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| footer = [[PCI Express]]の拡張カード型(上)と、[[M.2]]コネクタのもの(下)
}}
[[File:Samsung T5 Portable External SSD (Solid State Drive) (43544308485).jpg|thumb|right|220px|USB接続の外付けSSD]]
メモリとしてRAMを用いるRAMディスク(ハードウェア方式)の場合、[[揮発性メモリ]]を使用するため、[[バックアップ]][[電源]]を持たないと電源の切断によって記憶内容が消えてしまう事が多い。一方で、メモリに[[不揮発性メモリ]]であるフラッシュメモリを用いた場合、電源切断後も内容を長期にわたり保持できる<ref>ただし2015年現在、データの保持可能期間は概ね、HDDのそれよりも大幅に短い</ref><ref name="retention-time"/>。なお2010年時点で、[[シーケンシャルアクセス]]の転送速度と比較した場合、一般的にフラッシュメモリを用いた製品よりもRAMディスクのほうが高速である。ただし、技術革新によりRAMディスクとフラッシュメモリの差は年々近づいている。
 
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東芝は2012年10月に容量1.6[[テラバイト|TB]]のエンタープライズ向けSSDをサンプル出荷する旨発表している<ref>http://www.toshiba.co.jp/about/press/2012_08/pr_j2101.htm</ref>。
 
== SSDコントローラとメモリ ==
[[File:Sf-ssd.jpg|thumb|right|220px|2.5インチサイズのSATA SSDを分解した画像<br />(左側の正方形のICがコントローラ、右側の長方形のIC 5個がフラッシュメモリである。)]]
以下の通り、デバイス内には[[フラッシュメモリ]]とキャッシュ用のDRAMメモリ、アクセスを制御する専用の[[コントローラ]]チップなどが組み込まれている。
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2012年6月には[[中央大学]]が[[ReRAM]]と[[NANDフラッシュメモリ]]を組み合わせた[[ソリッドステートドライブ|SSD]]のアーキテクチャを開発した。現時点で量産研究段階にある不揮発性メモリReRAMは、フラッシュメモリより大幅に高コストであるが、読み書きが大幅に高速であるため、キャッシュに用いる事により、SSDの全体としてのスループット向上(高速化)、低消費電力化、長寿命化に資するという<ref>http://eetimes.jp/ee/articles/1205/08/news057.html</ref>。
 
SSDのコストの約80%を占めるNAND型フラッシュメモリ半導体が安価に大容量化出来れば、販売価格は安く出来る。現状のSLC型を4値による2ビット/セルのMLC型にするだけでなく、既に8値による3ビット/セルのMLC型が検討されており、また、プロセスルールの微細化によって大容量化が図られている。多値化や微細化によって書き換え回数が減少するが、周辺技術でカバーし切れるのかという問題がある。例えば、90[[ナノメートル|nm]]のSLC型では書き換え可能回数は10万回程度だったものがMLC型(2bit/cell)の50nm世代では2万回以下に、MLC型40nm世代や2009年-2010年から量産が始まる予定の30nm世代では1万回以下(3,000回という予測もある)にまでなる。
 
==== 記憶素子による分類 ====
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== 外形状とインターフェース ==
[[File:14-06-11-ssd-RalfR-N3S 7886-03.jpg|thumb|mSATA SSDと、それを外付け(USB)化するケース]]
外装が全体を保護・支持するが内蔵型のものでは外装を持たないものもある。USBに対応することで、外付けSSDとして使用できるものも存在する。
 
=== HDDの代替デバイスとして ===
[[File:Mtron SSD.jpg|thumb|3.5インチ・2.5インチサイズのIDE接続SSD]]
HDDの代替デバイスとして使われるため、HDD同様の[[インタフェース (情報技術)|インタフェース]]を持つものが多い。初期の頃には[[Advanced Technology Attachment#IDE|IDE]]端子を搭載するSSDがあり、[[シリアルATA]](SATA)移行前の古いノートPCでもATA接続で利用することが可能であった。また、ATA (IDE) 端子に対しSATA・SSDを接合するゲタとよばれるアダプタも開発された。他にも、主に1.8インチHDDのリプレイス用として[[:en:Zero insertion force|ZIF]]や[[:en:Low insertion force|LIF]]に対応したものも開発された。HDDでSATAが主流になるにつれて、SSDもSATA接続に対応したものが主流になった。
 
