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ただしF-14の可変後退翼はさらに進歩しており、後退角や[[高揚力装置|後縁フラップ]]を自動コントロールにして[[ドッグファイト|空中格闘戦]]能力が大幅に向上していた。一方後退角を手動で制御するMiG-23の前期型([[MiG-23M (航空機)|MiG-23M]]など)までは格闘戦能力の向上効果は無く、MiG-23の可変翼は、SPK-1システムを介して[[油圧]]により16-72度の範囲で後退角が変わるものであったが、戦闘時には主翼を45度の中間位置に固定させるようになっていた。しかし後期型の[[MiG-23MLD (航空機)|MiG-23MLD]]では、戦闘時の後退角度は33度に変更され、後退角度制御こそ手動のままであるが、前縁フラップは自動制御になり、格闘性能を向上させている。主翼には、後縁に単隙間フラップと上面にスポイラーを装備しており[[補助翼]]はなく、前者は前縁フラップと連動して空戦フラップとして機能して、後者は後述の全遊動式の水平尾翼の組合わせにより機体のローリングの操縦を行う。尾翼は前縁後退角65度の垂直尾翼と前縁後退角57度の全遊動式の水平尾翼があり、胴体背部には垂直尾翼まで伸びるドーザル・フィンが取付けられている。後部胴体中心線の下面には、油圧により右側に折り畳まれる構造の大型のベントラル・フィンが取付けられており、離着陸時には、[[降着装置]]と連動して作動する。また、水平尾翼下の後部胴体側面の左右にエアーブレーキを装備している。
 
機首に搭載するレーダーは、初期の機体には、[[MiG-21 (航空機)|MIGMiG-21]]と同じ[[マイクロ波|Jバンド]]を使用するRP-22サフィール21(NATOコードネーム ジェイ・バード)火器管制レーダーを装備しており、最大捜索距離は29km、目標の最大追跡距離は19.3kmの性能を持ち、全天候迎撃能力は制限されたものであったが、その後の機体には、同じくJバンドのパルス・ドップラー・レーダーを使用した、サフィール23D-Sh(NATOコードネーム ハイラーク)を装備しており、最大捜索距離は80.4km、目標の最大追跡距離は56.3kmと大幅に性能が向上した。その後の発展型には、サフィール23ML(NATOコードネーム ハイラーク2)や[[ルックダウン能力|ルックダウン・シュートダウン能力]]を付与したサフィール23Pなどの能力向上型を装備している。
 
武装は、胴体中心線に23mmのGSh-23L機関砲を装備しており、ハードポイントは胴体中央下面・主翼固定部・可変翼に兵装パイロンを装備している。
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=== 発展 ===
[[戦闘機]]型としては、初期[[レーダー]]搭載型[[MiG-21 (航空機)|MiG-21]]同様のサプフィール21レーダーを搭載した初期生産型の'''[[MiG-23S (航空機)|MiG-23S]]'''、本来のサプフィール23を搭載し[[1970年代]]に[[ソビエト連邦空軍|ソ連空軍]]の主力となった'''[[MiG-23M (航空機)|MiG-23M]]'''、及びそのダウングレード・輸出型の'''[[MiG-23MS (航空機)|MiG-23MS]]'''と[[ワルシャワ条約機構]]向けの輸出型'''[[MiG-23MF (航空機)|MiG-23MF]]'''、機体構造を全面的に見直し[[エンジン]]を換装した後期型の'''[[MiG-23ML (航空機)|MiG-23ML]]'''、その[[ソ連防空軍|防空軍]]向けの[[迎撃戦闘機]]型'''[[MiG-23P (航空機)|MiG-23P]]'''、それに準じた空軍向けの'''MiG-23MLA'''、第4世代機に対応するための改良型'''MiG-23MLD'''とその輸出型などがあり、戦闘爆撃機型には輸出向けの'''[[MiG-27 (航空機)|MiG-23BN]]'''、ソ連空軍向けの'''MiG-27/K/M/D'''及び[[インド空軍]]向けの'''MiG-27ML'''('''M'''または'''L'''とも呼ばれる)、その他[[練習機]]型の前期型'''[[MiG-23UB (航空機)|MiG-23UB]]'''と後期型'''[[MiG-23UM (航空機)|MiG-23UM]]'''などがある。[[艦上攻撃機]]型MiG-27は量産されなかった。なお、[[攻撃機]]型MiG-23/27シリーズの国内対抗機と言える機体に[[Su-17 (航空機)|Su-17]]シリーズがある。Su-17シリーズはいずれも前線[[偵察機]]としても使用されたが、MiG-23/27シリーズには結局、[[偵察]]能力は付与されなかった。
 
