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[[成虫]]の体長は17-20mm。体色はやや薄い褐色であり、近縁のオオコオイムシと比べると相対的に薄い。
 
僅かにメスのほう僅かに大きい傾向にあるが、雌雄の体格に決定的な性差は無い。このため、卵を背負ったオス以外は、尾端の亜生殖板の先端形状から性別を判別するしかない。
 
鎌状の前肢を持ち、前肢が横へ拡がって、相手獲物を抱きかか込むようになっているタガメと違い、カマキリのように縦から押さえつけるような形状で、これを振るって獲物を押さ捕らる。前肢の先端には二本の<!--前脚一本にき爪が一対二本ということ。「二対」では一本の脚に二対四本の爪があるという意味に読める。-->爪がある。
 
尾端にタガメと同様ように水上呼吸用の短い呼吸管持っており、体内外に出し入れ可能である。
 
水中での呼吸は[[腹部]]と[[翅]]の間に保持した気泡に依存するが、この気泡中の酸素分圧が生息水域の溶存酸素の酸素分圧を下回ると水中の酸素が気泡中に、逆に気泡中の二酸化炭素分圧が生息水域の溶存二酸化炭素の二酸化炭素分圧を上回ると気泡中の二酸化炭素が水中に移動するため、空中から補給した酸素のみを使う場合よりも長時間の潜水が可能である。
 
==生態==
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[[平野]]部の[[水田]]や浅い堀上、流れの緩い用水路、ため池等、水深数cm-数十cmで水草などが茂り、日当たりの良い、浅い水域に生息する。
 
他の水生昆虫同様、かつてはどこの水田や池にも見られたが、[[昭和30年]]代([[1955年]])から始まる水田への農薬大量散布、水田そのものの減少等により激減し、都市部などでは見られなくなった。水田への無制限な農薬使用が法規制により控えられるようになった21世紀初頭現在、以前と比べると回復傾向にあるが、本種は近縁のオオコオイムシよりも相対的に環境破壊の進みやすい平地に棲むため、やや少ない。
 
===食性===
本種は捕食性のカメムシである。[[魚類]]、[[モノアラガイ]]、他の昆虫等の動きに反応し、先端に二対の爪がある鎌状の前肢で積極的に捕らえ、[[口針]]から[[消化液]]を送り込んで溶けた肉質体組織を吸汁する[[体外消化]]を行う。死骸や動きの無い物水面に落下させたり人為的に動かしてやったりすると反射的に捕らえ、また、乾燥した物でも貪欲に口吻を突き立て溶解させ吸汁する。
 
相対的傾向として、本種は同種間の協調性がよく、個体同士が近接していても共食いが発生しにくい。このため、1平方メートルあたり数十頭という高密度で生活していることもある<ref>都築裕一・谷脇景徳・猪田利夫『水生昆虫完全飼育・繁殖マニュアル改訂版』([[データハウス]]・2000)</ref>。
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昆虫類では珍しく、近縁種の[[タガメ]]と同様にオスが卵を保護するという習性を持っているが、産卵場所に産み付けられた卵を保護するタガメと違い、メスはオスの背部に卵を産み、オスは背中に産み付けられた卵を持ったまま移動するという習性があり、それを子守りする人間の親に見立てて、「'''子負虫'''」と名付けられた。子育ての役割の逆転から、「あべこべ虫」とも呼ばれることがある。
 
産卵期は4-8月。メスは30-40個の卵塊をオスの背中に産む。卵塊を背負ったオスは飛翔できず、単独で付きっきりで世話をするが、タガメのように複数の雄雌が交尾し合う事も珍しくない。オスは卵塊保護中は動きを制約されるが、通常と変わらない程度に餌もし、時には他のオスが卵を背負っている時に、その卵を襲って捕食してしまう事もある。
 
幼虫は数週間で[[孵化]]し、その後[[幼虫]]は5回の[[脱皮]]を行い成虫となる。しかし、孵化後にはオスは幼虫の世話をすることはなく、自分の子供でも捕食対象としてしまう。
 
他の水生昆虫同様、幼虫同士の間でも共食いは行われている。寿命は2年ほど。
 
==飼育==
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: アフリカの[[ナイジェリア]]等に分布する。
: この属には、70mm以上になる大型種もいる。
: 和名通り姿も形もタガメに似ているが、前肢が横に拡がるような格好のタガメと違い、コオイムシ特有の縦に振り下ろすような形状であり、その先端の爪の数がタガメは一なのに対し本種は二本<!--前脚一本につき爪が一二本ということ。「二対」では一本の脚に二対四本の爪があるという意味に読める。-->なのもコオイムシ亜科の特徴を持っていと一致する。
: 繁殖でも、メスがオスの背中に卵を産みつけるコオイムシ特有の習性を持つ。