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=== SSD専用フォームファクタ・規格 ===
[[File:14-06-11-ssd-RalfR-N3S 7886-03.jpg|thumb|mSATA SSDと、それを外付け(USB)化するケース]]
xxxx年頃から[[mSATA]] (mini-SATA) に対応したSSDが登場した。mSATAはシリアルATAと同じ規格の信号を利用した端子で、通常のHDDやSSDと違って基板上に直接実装でき、電源コネクタと信号ケーブルが不要となり且、旧来のHDDの外殻に合わせたサイズ・形態から解放されるため、省スペース化が必要な小型PCやノートPCに利用される。mSATAに対応した製品によっては、[[Intel Smart Response Technology]](ISRT)で使用するHDDキャッシュに用いられるが、通常のHDD(1.8インチHDD)と同じ単体のSSDとして使えるものもある。
 
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また、eMMCの後継候補として[[Universal Flash Storage]]と言う規格がある。
 
== OS側の対応 ==
[[オペレーティングシステム|OS]]において、開発・発表時にSSDが実用化されておらずSSDでの利用が想定されていない場合、HDD用の処理がSSDに適用される場合がある。結果的に、ハード特性の違いから寿命が短くなったり不都合を生じたりすることがある。
 
[[Microsoft Windows|Windows]]においては、[[Windows Vista]]までHDDのための自動[[デフラグメンテーション]]機能が働くため、放置すると無用な書き換え処理によってセルの寿命が消費される。一方で、[[Microsoft Windows 7|Windows 7]]以降からはHDDとは別種の記憶装置「SSD」として扱われ、[[デフラグメンテーション]]、[[Windows SuperFetch|SuperFetch]]、[[Windows ReadyBoost|ReadyBoost]]などの対象から除外と[[ウェアレベリング]](Trimコマンド)をサポートしている<ref>[http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/hot/20090519_168669.html Windows 7のSSD対応追加情報] - インプレス</ref>。
 
[[Linuxカーネル]]2.6.28 からは[[ウェアレベリング]]などのサポートが改善され、セルの寿命をできるだけ延ばすなどの対策がとられている<ref>[http://www.ibm.com/developerworks/jp/linux/library/l-kernel-advances/ 進歩する Linux カーネル] 2009年03月24日 IBM</ref>。
 
[[OpenSolaris]]など一部のOSでは、SSDに対応したファイルシステムがある<ref>[http://www.atmarkit.co.jp/news/200909/11/oracle.html SPARC/Solarisへの投資継続を表明、オラクル]「Solaris OSではSSDを統合してI/O性能を劇的に向上するファイルシステム「ZFS」を持つ。」</ref>。
 
== ストレージとしての用途 ==
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SSDの短所は、HDDに比べて記憶容量あたりの単価が高く、記憶素子の書き換え回数に上限があることである。HDDと同様の使用方法のままでは、比較的早期に書き換え可能回数の上限を越えてしまい、やがては内部の記憶素子の劣化が進行することで記憶情報の保持が出来なくなる。
 
2009年秋現在、SSDは同サイズ・同容量のHDDと比較して数倍の価格で販売されているが、これらの差は徐々に縮まりつつある。
 
書き換え回数の制限も、特定の記憶素子に書き換えが集中しないように分散化させる[[ウェアレベリング]]や、短時間での頻繁な書き換えを避けるための[[キャッシュメモリ]]の併用、既に不良回避のために存在する冗長記憶領域とは別に、書き換え回数制限の回避を目的とした広い冗長記憶領域の確保によって改善できる。
 
