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SSDの価格性能比は年々向上しているため、2012年現在、主流にはほど遠いまでも、PCにHDDの代わりにSSDを搭載して発売される機種が増え始めている。モバイルPC、特に携帯性が重視されるタブレットPCでは多くの機種がSSDを採用している。また、HDDとSSDを同時に搭載する機種も販売されている。転送速度は急速に高まりつつあり、たとえば2009年の第二四半期の東芝製SSDでは、読み出しが200MB/s、書き込みが240MB/sで、HDDの約5倍となっており、初期の製品が発表されてからわずか半年あまりで、それぞれ2倍・3倍の性能向上を果たしている。さらに、HDDとフラッシュメモリの双方の長所を取り入れようと、これらを組み合わせた[[ハイブリッドHDD]]も開発され、実用化されている。HDDとSSDのどちらか一方を選択することが可能なパソコンも市販されている<ref>例:[[パナソニック]] [[Let'snote|Let's note]] CF-LX3など</ref>。
 
HDDメーカーもSSDの登場に対応した動きを見せている。2008年11月には、[[日立グローバルストレージテクノロジーズ]]社(HGST) (HGST) がフラッシュメモリのメーカーでもある米[[インテル]]とサーバ機向けのSSDの共同開発に関して提携した。また、HDD業界2位の米[[ウェスタン・デジタル]]がSSDメーカーである米SilionSystems, Incを2009年3月に買収した<ref name = "どう付き合うかSSD" />。
 
なお、同じ内部構造でも[[USBフラッシュドライブ|USBメモリ]]、[[メモリカード]]等の[[ユニバーサル・シリアル・バス#デバイス・クラス|Universal Serial Bus マスストレージクラス]]の[[インタフェース (情報技術)|インタフェース]]を持つデバイスは、通常は、SSDには直接分類されない。若しくは、SSDのサブクラスとして「'''Universal Serial Bus SSD'''」のように分類される<ref>工学的分類は確立されていない。</ref>。また、[[ソフトウェア]]による[[エミュレータ|エミュレート]]の場合もSSDには分類されない。HDDをベースにフラッシュメモリをキャッシュとする物については[[ハイブリッドHDD]]を参照のこと。
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[[フラッシュメモリ]]で構成されるSSDが誕生したのは1991年のことであり、この3年前(1988年)に設立したばかりの[[サンディスク]]が[[IBM]]の[[ThinkPad]] penコンピュータ向けに容量20MBの[[Advanced Technology Attachment|ATA]]互換SSDを開発・出荷したところから始まる<ref>[http://www.sandisk.co.jp/about-sandisk/corporate/history/ イノベーションの歴史] - [[サンディスク]](日本法人)Webサイトより<br />《2014年4月29日閲覧([https://web.archive.org/web/20140428150752/http://www.sandisk.co.jp/about-sandisk/corporate/history/ →アーカイブ]);当該ページ内に設置されている西暦年タグで「'91」タグを選択することで閲覧可能》</ref><ref name="ssd_history">{{Cite journal |和書 |author = 福田昭 |title = 【IMW 2011レポート】NANDフラッシュメモリの過去、現在、未来 |date = 2011-05-31 |publisher = [[Impress Watch|Impress Watch Corporation]] |journal = PC Watch |url = http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/20110531_449473.html |accessdate = 2014-04-29}}《[https://web.archive.org/web/20110603043952/http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/20110531_449473.html →アーカイブ]》</ref>。
 
サンディスクでは会社設立当初から[[磁気ディスク]]や[[光ディスク]]等の[[電子媒体|回転式記録媒体]]を固体状のフラッシュメモリに置き換えることを狙い、将来像としてSSDが世界中に普及する姿を描いていた。そうした中で、1個のメモリセルに1bit1ビットを越えるデータを記録する「マルチレベル」と呼称する技術と、コントローラ技術により従前から存在する回転式記録媒体をエミュレートする「システムフラッシュ」と呼称する手法の2つを新たなコンセプトとして打ち出し、これらのコンセプトに沿った最初の製品として前記のSSDが開発された<ref name="ssd_history" />。
 
この最初に開発された20MBのSSDのOEM価格は1MBあたり50ドルと高価だった。この約20年後にあたる2010年に同じくサンディスクが記憶容量64GBのSSDを発売した際には、1GBあたりの単価はわずか2ドルとなっていた。この64GBのSSDが発売される2年前にあたる2008年には[[東芝]]からもSSDを世に送り出し始めていた<ref>[http://www.semicon.toshiba.co.jp/product/storage/innovation/ssd/4.html SSDってなに?] - 東芝セミコンダクター&ストレージWebサイトより《2014年4月29日閲覧;[https://web.archive.org/web/20130525013347/http://www.semicon.toshiba.co.jp/product/storage/innovation/ssd/4.html →アーカイブ]》</ref><ref name="ssd_history" />。
 
