「ハイチ地震 (2010年)」の版間の差分

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'''2010年ハイチ地震'''は、[[東部標準時|ハイチ時間]]の[[2010年]][[1月12日]]16時53分([[協定世界時|UTC]]21時53分)に[[ハイチ|ハイチ共和国]]で起こった[[マグニチュード]] (M) 7.0の[[地震]]である。地震の規模の大きさやハイチの政情不安定に起因する社会基盤の脆弱さが相まり、死者が31万6千人程に及ぶなど単一の地震災害としては[[スマトラ島沖地震 (2004年)|スマトラ島沖地震]]に匹敵する近年空前の大規模なものとなった。
 
== 地震の詳細 ==
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[[国際赤十字赤新月社連盟]]は、被災者は総人口の約1/3にあたる300万人が被災したと推計しており<ref name="yomiuri-20100114-OYT1T00479" />、各国の救援チームが現地入りし倒壊した建物に取り残された人々たちの救出活動に加わっている<ref>[http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010011401000641.html ハイチ地震、国際救援活動本格化 治安悪化も] 47NEWS 2010年1月14日閲覧</ref>。
 
プレヴァル大統領は日本時間1月14日に同国内の平和維持活動に従事していた[[国際連合ハイチ安定化ミッション|国連ハイチ安定化派遣団]](MINUSTAH)のエディ・アナビ([[:en:Hédi Annabi|Hédi Annabi]])代表がこの地震で死亡したことを確認したとしていた。国連側は否定していたが<ref name="chunichi-20100114">[http://www.chunichi.co.jp/article/world/news/CK2010011402000235.html ハイチ大地震 ベルリーブ首相「死者10万人超」] 2010年1月14日付 [[中日新聞]]夕刊</ref>、日本時間17日に同代表とルイス・カルロス・ダ・コスタ (Luiz Carlos da Costa) 副代表、ダグ・コーツ (Doug Coates) 警察本部長代理が死亡したことを発表した<ref>[http://www.chunichi.co.jp/s/article/2010011701000030.html ハイチPKO代表らの死亡確認 国連の死者、最悪80人] CHUNICHI Web 2010年1月17日閲覧</ref>。現地に赴いた[[潘基文]][[国連事務総長]]も同代表の遺体を確認し、発見した[[中華人民共和国]]の国際救援隊に謝意を述べた<ref>{{Cite web|url=http://j.people.com.cn/94475/6871789.html|title= 中国国際救援隊、国連駐ハイチ代表トップの遺体を発見|publisher=[[人民網]]||date=2010-01-18
|accessdate=2018-09-05}}</ref>。また人道支援活動のためにポルトープランスに滞在していたブラジル出身の小児科医で人道支援活動家の[[ジウダ・アルンス]]<ref>{{Cite web|url=http://www.undispatch.com/node/9407|title=Haiti Earthquake, the Day After|author=UN DISPATCH|date=2010-01-13 |accessdate=2010-01-21 }}</ref>、地元出身の[[MC (ヒップホップ)|ヒップホップアーティスト]]である[[ジミー・O]]([[:en:Jimmy O|Jimmy O]])<ref>{{Cite web|url=http://marquee.blogs.cnn.com/2010/01/15/haitian-hip-hop-artist-charity-worker-found-dead-after-quake/?hpt=T2|title=Haitian hip-hop artist, charity worker found dead after quake|publisher=[[CNN]]||date=2010-01-15
|accessdate=2011-03-03}}</ref>、[[カトリック教会]]の[[ジョセフ・セルジュ・ミオ]][[大司教]]<ref>{{Cite web|url=http://www.foxnews.com/story/0,2933,582942,00.html|title= Haiti Archbishop Killed in Quake as Churches, Cathedral Reduced to Rubble|publisher=[[FOXニュース]]||date=2010-01-13
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2010年10月、[[ハリケーン]]などによって発生した大規模洪水により衛生状態が悪化したことから[[ハイチのコレラ流行|コレラ感染]]が深刻化しており、米国疾病対策センター (CDC) は11月11日の時点で、死者800人に達したと報じている<ref>ロイター通信、2010年11月13日閲覧</ref>。コレラ感染では、最終的には1万人もの死者が出た。
 
