「慰安婦問題日韓合意」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
→‎概要: 記述を微修正
Pinkpastel (会話 | 投稿記録)
加筆し、出典を明記しました。
1行目:
[[ファイル:Foreign Ministers Fumio Kishida of Japan (left) and Byung-se Yun of the Republic of Korea (right).jpg|サムネイル|[[2014年]]8月の日米韓外相会合における[[岸田文雄]]外務大臣(左)と[[尹炳世]]外交部長官(右)|300px]]
'''慰安婦問題日韓合意'''(いあんふもんだいにっかんごうい)は、[[2015年]]([[平成]]27年)[[12月28日]]の日韓外相会談でなされた日韓間の[[日本の慰安婦問題|慰安婦問題]]の最終的かつ不可逆的な解決を確認した[[日本政府]]と[[大韓民国|大韓民国政府]]の合意である<ref name="外相会談">{{Cite web|date=2015-12-28|title=日韓外相会談 - 外務省|url=https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001667.html|publisher=[[外務省]]|accessdate=2018-09-27}}</ref><ref name="記者発表">{{Cite web|date=2015-12-28|title=日韓両外相共同記者発表 - 外務省|url=https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001664.html|publisher=外務省|accessdate=2018-09-27}}</ref><ref>{{Cite news|date=2015-12-29|title=日韓合意のポイント - 日本経済新聞|url=https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS28H55_Y5A221C1MM8000/|newspaper=日本経済新聞|accessdate=2018-09-27}}</ref>。
 
== 概要 ==
2015年(平成27年)12月28日に[[大韓民国]](通称:韓国)[[ソウル特別市|ソウル]]の[[外交部 (大韓民国)|外交部]]で行われた[[日本]]の[[岸田文雄]][[外務大臣]]と韓国の[[尹炳世]][[外交部 (大韓民国)|外交部]]長官による外相会談後の共同[[記者発表]]で<ref name="外相会談"/>、両外相は「日韓間の慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と表明<ref name="記者発表"/>。韓国政府が元慰安婦支援のため設立する財団に日本政府が10億円を拠出し、両国が協力していくことを確認した<ref name="外相会談"/><ref name="ianfu">{{Cite news|date=2015-12-28|author=黒沼晋|title=岸田外相、慰安婦問題「終止符打った」日韓合意:日本経済新聞|url=https://www.nikkei.com/article/DGXLASFK28H4N_Y5A221C1000000/|newspaper=[[日本経済新聞]]|accessdate=2018-09-27}}</ref>。韓国政府が元慰安婦支援のため設立する財団に日本政府が10億円を拠出し、両国が協力していくことを確認した<ref name="ianfu" />。外相会談では、日韓両政府が今後[[国際連合]]など国際社会の場で慰安婦問題を巡って双方が非難し合うのを控えることも申し合わせるとともに<ref name="ianfu" />共同記者発表で両外相がその旨を表明した<ref name="記者発表"/>。また、共同記者発表で岸田外相は「当時の[[日本軍|軍]]の関与のもとに多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している」とし、「[[安倍晋三]][[内閣総理大臣|首相]]は日本国の首相として、改めて慰安婦としてあまたの苦痛を経験され心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に心からおわびと反省の気持ちを表明する」と語っ述べた<ref name="ianfu記者発表" />。一方、尹長官は「両国が受け入れうる合意に達することができた。これまで至難だった交渉にピリオドを打ち、この場で交渉の妥結宣言ができることを大変うれしく思う」と述べ語った<ref name="ianfu記者発表" />。
 
