「知的財産権」の版間の差分

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== 日本における知的財産訴訟の現状(他国との比較を含む) ==
=== 実情 ===
一般に知的財産に関する[[民事訴訟]]は、以下の2つに大別される。
* [[特許権]]等の知的財産権が侵害された場合にその差止めや損害賠償を求める侵害訴訟と、
* [[特許]]等の有効性などを争う訴訟との有無大別され関す訴訟
 
日本では、2005年(平成17年)の[[知的財産高等裁判所]]の設置と時期を同じくして、侵害訴訟のうち、特許等に関する訴訟につき、知的財産権専門部を有する東京地裁と大阪地裁の専属管轄とし、その他の[[著作権]]、[[商標]]、[[意匠]]、[[不正競争]]に関する訴訟については、東京地裁・大阪地裁と各地の地裁との競合管轄とし、知的財産の専門的知見を有する[[裁判官]]が対応する体制を強化した。また、特許等の有効性などを争う法的手続については、従来から、まず[[特許庁]]での審判手続によることとし、同手続での特許庁の審決に不服がある場合に、知的財産高等裁判所へ審決取消訴訟を提起するという制度がとられている<ref>ただし、平成16年の特許法・商標法・意匠法改正により、侵害訴訟でも、特許等が無効事由を有することは、差止請求や損害賠償請求を否定する根拠とできるようになった。この点は、アメリカ、イギリス、フランスと同様である一方、侵害訴訟と特許等の有効性などを争う訴訟を厳密に分けるドイツとは異なる。</ref>。
 
知的財産権侵害訴訟の第一審における平均審理期間は、おおむね13〜15か月で推移している<ref> [http://www.ip.courts.go.jp/documents/statistics/stat_03/index.html 知的財産権関係民事事件の新受・既済件数及び平均審理期間]</ref>。世界各国の知的財産訴訟の実態を知る[[弁護士]]や企業関係者は、日本の知的財産訴訟につき、欧米諸国と比べても、このような審理期間、[[判決]]の正確性・信頼性のいずれについても高い水準にあると評価している上、訴訟に要する費用も他国に比べて低額であるため、コストパフォーマンスの高い知財訴訟制度が実現されているといえる<ref name="player">[http://www.jpaa.or.jp/activity/publication/patent/patent-library/patent-lib/201204/jpaapatent201204_105-121.pdf 宮内弘、高山裕貢「企業から見た望ましい紛争解決のあり方」パテント2012年65巻4号109ページ]</ref><ref name="litigation">[http://www.jpaa.or.jp/activity/publication/patent/patent-library/patent-lib/201208/jpaapatent201208_123-142.pdf シンポジウム「我が国における侵害訴訟の活用」パテント2012年65巻8号133ページ ]</ref>。2013年6月7日に[[閣議決定]]された『[[知的財産政策ビジョン]]』でも、日本の知的財産訴訟の迅速性や判決の正確性・信頼性に対する具体的な問題点の指摘はなく<ref name="ipvision"> [http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/vision2013.pdf 知的財産戦略本部「知的財産政策ビジョン(2013年6月7日)」25~28ページ]</ref>、様々な課題を指摘していた2003年の『知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画』<ref>[http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/030708f.html#2-I-4 「知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画」(2003年7月8日)]</ref>とは、全く対照的である。