更に2012年に入ってからは1GBあたりの単価で1[[米ドル|ドル]]を割り込むようになり、同年12月時点での1GBあたり単価は「0.8~0.9ドル程度になっている」と指摘された<ref>{{Cite news |title=ついに「1GB=1ドル」を切り、SSDは本格普及へ向かう |newspaper=ChinaSourcing([[中華人民共和国商務部]]主催) |date=2012-12-26 |url=http://jp.chinasourcing.org.cn/content2.jsp?id=11267 |accessdate=2014-04-29}}<br />上記記事のオリジナル:{{Cite news |title=ついに「1GB=1ドル」を切り、SSDは本格普及へ向かう |newspaper=[[:en:Computerworld|COMPUTERWORLD]]([[IDG]]) |date=2012-12-18 |author=Lucas Mearian |url=https://web.archive.org/web/20121230213337/http://www.computerworld.jp/topics/561/205925 |accessdate=2014-04-29}}※現在は[[インターネットアーカイブ]]に残存</ref>。
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[[2009年]]に[[マイクロン・テクノロジ|マイクロン]]や[[インテル]]は、SSD内部の[[コンピュータ・アーキテクチャ|アーキテクチャ]]にストライピング([[RAID]] 0と同様)と[[インターリーブ|メモリ・インターリーブ]]の手法を導入し、3Gbps[[シリアルATA]]の帯域幅に迫るSSDを発表した<ref>[http://www.micron.com/products/real_ssd/ssd/partlist.aspx?write=250%20MB/s]</ref>。
 
2010年2月、[[Marvellマーベル・テクノロジー・グループ|マーベル]]よりS-ATA 3.0(60 (6.0Gbps)0Gbps) 接続に対応したSSDコントローラチップが公開され、同年3月[[マイクロン・テクノロジ]]からCrucialブランド製品としてS-ATA 3.0(60 (6.0Gbps)0Gbps) 接続対応のRealSSD C300が発売された。シーケンシャルリード時に355MB/sec(公称値)を出し、S-ATA 2.0(30 (3.0Gbps)0Gbps) の理論速度上限である300MB/secを超越している<ref>[http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/hirasawa/20100312_353854.html Crucial「RealSSDC300」300MBsec超の速度を誇る超高速SSD] PC Watch</ref>。
 
2011年には[[サンドフォース]]が並列度を倍加させるとともに、コントローラとフラッシュの間で[[データ圧縮|データの圧縮]]を行うことにより、6Gbps[[シリアルATA]]の帯域幅に迫る[[消費者]]向けのSSDを発表した<ref>[http://www.anandtech.com/show/4186/ocz-vertex-3-preview-the-first-client-focused-sf2200/1]</ref>。
 
=== フラッシュメモリ ===
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2012年6月には[[中央大学]]が[[ReRAM]]と[[NANDフラッシュメモリ]]を組み合わせた[[ソリッドステートドライブ|SSD]]のアーキテクチャを開発した。現時点で量産研究段階にある不揮発性メモリReRAMは、フラッシュメモリより大幅に高コストであるが、読み書きが大幅に高速であるため、キャッシュに用いる事により、SSDの全体としてのスループット向上(高速化)、低消費電力化、長寿命化に資するという<ref>http://eetimes.jp/ee/articles/1205/08/news057.html</ref>。
 
SSDのコストの約80%を占めるNAND型フラッシュメモリ半導体が安価に大容量化出来れば、販売価格は安く出来る。現状のSLC型を4値による2ビット/セルのMLC型にするだけでなく、既に8値による3ビット/セルのMLC型が検討されており、また、プロセスルールの微細化によって大容量化が図られている。多値化や微細化によって書き換え回数が減少するが、周辺技術でカバーし切れるのかという問題がある。例えば、90[[ナノメートル|nm]]のSLC型では書き換え可能回数は10万回程度だったものがMLC型(2bit (2bit/cell)cell) の50nm世代では2万回以下に、MLC型40nm世代や2009年-2010年から量産が始まる予定の30nm世代では1万回以下(3,000回という予測もある)にまでなる。
 
==== 記憶素子による分類 ====
{{See also|フラッシュメモリ#SLCとMLCとTLC}}
この記憶素子は次の4種類に大別される。
* SLC型(Single (Single Level Cell)Cell)
* MLC型(Multi (Multi Level Cell)Cell) 多値 NAND
* TLC型(Triple (Triple Level Cell)Cell)
* QLC型(Quad (Quad Level Cell)Cell)
これらは記憶素子内の蓄積電荷量、つまり、電位の検出区分に違いがある。
 
