはfluorineと言う名前が与えられた。この言葉は英語ではflow(流れる)という語と同語源である。 ~~そのとき蛍石は赤紫色の光を発した。これは[[ケイ光]]fluorescenceという語になった。~~ また、アルミニウムの製錬においては氷晶石に酸化アルミニウムが融けこみやすいことを利用し、~~800℃~~800 ℃ 前後まで融解点を下げることができる。これも酸化アルミニウムの共有結合性の高い３3次元網目構造に、1本の結合手しかないフッ素原子が入り込むことによる。▼ ~~その後、多くの鉱物が融剤としての効果を認められ、現在に至っている。~~ 製鉄では石灰石がケイ酸と結合してケイ酸カルシウムになり、銅の製錬では鉄分の除去に、ケイ酸と石灰石を加えて生じるケイ酸カルシウムを用いる。ケイ酸鉄がケイ酸カルシウムに融け込みやすいことを利用している。 ▲これは、ケイ酸は酸性酸化物であり、石灰石が分解して生じる酸化カルシウムは塩基性酸化物であるから、塩を作りやすいことに起因する。生じたケイ酸イオンは２次元高分子のイオンであり、ある程度の高温(700℃)で流動しやすい。 ▲また、アルミニウムの製錬においては氷晶石に酸化アルミニウムが融けこみやすいことを利用し、800℃前後まで融解点を下げることができる。これも酸化アルミニウムの共有結合性の高い３次元網目構造に、1本の結合手しかないフッ素原子が入り込むことによる。 == 化学分析で用いる融剤 == 中和や塩の交換反応により、酸に水溶液に溶けない物質を可溶性塩で添加する薬剤を~~'''~~融剤~~'''~~と呼ぶ。塩基性の金属酸化物に対しては硫酸水素ナトリウム等やなど、ケイ酸塩に対して炭酸ナトリウムや四ホウ酸リチウム等が利用される。あるいはホウ砂球試験の様に、溶融したホウ砂に分析試料の金属酸化物や金属塩を溶融呈色させる場合もある。 == ロウ付け、半田付けのときの融剤 == 26 ⟶ 21行目: == 融剤法 == 目的物と反応せず且つ目的物と分離が容易な融剤を用いて溶融液を生成しその中で合成や単結晶生成を行う方法を'''融剤法'''、フラックス法~~（-ほう、~~ (flux ~~method）~~method) と呼ぶ。融剤として、PbO、PbF<sub>2</sub>、KCl-NaCl 等が用いられる。生成物を得るには鉛の様に融剤を気化蒸発させたり、冷時融剤中に生成した単結晶を融剤を水に溶かして除去する。融剤法は[[フェライト]]、[[ルビー]]などの合成、単結晶化に利用されている。 ==出典== 岩波書店理化学辞典第５5版平凡社世界代百科事典 [[Category:~~化学物質 (総称)~~金属加工\|ゆうさい]] [[Category:化成品\|ゆうさい]] ~~{{sci-stub}}~~ [[de:Flussmittel]]

「融剤」の版間の差分