2009年秋現在、SSDは同サイズ・同容量のHDDと比較して数倍の価格で販売されているが、これらの差は徐々に縮まりつつある。
 
また、一般的にSSDで用いられるフラッシュメモリチップの転送速度はHDDよりも劣っている。ただしSSD内部には複数個のフラッシュメモリチップを搭載することができ、それらを専用[[集積回路|IC]]等を用いて並列動作させることで、HDDと同等、あるいはそれ以上の性能が確保されている。転送速度は急速に高まりつつあり、たとえば2009年の第二四半期の東芝製SSDでは、読み出しが200MB/s、書き込みが240MB/sで、HDDの約5倍となっており、初期の製品が発表されてからわずか半年あまりで、それぞれ2倍・3倍の性能向上を果たしている。さらに、HDDとフラッシュメモリの双方の長所を取り入れようと、これらを組み合わせた[[ハイブリッドHDD]]も開発され、実用化されている。
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[[フロッピーディスク]]は300 - 360rpmであり、1秒間に5、6回転している。ランダムライトのIOPSが一桁ということは、フロッピーディスク並みであることを意味している。
 
=== OS側の対応問題点 ===
発表時にはSSDが実用されていなかった[[Windows XP]]と[[Windows Vista]]からは「HDD」として扱われる。古いOSがHDD用の処理をSSDに適用する結果、ハード特性の違いから寿命が短くなったり不都合を生じたりすることがある。[[Windows Vista]]ではHDDのための自動[[デフラグメンテーション]]機能が働くため、放置すると無用な書き換え処理によってセルの寿命が消費される。[[Microsoft Windows 7|Windows 7]]以降からはHDDとは別種の記憶装置「SSD」として扱われ、[[デフラグメンテーション]]、[[Windows SuperFetch|SuperFetch]]、[[Windows ReadyBoost|ReadyBoost]]などの対象から除外と[[ウェアレベリング]](Trimコマンド)をサポートしている<ref>[http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/hot/20090519_168669.html Windows 7のSSD対応追加情報] - インプレス</ref>。
 
[[Linuxカーネル]]2.6.28 からは[[ウェアレベリング]]などのサポートが改善され、セルの寿命をできるだけ延ばすなどの対策がとられている<ref>[http://www.ibm.com/developerworks/jp/linux/library/l-kernel-advances/ 進歩する Linux カーネル] 2009年03月24日 IBM</ref>。
 
[[OpenSolaris]]など一部のOSでは、SSDに対応したファイルシステムがある<ref>[http://www.atmarkit.co.jp/news/200909/11/oracle.html SPARC/Solarisへの投資継続を表明、オラクル]「Solaris OSではSSDを統合してI/O性能を劇的に向上するファイルシステム「ZFS」を持つ。」</ref>。
 
== トラブル ==
{{出典の明記|section=1|date=2009年10月}}
=== 書き換えへの耐久性 ===
{{更新|section=1|date=2010年6月}}
ハードディスクに比べて、書き換え可能回数が少ない。特に[[サーバ]]や[[データベース]]などの用途では寿命が短くなる場合がある。
=== プチフリーズ問題 ===
[[ヘビーユーザー]]の間では、一般に「'''プチフリ'''」と言われているトラブル問題。[[2008年]]7月頃より[[:en:JMicron|JMicron]]製コントローラーチップ「JMF602」を搭載したSSD製品で、[[Microsoft Windows|Windows]]の動作が一時的に[[フリーズ|止まる]]という問題がインターネット上で多数報告されるようになった<ref>[http://www.dosv.jp/other/0910/index.htm 最新SSD完全解説 | SSD完全攻略マニュアル | DOS/V POWER REPORT]</ref>。
 