島国であるハイチにはこれまで[[コレラ菌]]がいないものと考えられていたにも関わらず、コレラが流行した。流行が始まったのが[[国際連合平和維持活動|PKO]]の[[ネパール]]部隊の宿営地付近だったことから、原因は洪水ではなく国連がコレラ菌を持ち込んだためという主張がなされていた。2016年8月18日、国連はコレラ発生に関する責任を認めた<ref>{{cite news |title=ハイチのコレラ大流行、国連がようやく責任認める|newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2016-8-19 |url=http://www.afpbb.com/articles/-/3098043 | accessdate=2016-8-20|author=Amelie BARON}}</ref>。
 
2011年にはすでに専門家による調査でネパールから派遣された平和維持軍が疾病の震源地であることが指摘されていたが、国連は平和維持軍の「免責特権」を掲げて5年間、被害を放置した<ref>{{cite news |title=[特派員コラム]「身を燃やし尽くす覚悟」という潘基文前国連総長 |newspaper=[[ハンギョレ]] |date=2017-1-6 |url=http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/26154.html | accessdate=2017-1-7 }}</ref>。
 
=== 被害の背景 ===
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ハイチでの地震発生を受け[[日本政府]]は、2010年1月14日に500万ドルを上限とする無償援助や3000万円分のテントなど援助物資も供与することを発表した<ref>[http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/22/1/0114_01.html ハイチの地震被害に対する支援] 平成22年1月14日付 外務省</ref>。1月15日には医療チームの派遣も決定され、外務省中東アフリカ局中東第一課(地域調査官)を団長に医師、看護師の団員により構成される総勢25名の医療チームが翌16日21時頃、成田よりJALチャーター機でマイアミに向け出発し、現地での治安状況、安全確保対策等を確認した上、マイアミからハイチまで自衛隊輸送機(C-130)で輸送され、2週間の活動を実施した。活動拠点は首都ポルトープランスから西へ20kmのレオガンにおかれたが、発災後1週間経過しての現地入りであったにもかかわらず、レオガンで最初の医療支援団体となり、現地での診療は多大な感謝を持って迎えられた。
 
また[[防衛省]]は現地へ派遣した調査団の調査報告結果を待って地震発生時点で米国[[アリゾナ州]]で共同演習を行っていた[[C-130 (航空機)|C-130輸送機]]、および[[フロリダ州]]に確保してある救援物資の活用を検討し<ref>[http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2010/01/15.html 北澤俊美防衛大臣記者会見] 防衛省大臣記者会見 2010年1月15日午前</ref>、[[国際協力機構|JICA]]による支援の不足分を自衛隊で補うことを発表した<ref>[http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2010/01/15a.html 北澤俊美防衛大臣記者会見] 防衛省大臣記者会見 2010年1月15日午後</ref>。医療チームの活動を引き継ぐ形で、2010年1月20日、防衛省は[[陸上自衛隊]][[第13後方支援隊]]長以下100名からなる「ハイチ国際緊急医療援助隊」の派遣を決定し、翌21日、同隊は現地に向け日本を出国した<ref>{{Cite web|url=http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010012001000430.html|title=自衛隊医官ら100人ハイチへ 防衛相が援助隊派遣命令|author=共同通信|date=2010-01-20 |accessdate=2010-01-23 }}</ref><ref>{{Cite web|url=http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00170419.html|title=自衛隊のハイチ国際緊急医療援助隊およそ100人が成田空港から出発|author=FNNニュース|date=2010-01-22 |accessdate=2010-01-23 }}</ref>。1月25日、[[カナダ]]の[[モントリオール]]で開かれた復興支援の閣僚級会合に出席した[[武正公一]]外務副大臣は追加支援策として約7000万ドル(約63億円)の拠出を表明した<ref name="mainichi-20100126-canada">{{Cite web|url=http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20100126dde007030062000c.html|title=ハイチ大地震:復興支援、3月に国際会議|author=毎日.jp|date=2010-01-26 |accessdate=2010-01-26 }}</ref>。同日、日本政府は国連の平和維持活動に自衛隊の施設部隊を派遣する方針を決めた。規模は約300人とする方向で調整している。がれきの除去や道路の補修などを行うためで、治安維持には携わらないとしているが、護身用の小火器を携行する<ref>[http://mainichi.jp/select/world/news/20100126k0000m010085000c.html ハイチ大地震:PKOで陸上自衛隊を派遣 政府が方針] 2010年1月25日, 毎日新聞</ref>。
 
