「後鰓類」の版間の差分

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餌に含まれる毒と体色(警告色)の関係について説明を追加。
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== 特徴 ==
体は柔らかく、[[貝殻]]は小さいか消失している種が多い。殻の蓋はなく、蓋をもたないことは、旧分類における[[有肺類|有肺亜綱]](カタツムリ類)との共通した特徴である。貝殻を失った種では、通常の巻き貝の神経系が180°捻れているのに対し、このねじれが解消し、太古の祖先と同じ左右対称となっているが、生殖器の位置が右側にかたよるなど、すべてのねじれが完全に解消されているわけではない。頭部と外套幕の間には明確な分かれ目がなく、触手は口の横に位置しており口触手とよばれる。触手の後ろには複雑な形をした嗅覚器官である触角(rhinophore)がある。足の真ん央付近が移動のためのいわゆる足の裏である。一部の種では、足の横側が疣足に進化していて、翼の形をして外に飛び出しているものもある。[[有殻翼足類]]と[[裸殻翼足類]]は、疣足で泳ぐことができる。敵が逃げ出すよう警告す含まれため[[毒]]を体内蓄積し派手な体色や模様を持つ種も多く、そ体色や模様けばけばしい[[警告]]であると考えられている。しかし、けばけばしい色は[[サンゴ]][[ヤギ]]などカラフルな生物が存在多数生息する熱帯の海底においては、派手な体色は保護色としてはたらい機能しているとも言われる。
 
食性はアメフラシが[[海藻]]食であるために海藻を食べる[[草食動物|草食性]]の種が多いと思われがちであるが、肉食性のものが圧倒的に多い。海藻を食べる後鰓類は、無楯類、嚢舌類のほぼ全てと頭楯類の一部(ブドウガイなど)に限られ、他に有殻翼足類が植物[[プランクトン]]を餌としている程度である。上記のように、有毒な[[付着生物]]を餌とし、その毒を体内に蓄積する種が多い
 
== 分類 ==
腹足綱の分類および系統発生の理解は、20世紀の終わりから21世紀の初めにかけての数年の間に急速に発展している。旧分類(J.Thiele 1929-1935)であるにおいて腹足綱を構成する[[前鰓類|前鰓亜綱]]({{sname||Prosobranchia}})、後鰓亜綱({{sname|Opisthobranchia}})、[[有肺類|有肺亜綱]]({{sname||Pulmonata}})の3(ないし4)個の下位分類は、もはや受け入れられていない。新分類では、後鰓類、有肺類、[[異旋類]](前鰓類の一部)を[[直腹足亜綱]][[異鰓上目]]にまとめる。
 
過渡的な分類では、後鰓類、有肺類を目とし、それにより伴い従来の目は繰り下がって亜目とする分類もあった。
 
しかし、議論のあるところ見解の一致には至らないものの、後鰓類と有肺類は、異鰓類の系統の中で複雑に入り組んでおり、共に[[多系統]]と推測されている。そのため近年は、これら分類群としては採用されず、直腹足亜綱の下に、かつて後鰓亜綱の下にあった目を並べることが多い。
 
古い文献だけでなく新しい文献やウェブサイトでも旧分類での説明がなされている場合がある。その場合、「後鰓類」という言葉は後鰓亜綱を意味するのではなく、記述的な「心臓の後ろに鰓がある腹足綱の動物」を意味する。しかし、一部の頭楯亜目では、心臓の前に鰓があったり、また微小な種では鰓を全く欠き、呼吸全般を皮膚呼吸のみまかなっているものもあり、いちがい一概に鰓の位置だけでまを分類の根拠ることはできない。
 
===旧分類の例===
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|doi = 10.1186/1471-2148-8-57
|url = http://www.biomedcentral.com/1471-2148/8/57
}}</ref>によると、解析より具体的な系統の細部には多少の差はあるものの、後鰓類と有肺類は互いに混在した系統になっており共に[[単系統]]ではない。最近の解析 (Klussmann-Kolb ''et al''. 2008) によれば、スナウミウシ類と嚢舌類は、残りの後鰓類より有肺類と近縁である。
 
また、近年分割されるようになった傘殻類と側鰓類、頭楯類と {{sname|Architectibranchia}} は実際に別系統である(ただしニセイワヅタブドウガイ類は解析されていない)。