SSDメーカーは、コントローラチップでのウェアレベリング(書き込み分散化技術)やキャッシュメモリの搭載などの緩和策によって、毎日50GBの書き込みを行った場合でSLC搭載製品では20年以上、MLC搭載製品で4年以上の寿命があると主張している<ref>[http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0609/comp22.htm MtronとSuper Talentが高性能/高信頼性をアピール] PC Watch</ref><ref>[http://www.supertalent.com/datasheets/6_132.pdf Super Talent's MasterDrive MX series Data Sheet]</ref>。
当初はMLC-NANDのSSD全体の問題と考えられていたが、他社コントローラICでは報告が上がっていないため、現在{{いつ|date=2013年1月}}<!-- See [[WP:DATED]] -->ではJMF602の不具合であり、製品レベルの問題と考えられている。ランダム書き込みのIOPS(1秒間に読み込み・書き込み処理できる回数)が[[フロッピーディスク]]並みに低く、このランダム書き込みの性能の悪さに原因がある。
 
海外のテストサイトによる2013年から実施された耐久試験では、総書き込みバイト数が700[[テラバイト|Tバイト]]から2[[ペタバイト|Pバイト]]で書き込みエラーが発生しており、計算上は最低でも毎日10[[ギガバイト|Gバイト]]のデータ書き換えを約190年実行してようやくエラーが発生する状態であり、実用上は問題のないレベルとなっている<ref>[http://gigazine.net/news/20150316-ssd-endurance-experiment-4th/ SSDにデータを書込みまくり再起不能に追い込む耐久試験で分かった信頼性に関する真実とは?]GIGAZINE、2015年3月16日</ref>。
発生時の共通項は
# JMicron製コントローラーチップ「JMF602」を使用している製品で発生頻度が高い。
# 読み書きが混在して集中した場合に起こる事がある。
の2点である。原因は問題のコントローラ[[集積回路|IC]]あるいはその制御[[ファームウェア]]であり、読み書きが混在して集中した場合、処理速度が極端に低下、あるいはICそのものが一時的に無反応に陥り、現象が発生すると推測されている。2008年10月現在、ユーザーレベルでの様々な回避方法は報告されているものの、製品レベルでの根本的な解決には至っていない。
 
=== データの保持期間 ===
更に、この問題は大量の読み書きが同時に発生した場合に特に表面化するという特性があり、PC環境によっては表面化しない場合がある。
{{main|フラッシュメモリ#保持期間}}
SSDはデータ保持時間がHDDよりも短い。特に高い室温環境で無通電状態で放置すると、数週間から数ヶ月でデータが消失するおそれもある<ref name = "どう付き合うかSSD" /><ref name="retention-time">{{Cite web |url=http://www.jedec.org/sites/default/files/Alvin_Cox%20%5BCompatibility%20Mode%5D_0.pdf |title=JEDEC SSD Specifications Explained - Alvin Cox [Compatibility Mode] 0 |format=PDF |publisher=JEDEC |accessdate=2016-09-22 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20130903023213/http://www.jedec.org/sites/default/files/Alvin_Cox%20%5BCompatibility%20Mode%5D_0.pdf |archivedate=2012-07-10}}</ref>。HDDの磁気記録そのものについては100年以上保持されるのに対し、SSDのデータ保持期間は10年前後との指摘もある。
 
、フラッシュメモリ半導体が元々データ保持時間が有限であり、セルの微細化はそのままこの時間短縮となって現れる。HDDのように機構部品の寿命を除けば半永久的な情報保持原理のものと同じ感覚で扱うと、書き換え回数が少ない読み出し専用であっても2-3年程、早ければ1年も放置すればデータは失われてしまう。例えば、90nmのSLC型ではデータ保持時間が10年弱程度だったものがMLC型(2bit/cell)の50nm世代では5年前後に、MLC型40nm世代では2年前後、MLC型30nm世代では1年程になる。さらに高温環境下で無通電状態だと数ヶ月~数週間のスパンで消失のおそれもある。<ref name="retention-time"/>
また、例えば[[バッファロー (パソコン周辺機器)|バッファロー]]のターボSSDや[[アイ・オー・データ機器|I-O DATA]]のマッハドライブなど発売元が提供する各種ソフトや、[[マイクロソフト]]が提供するEnhanced Write Filterなどを導入することにより、ある程度軽減することができる。
 