[[国際連合|国連]]は1月13日に1000万ドルの支援に乗り出すことを表明している<ref>[http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=33471&Cr=haiti&Cr1= UN rushing aid to Haiti following deadly tremors] 国際連合プレスリリース 2010年1月13日付</ref>。1月19日には国連ハイチ安定化派遣団の増援として3500人(兵士2000人、警察官1500人)の派遣を決めた<ref>{{Cite web|url=http://www.cnn.co.jp/world/CNN201001200001.html|title=安保理、PKO要員3500人の増派を決議 ハイチ地震|author=CNN|date=2010-01-20 |accessdate=2010-01-21 }}</ref>。
 
また[[アメリカ合衆国大統領]][[バラク・オバマ]][[アメリカ合衆国大統領|大統領]]は1月13日に「ハイチの人々を支援する用意がある」と声明を発表<ref>[http://sankei.jp.msn.com/world/america/100113/amr1001131008004-n1.htm 米、ハイチ支援を準備 支援機関と軍が調整] 産経新聞 2010年1月13日閲覧</ref>、1月14日に陸軍空挺部隊や[[アメリカ海兵隊|海兵隊]]の派遣を決定した。1月15日に空母[[カール・ヴィンソン_(空母)|カール・ヴィンソン]]や沿岸警備艇4隻、米陸軍[[第82空挺師団 (アメリカ軍)|第82空挺師団]]925人の現地入りを皮きりに、1月19日には病院船[[コンフォート (T-AH-20)|コンフォート]]を含む艦艇10隻以上、約1万人が現地展開している<ref name="asahi-america-0119">{{Cite web|url=http://www.asahi.com/international/update/0118/TKY201001180470.html|title=ハイチに米軍1万人展開 治安維持にも積極関与|author=朝日新聞|date=2010-01-19 |accessdate=2010-01-21 }}</ref>。米国防総省は1月21日に海兵隊4000人の増派を決定し、派遣人員が陸海合わせて15000人規模になる<ref name="jiji-america-0121">{{Cite web|url=http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010012100511|title=ハイチに海兵隊4000人追加派遣へ=米|author=時事ドットコム|date=2010-01-21 |accessdate=2010-01-21 }}</ref>。
 
旧宗主国の[[フランス]]も、[[カリブ海]]の[[マルティニク]]空軍基地から支援物資と緊急援助隊員を搭載した輸送機をポルトープランスへ向けて派遣した<ref>[http://sankei.jp.msn.com/world/america/100114/amr1001140909006-n1.htm 仏海外県から救援機3機が現地へ出発] 産経新聞 2010年1月15日閲覧</ref>。2月17日にはサルコジ大統領がハイチを訪問し、2年間で2億7千万ユーロ(約336億円)の復興支援を行うと発表した。
 
これら以外にも世界の多くの国から人的・物的・金銭的な救援の申し出があるが、ハイチ国内の空港や道路の損傷や治安の悪化、情報通信機能の停止などにより適切な物資の運送と配給が滞っており、現地での食糧や医薬品等の深刻な物資不足が生じている<ref>{{Cite web|url=http://www.jiji.com/jc/zc?k=201001/2010011600335|title=支援物資不足、首都の治安悪化=高まる住民の不満-ハイチ地震|author=時事ドットコム|date=2010-01-16 |accessdate=2010-01-21 }}</ref><ref>{{Cite web|url=http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20100121ATGM2004S20012010.html|title=ハイチ、経済混乱一段と 物資なお不足、インフレ深刻|author=NIKKEI NET|date=2010-01-21 |accessdate=2010-01-21 }}</ref>。