「野手選択」の版間の差分
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'''野手選択'''(やしゅせんたく)とは、[[野球]]の記録上の用語である。'''野選'''(やせん)と略す。英語では''Fielder's choice''(略記: ''FC'')といい、[[日本野球機構]]の公認野球規則では'''フィールダースチョイス'''で、また'''フィルダースチョイス'''とも言う。
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野手選択に関しては[[公認野球規則]]「本規則における用語の定義」(28)で定義されている。
# [[フェアボール|フェア]]の[[ゴロ]]を扱った[[野手]]が、[[走者|打者走者]]を一塁で[[アウト (野球)|アウト]]にする代わりに、前を走る[[走者]]をアウトにしようとして、他の塁に送球する行為
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# 盗塁に対して守備側が無関心のために何も守備を行わないために、走者が進塁した場合
1.は野手の行為そのものを指す。2.
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前述した公認野球規則における野手選択の定義とは別に、1.のケースで走者をアウトにできなかったケースのみを指して「野手選択」と表現することがある(後述)。1.の行為で走者をアウトにすれば「送球アウト」や「[[フォースプレイ|フォースアウト]]」、2.や3.の場合は「送球間の進塁」や「内野ゴロの間の進塁」、4.の場合は「守備側の無関心」などと呼ぶ場合が多い。
== 具体例 ==
上記1.の例外として、最終回または延長戦裏の無死または一死、同点で三塁に走者が居る場面で、本塁に突入した走者に対して本塁送球を試みたものの、走者が生還し、打者も一塁に生きて[[サヨナラゲーム]]となった場合がある。野手は本塁にしか送球の選択肢がなかったとされ、たとえ、送球のタイミングが明らかに間に合わなかったとしても、安打が記録される。ただし、送球のタイミングは間に合っていたのに、野手の悪送球や[[捕手]]が球を零したことで生還を許した場合は、失策となる。▼
: 走者一塁で、打者は三塁前にゴロを打ち、[[三塁手]]は一塁走者を二塁でフォースアウトにしようと思い二塁に送球した。この場合、'''一塁走者をフォースアウトにできたかどうかに関わらず'''、三塁手の二塁への送球には野手選択が記録される。加えて、
野手選択による出塁・進塁によって失点した場合、例え明確な野手の判断ミスであったとしても、[[投手]]の[[自責点]]となる。(除外対象とはならない)▼
:# 二塁がアウトになった場合、三塁手には[[補殺]]、打者には三塁ゴロが記録される。また、さらに一塁に転送して打者走者もアウトにした場合には、守備側には[[併殺]]、打者には併殺打が記録される。
:# 三塁手は正確な送球を行ったものの一塁走者をアウトにできず、かつ二塁に送球せず一塁に送球していればアウトにできていたと記録員が判断した場合は、打者には三塁ゴロが記録される。
:# 三塁手は正確な送球を行ったものの一塁走者をアウトにできず、かつ二塁に送球せず一塁に送球していてもアウトにはできていなかったと記録員が判断した場合は、打者には三塁安打が記録される。
:# 三塁手の送球が悪送球となった場合で、三塁手が正確に送球していれば一塁走者をアウトにできていたと記録員が判断した場合は、三塁手には失策、打者には三塁ゴロが記録される。ただし、三塁手の送球が正確であっても一塁走者をアウトにはできなかったと判断された場合は失策は記録されず、打者には一塁に送球されていればアウトの場合は三塁ゴロが、アウトでない場合は三塁安打が記録される。
:このように、最終的にアウトを取ることができたかどうかに関係なく、三塁手が二塁に送球した時点で三塁手には野手選択が記録される。
:しかし、一般にメディアで「野手選択(フィルダースチョイス)」と呼称されるのは上記の2.の「安打や失策によらずに打者も走者も塁に生きたケース」のみである。[[野球場]]の[[スコアボード]]に「Fc」の表記が出るのも2.のケースのみである。安打や失策以外の理由でアウトカウントが増えなかった理由を「野手選択による出塁」として説明することが多い。2.のケースで、打者の打撃成績としてテレビや新聞、雑誌等で「野選」、「三塁野選」などの表記がとられることも多いが、実際の打撃成績の記録として「野手選択」という成績があるわけではない(打者は[[打数]]が増え、安打か凡退のいずれかが記録される)。
: なお、打者がバントをしていた場合、2.のケースでは三塁ゴロにかわって犠打が記録される。この場合、メディアでは「記録は犠打と三塁手の野手選択」、「犠打野選」などと表現されることが多い。4.のケースは正確に送球されていれば一塁走者がアウトになっているため犠打は記録されない。
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1死一塁から打者は内野ゴロを打ち、内野手は一塁ならアウトにできたが二塁に送球しオールセーフとなった。次打者を三振に抑えたものの次々打者に本塁打を打たれたような場合、投手の自責点は3点である(エラーでオールセーフになったような場合は投手の自責点は0点である)。
==== サヨナラ時の野手選択 ====
▲
: 走者一・二塁で、打者は[[中堅手]]の前に落ちる安打を打った。二塁走者は三塁を回って本塁へ向かい、これを見た中堅手は本塁で二塁走者をアウトにできると思い、捕手へ送球した。
: 守備側のチームが大きくリードしている展開で走者一・三塁
▲; 1.の例
▲; 2.、3.の例
▲: 走者一・二塁で、打者は[[中堅手]]の前に落ちる安打を打った。中堅手は本塁で二塁走者をアウトにできると思い、捕手へ送球した。このとき、一塁走者は二塁へ、打者走者は一塁に進んでいたが、この返球を見て、一塁走者は三塁まで、打者走者は二塁まで進むことができた。返球のときの一塁走者と打者走者の進塁は、(二塁走者が本塁でアウトになってもならなくても)記録上は野手選択であり、打者の打撃記録は単打である。
▲; 4.の例
▲: 走者一・三塁で、一塁走者は投手の投球前から大きめのリードを取っていた。投手は牽制することもなく投球し、一塁走者は当然のように二塁へ進み、捕手も二塁へ送球しなかった。
: なお、「守備側の無関心」は、そのときのイニング、得点差その他の状況により守備側が走者の進塁にこだわらない戦術的動機があったか、あるいは走者に盗塁が記録されるのを強く拒もうとしていなかったかなどを総合的に考慮して[[公式記録員 (野球)|公式記録員]]が判断する。例えば、走者一・三塁のとき、一塁走者が二塁を奪おうとした場合に、捕手が送球しなかった、といった場合、送球の間に三塁走者が本塁へ突入することを恐れたことが理由であると判断されれば、野手選択ではなく盗塁が記録される。しかし、守備側が大差でリードしている最終回二死などといった状況で同様のケースが生じた場合、三塁走者の本塁への突入を恐れていたとは言えないと判断されれば、盗塁は記録されず野手選択となる。また、「守備側が走者への無関心を貫くことによって、塁上の走者に盗塁が記録されることを阻み、守備側チームの選手の通算盗塁記録や[[最多盗塁]]のタイトルを守ろうとしている」と考えられるときも、守備側は「走者に盗塁が記録されるのを強く拒もうとしている」と判断してよい。(公認野球規則10.07(g)【原注】)
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