解決方法として通電時にコントローラで時間経過情報を参照し再書き込みを行うなどが考えられており、一部メーカで部分的に実装している<ref>[http://eetimes.jp/article/22913 制御ICで決まるSSD、微細化進展で信頼性確保が課題に] EE TIMES Japan</ref>。
原因は、ランダム書き込みの性能にあり、HD Tune Pro などのベンチマークソフトのランダム書き込みのIOPS値を見ることでこの問題を抱えているかどうかがわかる。しかし、広く用いられている評価用の各種ベンチマークソフトでもこの問題が起こるかを把握することは難しい。これは純粋な性能評価を目的としているため、読み込みと書き込みを個別に測定するものが多いのが原因である。さらに、このような条件を測定できるベンチマークソフト自体の絶対数が少ないという実情がある。上記のような背景から、この問題が起こりうるかは十分把握されていないことが多い。
また、新しい低コスト化及び容量増加の手法としてとNAND素子の3次元セル積層技術が注目されている<ref name = "三次元セル積層">[http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20090917/175437/?ST=print 3次元メモリ:TビットNANDフラッシュに道,チップ上でメモリ・セルを積層] 木村 雅秀=日経エレクトロニクス </ref>。
 
=== データ復旧 ===
こうしたことから、SSD製造メーカーではプチフリーズが発生しないとされる [[サムスン電子|SAMSUNG]]、[[SandForce]]、[[マーベル・テクノロジー・グループ|マーベル]]、[[:en:Indilinx|INDILINX]]製SSDコントローラチップを採用して、この問題に対応している。また、JMicron製「JMF602」の後継製品である「JMF612」では、プチフリーズ問題は改善されており発生しないとされる。
歴史が長くノウハウが蓄積され、データ復旧技術も確立されているHDDと異なり、SSDにおいては故障時の完全な[[データ復旧]]方法は確立されていない。
 
SSDはメモリチップへの書き込み方法が搭載されているコントローラーチップに依存しており、コントローラがメモリに記憶した際のアルゴリズムが分からないと、データを戻すことができないためである。『(SSDは)データ復旧作業そのものが現実的ではない』と指摘する声もある<ref>DOS/V POWER REPORT 2018年10月号 p58</ref>。
=== Intel 320シリーズのトラブル ===
Intel SSD 320シリーズの、ファームウェアのバージョン"0362"を除くそれ以前のバージョンでは、不意の電源断の後にドライブの容量がOSから8MBだけ認識されるようになり、元の内容が読み書き不能になる現象が報告されている。俗に「8MB病」と呼ばれている。320シリーズではファームウェアのバージョン確認と必要ならばアップデートを要する<ref>http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/052/52892/</ref>。
 
=== Crucial m4/C300シリーズデバイストラブル発熱 ===
SSDの高速化に伴い、コントローラからの発熱が問題となっている。「サーマルスロットリング」と呼ばれる熱暴走を回避する機能が働くことで、性能が低下する<ref>[https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/dosv/1028875.html M.2 SSDは冷却が必要?・・・・・・など、“ストレージのギモン” 3点を解決]</ref>。
Crucial m4と同社 C300シリーズの初期ファームウェアでは、[[シリアルATA]]のLPM(Link Power Management)機能がアクティブの場合にSSDが応答を停止するというトラブルが報告されている。m4はファームウェア更新、C300はホスト側でLPM機能をオフにする事により解決する。この現象は俗に「LPM問題」と呼ばれている。
 
SSDメーカーは、標準で[[ヒートシンク]]を取り付けた製品を展開しているほか<ref>[https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/mreview/rental/1106230.html よく冷える最速クラスのNVMe SSD「Plextor M9Pe(Y)」の実力をテスト]</ref>、別売りのSSD冷却用ヒートシンクも市販されている。
同社C300シリーズの初期ファームウェア("0006")では、Windows7などTRIMコマンドが有効な環境で、フラッシュメモリーの消耗度合が通常使用の何10倍にもなるバグがある事が報告されている。
 
=== 長期使用に伴う性能低下 ===
同社m4シリーズの初期ファームウェア("0009"以前)では、使用時間が5184時間以上になると応答を停止するバグがある事が報告されている。この現象は俗に「5184時間問題」と呼ばれている。
 
