「ラファール (航空機)」の版間の差分

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Pipip672 (会話 | 投稿記録)
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[[1980年代]]初め[[西ヨーロッパ]]諸国で[[戦闘機]]を共同開発をする計画が上がり、当初[[フランス]]もその計画に参加していた。この戦闘機はフランス以外の国では陸上戦闘機として使用するため機体サイズに制約はなかったが、当時は[[ヨーロッパ|欧州]]各国で唯一フランスだけが[[航空機の離着陸方法#通常離着陸機|CTOL]]型[[航空母艦]]を保有しており、その[[艦上機]]としての運用も考えていたフランスは機体サイズに関するフランス案の採用を求めていた。[[フランス空軍|空軍]]は[[ミラージュF1 (戦闘機)|ミラージュF1]]と[[ミラージュ2000 (戦闘機)|ミラージュ2000]]、[[フランス海軍|海軍]]は[[シュペルエタンダール]]と[[F-8 (戦闘機)|LTV F-8E]]の後継機をそれぞれ必要としており、前者を戦術作戦機(Avion de Combat Tactique:ACT)、後者を海軍作戦機(Avion de Combat Marine:ACM)と呼び、空軍海軍両軍はACTとACMを共同で試作用作戦機(Avion de Combat Experimenatal:ACX)として開発することにした。これが後のラファールの原型である。
 
フランスは自国産の[[エンジン]]に執着しており、[[サフラングループ|サフラン社]](2005年に[[スネクマ]]社と[[SAGEM|サジェム社]]が合併して設立)、の[[スネクマ M88|M88エンジン]](推力7,600[[キログラム|kg]]<ref>http://www.snecma.com/military-engines/training-and-combat-aircraft/m88</ref>)の採用を強く主張した<ref group="注">以前にスネクマ社が開発したミラージュ向けの[[スネクマ M53|M53エンジン]](推力は初期型が8,500kg、中期型が9,000kg、後期型が9,700kg)よりも低推力だが、単発機のミラージュに対して海軍機としての運用も目指したACXは双発であることを要求されたため、軽量で小型なエンジンが必要だった</ref>。しかし、より高性能な国際共同開発(事実上は[[イギリス]]政府と、再民営化前の[[ロールス・ロイス・ホールディングス|RR]]が主導)の[[ユーロジェット EJ200]]<ref group="注">M88エンジンよりわずかに大きい程度のサイズだが、それらより一回り大きい旧式の[[スネクマ M53|M53]]と同等以上となる9,700kgの推力を有する</ref>を搭載するということでフランス以外の国では話がまとまってきており、出力の低さが機体規模を制約するM88エンジンが採用される可能性は皆無に等しかった。当時のスネクマ社は経営状況が思わしくなく、M88の採用に会社の存亡がかかっているといっても過言ではなかったこと、フランス政府にとっては自国の産業を守る意味でも、核弾頭、ミサイル、原子炉のすべてを国産した核戦力同様に全方位戦略の後ろ盾としての外国の意向に左右されない自国製戦闘機用エンジンの確保という意味でも妥協はあり得なかった。
 
また、陸上基地から発着する空軍機としての運用を主眼としていた他国と異なり、2隻のCTOL空母を保有するフランスは、生産機数の{{分数|1|4}}から{{分数|1|3}}になる海軍機として共用できるかどうかは、総生産機数と単価に関わる重大事でもあった<ref group="注">同時期に共同開発に参加した国々が保有・建造していた空母(イギリスの[[インヴィンシブル級航空母艦|インヴィンシブル級]]、スペインの[[デダロ (空母)|デダロ]]と[[プリンシペ・デ・アストゥリアス (空母)|プリンシペ・デ・アストゥリアス]]、イタリアの[[ジュゼッペ・ガリバルディ (空母)|ジュゼッペ・ガリバルディ]])はいずれもヘリコプターと[[ホーカー・シドレー ハリアー|ハリアー]]のみを搭載可能な[[軽空母]]であり、西ドイツに至っては空母の建造保有は計画すらされていなかった。</ref>。保有する[[クレマンソー級航空母艦|クレマンソー級]]は正規空母とはいえ排水量は[[エセックス級航空母艦|エセックス級]]と同程度であり、[[カタパルト]]の能力ではより劣っていたことから運用できる機体規模については20トン程度が限度であり、のちに「[[シャルル・ド・ゴール (空母)|シャルル・ド・ゴール]]」として結実する原子力空母がより新型のカタパルトや着艦拘束装置を搭載するにせよ、ドックによる船体の上限、その船体が支える飛行甲板面積の制限がある以上、大型艦上機は飛行甲板でのハンドリングにおいて不利に働く。そのため、フランスにはM88を捨ててまで国外製エンジンを搭載したより大型大重量の戦闘機を採用するという動機に欠けていた。