また会談後[[炳世]]外交部長官は、[[共同記者発表の中でソウル特別市|ソウル]]の[[在大韓民国日本国大使館|在韓日本大使館]]前に設置されている慰安婦を象徴する少女像(以下では『[[慰安婦像]]』との呼称を使用する{{Refnest|group="注釈"|外務省はソウルの日本大使館前などに設置された慰安婦を象徴する少女像の呼称を「[[慰安婦像]]」に統一することを[[2017年]]2月に決定している<ref>{{Cite news|date=2017-02-02|author=小田中大|title=少女像呼称:「慰安婦像」に統一へ 外務省が方針 - 毎日新聞|url=http://mainichi.jp/articles/20170203/k00/00m/030/030000c|newspaper=[[毎日新聞]]|accessdate=2018-09-29}}</ref>。}})について「日本政府が大使館の安寧・威厳の維持{{Refnest|group="注釈"|[[外交関係に関するウィーン条約]]第22条2)第2項により、同条約の当事国たる接受国は大使館をはじめとした公館の安寧の妨害または公館の威厳の侵害を防止するために必要な全ての措置をとる責務を有する。韓国は1977年1月25日に同条約に批准している。}}の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても可能な対応方向について関連団体との協議を行うことなどを通じ適切に解決されるよう努力する」と発言表明<ref name="ianfu記者発表" /><ref>[[外交関係に関するウィーン条約]] - 大韓民国 - 1977年1月25日批准。</ref>日本の岸田文雄務大臣、記者団にソウル日本大使館前の慰安婦像の扱いについて記者団に「適切に移転がなされるものだと認識している」とし慰安婦問題に「終止符を打った」と述べ語った<ref name="ianfu" />。日韓両国はこの合意の際に公式な文書を交わさず、両国外相が共同記者会見を開いて合意内容を発表するという形式がとられた
 
同日、日本の安倍首相と国の[[朴槿恵]][[大統領 (大韓民国)|大統領]]は約15分間の首脳電話会談を行い<ref name="電話会談">{{Cite web|date=2015-12-28|title=日韓首脳電話会談 - 外務省|url=https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001668.html|publisher=外務省|accessdate=2018-09-29}}</ref>、首脳は慰安婦問題をめぐる対応に関し11月の日中韓サミットの機会に行われた日韓首脳会談から協議を加速化しさせ合意に至ったことを確認し評価した<ref name="電話会談"/>[[安倍晋三]][[内閣総理大臣]]から首相、「日本国の内閣総理大臣として改めて慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明し、その上で「慰安婦問題を含め日韓間の財産・請求権の問題は1965年の[[日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約|日韓請求権・経済協力協定]]で最終的かつ完全に解決済みとの我が国の立場に変わりないが、今回の合意により慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを歓迎した<ref name="電話会談"/>[[槿恵]][[大統領 (大韓民国)|大統領]]から、「今次外相会談によって慰安婦問題に関し最終合意がなされたことを評価するとしたうえ、「新しい韓日関係を築くために互いに努力していきたい発言があっ述べた<ref>[http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001668.html 外務省 日韓首脳name="電話会談]<"/ref>。
この合意の内容については、日韓で公式な文書を交わすことは行わず、日韓の両外務大臣が共同記者会見を開いて発表するという形式で行われた。
 
日韓両政府による慰安婦問題の解決を目的とした協議は2014年4月に開始され、2015年1月の第6次局長級協議において韓国側は日本側に「不可逆的な謝罪」を求めた<ref name="task">{{Cite web|date=2017-07-28|title=韓日日本軍慰安婦被害者問題合意(2015.12.28)検討結果報告書|url=http://www.mofa.go.kr/upload/cntnts/www/result_report_jpn.pdf|publisher=
同日、日韓首脳電話会談で両国首脳は慰安婦問題をめぐる対応に関し、11月の日中韓サミットの機会に行われた日韓首脳会談から協議を加速化し合意に至ったことを確認し評価した。[[安倍晋三]][[内閣総理大臣]]からは、「日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明」し、その上で「慰安婦問題を含め、日韓間の財産・請求権の問題は1965年の[[日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約|日韓請求権・経済協力協定]]で最終的かつ完全に解決済みとの我が国の立場に変わりないが、今回の合意により、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されることを歓迎」した。[[朴槿恵]][[大統領 (大韓民国)|大統領]]からは、「今次外相会談によって慰安婦問題に関し最終合意がなされたことを評価」するとした上で、「新しい韓日関係を築くために互いに努力していきたい」と発言があった<ref>[http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001668.html 外務省 日韓首脳電話会談]</ref>。
韓日日本軍慰安婦被害者問題合意検討タスクフォース|format=PDF|pages=11-18|language=ja|accessdate=2018-09-29}}</ref>。一方の日本側は協議の初期段階では「最終的な解決」のみを求めていたが、韓国側が「不可逆的な謝罪」を要求した直後の201年2月に行われた第1次ハイレベル協議から「最終的」のみならず「不可逆的」な解決を求めるに至り<ref name="task"/>、2015年4月の暫定合意では日本側の要求を反映され「最終的かつ不可逆的な解決」との文言が内容として盛り込まれた<ref name="task"/>。韓国外交部はこの暫定合意を受けて「不可逆的な解決」との文言は韓国国内からの強い反発を招くと危惧し、青瓦台(大韓民国大統領府)に対し合意内容から「不可逆的」の表現を削除するべきであると上申した<ref name="task"/>。しかし、朴槿恵政権は「不可逆的という文言の効果は日本側にも等しく及ぶものである」として上申を退け、正式の合意内容にも「不可逆的」という文言は盛り込まれた<ref name="task"/>。そもそも、韓国側が日本側に「不可逆的」な謝罪を要求したのは日本の内閣総理大臣による公式な謝罪を実現させたいという意図からであったが、韓国側は自らの意図を確実に合意内容へ反映させるべく積極的に努力することを怠った<ref name="task"/>。
 