これらのシリーズではファームウェアのバージョン確認と必要ならばアップデートを要する。ファームウェアのアップデートに失敗した場合は自己責任となるため、不良品として返品したほうが良い場合もある。
 
=== 長期使用に伴う性能低下の問題 ===
{{出典の明記|section=1|date=2012年7月}}
<!--この記述が必要か疑問があるがとりあえず残します。「書き込み性能が購入時よりも低下」するのは当然で、HDDでも断片化すれば起こるしFlashならばブロック・コピー処理で時間が掛かるでしょう。-->
現在{{いつ|date=2012年7月}}<!-- See [[WP:DATED]] -->、SSD長期使用者や多頻度利用者(容量一杯まで書き込みを行うなど)から、書き込み性能が購入時よりも低下したという報告が多数上がっている。原因はまだはっきりとは分かっていないが、有力な説として以下がある。
* データを削除して空き領域となった所に再度書き込みが行われる際、データの消去処理などが追加で実行されている可能性が高い。
:: SSDは購入当初は書き込みの際、消去済みの初期化ブロックに対して"書き込み"だけをするため処理は速い。しかし、HDDを想定した一般的なファイルシステムにおいては、書き込まれたデータを削除して空き領域とする場合、ディスクの管理情報を書き換えることでデータをOSから見えなくするだけであって、実際にはデータそのものは消去されず、空き領域にそのまま残ることになる。
:: SSDを使用し続けることでこのような「データが残っている空き領域」が増加していくが、これらの領域はSSD側で一定の時点で消去されることはなく、そこへの新しいデータの書き込み命令があった時に初めて消去される。
:: 消去処理は、書き込み処理より約100倍ほど時間がかかり、単なる書き込みの度に “古いデータの消去 + 新しいデータの書き込み” のような2つ以上の処理を必要とするため速度が低下する。
* 「消去を一括に広範囲で行う」という特性上、本来消す必要の無い領域まで余計に消去してしまうため、その領域については元の値を書き戻すステップが必要となってしまう。
:: NAND Flashの一般的な仕様の一つである「読み書きは2kB単位、消去は256kB単位」というシステムを例にとると、たった1ビットの値を書き換えるだけでも最悪のケースでは128回の読み込みと1回の消去、そして128回の書き戻し動作が行われる。
 
データを削除して空き領域となった所に再度書き込みが行われる際、データの消去処理などが追加で実行されている可能性が高い。SSDは購入当初は書き込みの際、消去済みの初期化ブロックに対して"書き込み"だけをするため処理は速い。しかし、HDDを想定した一般的なファイルシステムにおいては、書き込まれたデータを削除して空き領域とする場合、ディスクの管理情報を書き換えることでデータをOSから見えなくするだけであって、実際にはデータそのものは消去されず、空き領域にそのまま残ることになる。SSDを使用し続けることでこのような「データが残っている空き領域」が増加していくが、これらの領域はSSD側で一定の時点で消去されることはなく、そこへの新しいデータの書き込み命令があった時に初めて消去される。消去処理は、書き込み処理より約100倍ほど時間がかかり、単なる書き込みの度に “古いデータの消去 + 新しいデータの書き込み” のような2つ以上の処理を必要とするため速度が低下する。
== 展望 ==
書き込み耐性が低いと見られることもあるが、ウェアレベリング(書き込み分散化技術)やキャッシュメモリの搭載などの緩和策によって、毎日50GBの書き込みを行った場合でSLC搭載製品では20年以上、MLC搭載製品で4年以上の寿命があるとメーカーは主張している<ref>[http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0609/comp22.htm MtronとSuper Talentが高性能/高信頼性をアピール] PC Watch</ref><ref>[http://www.supertalent.com/datasheets/6_132.pdf Super Talent's MasterDrive MX series Data Sheet]</ref>。
 