=== 配備 ===
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}}</ref>。また、[[日本]]周辺では[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]に約46機が配備されており、[[2003年]]3月に[[MiG-29 (航空機)|MiG-29 9-13]]と共に[[アメリカ軍|米軍]][[偵察機]][[RC-135 (航空機)|RC-135]]を迎撃、[[2009年]][[4月5日]]に行われた[[北朝鮮によるミサイル発射実験 (2009年)|北朝鮮によるミサイル発射実験]]の際に北朝鮮側のMiG-23が周囲を警戒、うち1機が原因不明で墜落した。[[2010年]][[11月23日]]に発生した[[延坪島事件]]においては、北朝鮮側は[[砲撃]]直前にMiG-23[[戦闘機]]5機を出動させ、哨戒任務を行っていた。
 
しかしながら、[[冷戦]]終結に伴う各国の予算逼迫と経年劣化によりMiG-23の多くは既に退役しており、[[ヨーロッパ]]では[[2002年]]10月の[[ブルガリア空軍]]からの[[MiG-23MLA (航空機)|MiG-23MLA/MLD/UB]]の退役を最後に姿を消した(但し、同空軍が1機。これら多くみ保有していた国でMiG-23ML23/27の退役が進む一方、[[2005年]]になってアンゴラロシアに対し自国後も運用MiG-23を能力向上型のMiG-23-98に改修する契約を結んでおり、[[2007年]]現在実際に改修されていたとされる機体の写真が公表されて。また、[[リビア]]のMiG-23BN23MLAしばらくウクライナでオーバーホールを受けている。[[コンゴ民主共和国]]で保管状態、新規に中古の複座型が導入されている。[[コートジボワール]]は、[[フランス]]軍によて破壊され同国の[[Su-25 (航空機)|Su-25UB]](旧[[ベラルーシ]]空軍機)の補完いわして旧ブルガリア空軍機のMiG-23MLD(輸出型)が輸入さてい
 
=== 成績戦果 ===
[[ウクライナ]]ではMiG-23M及び後期型(主として[[MiG-23MLD (航空機)|MiG-23MLD]])や複座型、並びに[[MiG-27 (航空機)|MiG-27]](サブタイプ不明)がMiG-21やMiG-29などとともに[[リヴィウ]]や[[オデッサ]]の飛行場に列をなしている[[2005年]]や[[2006年]]の写真が存在するが、運用中であるということではなく近年退役して保管状態にあるものと考えられる。このほか、[[ビーラ・ツェールクヴァ]]での保管機、[[ハルキウ]]での教材用保管機などが知られる。但し、[[ウクライナ国防省]]の公式ページでは現在の運用機に含まれており、一部資料では100機以上が現役にあるとされる。
MiG-23は、対[[戦闘機]]戦闘においては、使用国自体の体制的な問題もあり、西側製の戦闘機に多くの場合敗れている(アンゴラは、有利な態勢で戦闘を行うことの出来た希な例である)。[[リビア]]空軍機を[[アメリカ海軍]]機が撃墜したことは[[アメリカ合衆国]]によって広く宣伝された。また、[[イスラエル]]も同様に自国の戦果を大きく宣伝しており、多数のMiG-23を撃墜し自らの損害はごく僅かであったとしている。[[中東戦争]]やその後の消耗戦、[[イラン・イラク戦争]]及び[[湾岸戦争]]以降の[[イラク]]でも多くの機体が撃墜・破壊されたとされている。一方で、主翼が前進状態であればそれなりに敏捷であり、アンゴラでは使用国及び[[ソビミラージュIII (戦闘機)|ミラージュIII]]や[[アト連邦ルマッキ MB-326|ソ連インパラ]]側からは戦果の至近距離(半[[マイル]](およそ800m)程度と言われる)の[[ドッグファイト]]で後ろに回りこみ、相手を撃墜て主張されているケー。実戦においてより大きな役割を果たしたのは[[攻撃機]]型で、[[インド]]や[[も少なくリランカ]]、[[エチオピア]]どでの働きが知られて
 