2017年12月28日に韓国政府の慰安婦問題タスクフォースの発表では、文言のうち「不可逆」は韓国側が日本に対して「謝罪の不可逆性」を求めて提示したものだが、交渉の中で日本側に「解決の不可逆性」に脈略を変更されたとしている。また、「最終的」との文言はは日本が要請をしたものであり、日本側が非公開のやり取りで、「今回の発表により、慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決されるので、挺対協などの各種団体などが不満を表明した場合であっても、韓国政府はそれに同調せず、説得していただきたい」と、挺対協などの団体の不満を韓国が説得するよう求めたとしている<ref>韓日日本軍慰安婦被害者問題合意(2015.12.28.) 検討結果報告書[http:name="task"//www.mofa.go.kr/upload/cntnts/www/result_report_jpn.pdf]</ref>
 
日本政府が拠出する10億円について尹炳世長官は2017年1月13日の韓国国会外交統一委員会にて「日本から政府出資のカネが出ることが必要だというのが我々の立場だ<ref name="議事録">{{Cite web|date=2017-07-28|title=韓国国会第348回第1次外交統一委員会議事録|url=http://log.gov3.org/view.php?confernum=046917&page=1|publisher=
10億円の拠出については尹炳世が「交渉では、拠出金が必要というのがわれわれの立場だった。金が出てこそ(日本)政府が責任を認め、謝罪したことになる」として、「自分が要求した」と国会外交統一委員会で答弁した<ref>{{Cite-news|title=公館前設置は不適切…尹外相が慰安婦像問題で表明|newspaper=民団新聞|date=2017-01-18|archivedate=|url=http://www.mindan.org/front/newsDetail.php?category=4&newsid=22801}}</ref>。2015年12月、日韓両政府は日韓外相会談において合意に至った。
国会研究所|page=2|language=ko|accessdate=2018-09-29}}</ref>。日本政府が責任を認め、謝罪と反省を行い、日本政府が出資するという3つの要素が合わさって初めて我々の希望する姿に近づく」と答弁している<ref name="議事録"/>。しかし、後述の通り、日本政府は10億円の拠出金について法的性質を認めていない。
 
<hr><div style="margin:0 0em 0 15em">
{|
|-
| '''[[岸田文雄]]外相と[[尹炳世]](ユン・ビョンセ)外相による[[ソウル特別市|ソウル市]]内での日韓両外相共同記者発表'''
|}
</div>
:'''[[岸田文雄]]外相と[[尹炳世]](ユン・ビョンセ)外相による[[ソウル特別市|ソウル市]]内での日韓両外相共同記者発表'''
 
176 ⟶ 184行目:
 
2018年3月1日、文在寅大統領は「三・一独立運動」の記念式典で「加害者である日本が『終わった』と言ってはいけない」と、2015年12月の日韓合意を履行するよう求める日本をけん制した。<ref>日本経済新聞 2018/3/1 11:11 慰安婦問題「終わっていない」韓国大統領が演説 [https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27539390R00C18A3MM0000/]</ref> 2018年5月29日、韓国与党・[[共に民主党]]の[[秋美愛]]代表は記者会見で慰安婦像の撤去について問われると「少女像は全世界に、国を失った国家の少女を性的奴隷にした日本を平和的な方法で告発するもの」と述べ、撤去を求める日本に対して「このような質問を受けるということ自体が慰安婦被害者に申し訳ない」と不快感を示した。<ref>中央日報 2018年05月30日08時02分  日本記者の「少女像移転」質問に韓国与党代表「少女像は陰険な物でない」[http://japanese.joins.com/article/822/241822.html]</ref>
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注釈"}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}
== 外部リンク ==