「消去を一括に広範囲で行う」という特性上、本来消す必要の無い領域まで余計に消去してしまうため、その領域については元の値を書き戻すステップが必要となってしまう。NAND Flashの一般的な仕様の一つである「読み書きは2kB単位、消去は256kB単位」というシステムを例にとると、たった1ビットの値を書き換えるだけでも最悪のケースでは128回の読み込みと1回の消去、そして128回の書き戻し動作が行われる。
=== コストと信頼性 ===
SSDは2009年現在では市場に受け入れられ、普及期に入っている。登場当初の性能や品質重視の製品ばかりでなく、今後は購入者の低価格志向に対応したコスト重視の製品販売が企画されており、一部では過度の品質低下を危ぶむ声がある{{要出典|date=2012年7月}}。そういった製品が一般向け市場で販売されて今後問題となるか不明であるが、いずれにしてもSSD製品は「コスト重視」のものと「品質・信頼性重視」のものとに2極化してゆくと予想されている<ref name = "どう付き合うかSSD" />。
 
=== プチフリーズ ===
;コスト重視型
[[2008年]]7月頃より[[:en:JMicron|JMicron]]製コントローラーチップ「JMF602」を搭載したSSD製品で、[[Microsoft Windows|Windows]]の動作が一時的に[[フリーズ|止まる]]という問題がインターネット上で多数報告された<ref>[http://www.dosv.jp/other/0910/index.htm 最新SSD完全解説 | SSD完全攻略マニュアル | DOS/V POWER REPORT]</ref>。一般に「'''プチフリ'''」と言われている。
SSDのコストの約80%を占めるNAND型フラッシュメモリ半導体が安価に大容量化出来れば、販売価格は安く出来る。現状のSLC型を4値による2ビット/セルのMLC型にするだけでなく、既に8値による3ビット/セルのMLC型が検討されており、また、プロセスルールの微細化によって大容量化が図られている。多値化や微細化によって書き換え回数が減少するが、周辺技術でカバーし切れるのかという問題がある。例えば、90[[ナノメートル|nm]]のSLC型では書き換え可能回数は10万回程度だったものがMLC型(2bit/cell)の50nm世代では2万回以下に、MLC型40nm世代や2009年-2010年から量産が始まる予定の30nm世代では1万回以下(3,000回という予測もある)にまでなる。
 
原因は問題のコントローラ[[集積回路|IC]]あるいはその制御[[ファームウェア]]であり、読み書きが混在して集中した場合、処理速度が極端に低下、あるいはICそのものが一時的に無反応に陥り、現象が発生すると推測されていた。この問題は大量の読み書きが同時に発生した場合に特に表面化するという特性があり、PC環境によっては表面化しない場合がある。
また、フラッシュメモリ半導体が元々データ保持時間が有限であり、セルの微細化はそのままこの時間短縮となって現れる。HDDのように機構部品の寿命を除けば半永久的な情報保持原理のものと同じ感覚で扱うと、書き換え回数が少ない読み出し専用であっても2-3年程、早ければ1年も放置すればデータは失われてしまう。例えば、90nmのSLC型ではデータ保持時間が10年弱程度だったものがMLC型(2bit/cell)の50nm世代では5年前後に、MLC型40nm世代では2年前後、MLC型30nm世代では1年程になる。さらに高温環境下で無通電状態だと数ヶ月~数週間のスパンで消失のおそれもある。<ref name="retention-time"/>
 
製品レベルでは根本的な解決には至らず、同社の後継製品である「JMF612」、または他社製コントローラチップが採用された製品を使用することが対応策となった。ユーザーレベルでの様々な回避方法は報告されており、例えば[[バッファロー (パソコン周辺機器)|バッファロー]]のターボSSDや[[アイ・オー・データ機器|I-O DATA]]のマッハドライブなど発売元が提供する各種ソフトや、[[マイクロソフト]]が提供するEnhanced Write Filterなどを導入することにより、ある程度軽減することができたとの報告もある。
解決方法として通電時にコントローラで時間経過情報を参照し再書き込みを行うなどが考えられており、一部メーカで部分的に実装している<ref>[http://eetimes.jp/article/22913 制御ICで決まるSSD、微細化進展で信頼性確保が課題に] EE TIMES Japan</ref>。
また、新しい低コスト化及び容量増加の手法としてとNAND素子の3次元セル積層技術が注目されている<ref name = "三次元セル積層">[http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20090917/175437/?ST=print 3次元メモリ:TビットNANDフラッシュに道,チップ上でメモリ・セルを積層] 木村 雅秀=日経エレクトロニクス </ref>。
 