[[ベラルーシ]]での現況は不明であるが、若干機数が保管状態にあるようである。
 
[[ロシア]]ではMiG-23MLDを中心に若干数が試験用途などに運用されている模様であるが、本来であれば遙かに多くの機体が第一線、第二戦で運用されているはずであった。ヨーロッパからMiG-23が姿を消していった主な理由は、冷戦終結により単純に作戦機数が過剰となったこと、経済状況の悪化に関連し、可変翼による複雑な機体構造とその維持費の高さの問題、そして[[欧州通常兵器制限交渉]]などであった。ロシアに関しては、欧州通常兵器制限条約締結の他に空軍の「以後の作戦機はすべて双発とする」とした決定もあり、[[1990年代]]の経済崩壊がさらに退役を早めたといえる。
 
これら多くの国でMiG-23/27の退役が進む一方、[[2005年]]になってアンゴラはロシアに対し自国のMiG-23を能力向上型の'''[[MiG-23-98 (航空機)|MiG-23-98]]'''に改修する契約を結んでおり、[[2007年]]現在実際に改修されたとされる機体の写真が公表されている。また、[[リビア]]のMiG-23MLAもウクライナでオーバーホールを受けている。[[コンゴ民主共和国]]では、新規に中古の複座型が導入されている。[[コートジボワール]]では、[[フランス]]軍によって破壊された同国の[[Su-25 (航空機)|Su-25UB]](旧[[ベラルーシ]]空軍機)の補完として旧ブルガリア空軍機のMiG-23MLD(輸出型)が輸入されている。世界ではより新しい機体の導入も難しくはなくなっているが、こうした新たな動きから、今後すぐにMiG-23シリーズが世界から全廃されることはないようである。
 
=== 成績 ===
MiG-23は、[[モンキーモデル]]の情報が流れていたこと、同時代の[[MiG-25 (航空機)|MiG-25]]が[[ベレンコ中尉亡命事件]]でその実態が暴かれて評価が下がった影響などがあり、旧来西側からは非常に低く評価されてきた。[[冷戦]]終結後その評価は一変し、特に全面的な改設計により大幅に能力を高めたMiG-23ML以降の後期型に関しては、西側の[[F-4 (戦闘機)|F-4ファントムII]]を凌駕する性能を認めた。また、その攻撃力と加速力の高さにより[[F-16 (戦闘機)|F-16]]、[[F/A-18 (航空機)|F/A-18]]などにとっても脅威になると考えられている。[[MiG|ミグ航空局]]では[[マッハ数|マッハ]]1前後の加速力はF/A-18を凌ぐとしている(ただしF/A-18は元より遷音速域での加速性能が弱点として挙げられている機体である)。しかしながら、スピードと遠距離からの[[ミサイル]]攻撃を重視するという設計当時の世界的な潮流に漏れず、MiG-23も空中格闘戦向きの設計にはなっておらず、特にロール率が悪いため、旋回方向をすばやく変えることが出来ない。とは言え、主翼が前進状態であればそれなりに敏捷であり、アンゴラでは、[[ミラージュIII (戦闘機)|ミラージュIII]]や[[アエルマッキ MB-326|インパラ]]との至近距離(半[[マイル]](およそ800m)程度と言われる)の[[ドッグファイト]]で後ろに回りこみ、相手を撃墜している。
 
実戦においてより大きな役割を果たしたのは[[攻撃機]]型で、[[インド]]や[[スリランカ]]、[[エチオピア]]などでの働きが知られている。
 
MiG-23は、対[[戦闘機]]戦闘においては、使用国自体の体制的な問題もあり、西側製の戦闘機に多くの場合敗れている(アンゴラは、有利な態勢で戦闘を行うことの出来た希な例である)。[[リビア]]空軍機を[[アメリカ海軍]]機が撃墜したことは[[アメリカ合衆国]]によって広く宣伝された。また、[[イスラエル]]も同様に自国の戦果を大きく宣伝しており、多数のMiG-23を撃墜し自らの損害はごく僅かであったとしている。[[中東戦争]]やその後の消耗戦、[[イラン・イラク戦争]]及び[[湾岸戦争]]以降の[[イラク]]でも多くの機体が撃墜・破壊されたとされている。一方、使用国及び[[ソビエト連邦|ソ連]]側からは戦果として主張されているケースも少なくない。
なお、重度のプレッシャー下にあることによる戦果の過大な報告に加え、損傷と撃墜・撃破の差異がつかず帰還機が「撃墜」と報告されることも多く、事後にならなければどちらの側の情報も信憑性は高くはないため、実際の「成績」を知ることは著しく困難である。
 
以下は伝えられるとおりの情報の簡略な紹介である。
 
*'''リビア対アメリカ合衆国'''