=== ファームウェアの不具合 ===
2009年現在、フラッシュメモリを使ったUSBメモリでは使い捨て的な製品が検討されている。安価な携帯型音楽プレーヤーやUSBメモリ、メモリカードにSSDではない形態でNAND型フラッシュメモリを使う用途では、超多値品と呼ばれる3ビット/セル以上のMLC型の採用が予定されている。例えば2009年現在市販されている3ビット/セルのMLC型では書き換え回数の上限が数百回となる。これらのものは低価格でありさえすれば、書き換え上限を越えて使用出来なくなれば新たに買い換えれば済む使用法が考えられるからである。しかし、データが消えては困るユーザ向けや、安価ではない機器内に固定して使用されるSSDでは、このような使い捨てを前提にはできない。逆に、安価な使い捨て型のUSBメモリ類と競合して行かねばならない<ref name = "どう付き合うかSSD" />。
SSDに採用されるコントローラのファームウェアが、何かしらの問題を抱えている場合がある。
 
* Intel SSD 320シリーズの、ファームウェアのバージョン"0362"を除くそれ以前のバージョンでは、不意の電源断の後にドライブの容量がOSから8MBだけ認識されるようになり、元の内容が読み書き不能になる現象が報告されている。俗に「8MB病」と呼ばれている<ref>[http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/052/52892/ 『Intel SSD 320』“8MB病”に対処するファームウェアをアップデート]</ref>。
;品質・信頼性重視型
* Crucial m4と同社 C300シリーズの初期ファームウェアでは、[[シリアルATA]]のLPM(Link Power Management)機能がアクティブの場合にSSDが応答を停止するというトラブルが報告されている。m4はファームウェア更新、C300はホスト側でLPM機能をオフにする事により解決する。この現象は俗に「LPM問題」と呼ばれている。
低廉化よりも品質や信頼性、そして長寿命化を重視する製品では、以下のような手法によってこれらの実現を求める。
* Crucial C300シリーズの初期ファームウェア("0006")では、Windows7などTRIMコマンドが有効な環境で、フラッシュメモリーの消耗度合が通常使用の何10倍にもなるバグがある事が報告されている。
* SLCの使用
* Crucial m4シリーズの初期ファームウェア("0009"以前)では、使用時間が5184時間以上になると応答を停止するバグがある事が報告されている。この現象は俗に「5184時間問題」と呼ばれている。
* キャッシュメモリの併用とバックアップ用キャパシタの搭載、又はキャッシュ用にFeRAMやMRAM、PRAMを使用する
* フラッシュメモリの冗長領域の広いものを使用する、又は冗長領域用にフラッシュメモリを追加する
* 使用半導体に長時間の[[バーンイン]]を行い、出荷前に特性の悪いものを排除する
* SSDの寿命をユーザーが見積もれるツールを提供する
* 誤り訂正(ECC)の多ビット化
* 書き込みと消去の電圧を下げることでトンネル絶縁膜の劣化を抑え、1素子当り100万回の書き換え可能なNANDフラッシュメモリチップを使う。今までのNANDフラッシュメモリ素子と異なり、強誘電体ゲート電界効果トランジスタ(FeFET)を使用したNANDフラッシュであるFe-NAND素子を使用することで1億回の書き換え回数を実現するという考えもある</ref><ref name = "どう付き合うかSSD" />。なお、2009年現在、通常の書き込み電圧は18V程度である。これを下げるには書き込み時間を長くする必要があり、記憶素子としての性能が犠牲になる。
 
=== 古いOSにおける対応 ===
{{See|#OS側の対応}}
 
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== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}