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; MLC型
MLC型は1つの記録素子に2ビット以上のデータを保持する。多値 NAND という。
 
蓄積電荷量の検出を"Hi/Low"だけでなく、2つの間にいくつかの中間値を設定して、4値や8値、16値といった多値で判断する。記録素子の劣化や[[ノイズ]]によって少しでも蓄積電荷量に変動が生じると、保持していたデータは誤りとなる。その場合、フラッシュメモリ回路やコントローラ内の誤り検出訂正回路によって自動的に正しいデータに修正される([[エラー訂正]])。一般的にMLC型の記録素子は、エラー訂正機能との併用が必須となり、SLC型と比べ多くの冗長エリアが必要となる。またこれらのエラー状況を監視する事により、「メモリーブロック不良」が検出され、代替メモリーブロックに切り替えられる。
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フラッシュメモリと、DRAMを用いたコントローラを搭載したものが主流であるが、2012年5月には[[バッファローメモリ]]([[メルコホールディングス]]傘下)が、DRAMの代わりに不揮発性メモリである[[MRAM]]をキャッシュメモリに採用した[[ソリッドステートドライブ|SSD]]を産業向けにサンプル出荷開始した。製品は、組み込み向けに比較的小容量(数ギガバイト)で、突然の電源断でも書き込みデータや、コントローラの管理データを保持し、耐障害性の向上、低消費電力化などが図られるという<ref>http://eetimes.jp/ee/articles/1205/08/news057.html</ref>。
 
== 外形状とインタフェース ==
外装が全体を保護・支持するが内蔵型のものでは外装を持たないものもある。USBに対応することで、外付けSSDとして使用できるものも存在する。
 
=== HDDの代替デバイスとして ===
[[File:Mtron SSD.jpg|thumb|3.5インチ・2.5インチサイズのIDE接続SSD]]
HDDの代替デバイスとして使われるため、HDD同様の[[インタフェース (情報技術)|インタフェース]]を持つものが多い。初期の頃には[[Advanced Technology Attachment#IDE|IDE]]端子を搭載するSSDがあり、[[シリアルATA]](SATA) (SATA) 移行前の古いノートPCでもATA接続で利用することが可能であった。また、ATA (IDE) 端子に対しSATA・SSDを接合するゲタとよばれるアダプタも開発された。他にも、主に1.8インチHDDのリプレイス用として[[:en:Zero insertion force|ZIF]]や[[:en:Low insertion force|LIF]]に対応したものも開発された。HDDでSATAが主流になるにつれて、SSDもSATA接続に対応したものが主流になった。
 
なお、SSD普及の時期から、ほとんどのドライブはSATAインターフェイス搭載であるが、従来のIDEインターフェース搭載の古いPCでも使えるようにしたものもある<ref>[http://buffalo.jp/proucts/catalog/storage/shd-nhpu2/ 参照外部リンク]</ref>。
 
SSDの大きさに関する標準規格はないが、1.8インチや2.5インチといった小型HDDの形状に対応したマウント部を持つ外装が存在する<ref name = "どう付き合うかSSD" />。2013年5月時点では、[[ノートパソコン]]で多用される2.5インチハードディスクドライブ(HDD) (HDD) のサイズおよびねじ穴位置に合わせたものがほとんどである。そのため、[[デスクトップパソコン]]の3.5インチベイに取り付けられるアダプタが付属するものも多い。厚さは7ミリと9.5ミリのものがある。
なお、ノートパソコンに取り付ける(HDDと置き換える)場合、パソコン本体によっては(薄型のモバイル機など)7ミリ厚のものしか対応できない場合があり、注意が必要である。
 
=== SSD専用フォームファクタ・規格 ===
[[File:14-06-11-ssd-RalfR-N3S 7886-03.jpg|thumb|mSATA SSDと、それを外付け(USB) (USB) 化するケース]]
2013年頃から[[mSATA]] (mini-SATA) に対応したSSDが登場した。mSATAはシリアルATAと同じ規格の信号を利用した端子で、通常のHDDやSSDと違って基板上に直接実装でき、電源コネクタと信号ケーブルが不要となり且、旧来のHDDの外殻に合わせたサイズ・形態から解放されるため、省スペース化が必要な小型PCやノートPCに利用される。mSATAに対応した製品によっては、[[Intel Smart Response Technology]] (ISRT) で使用するHDDキャッシュに用いられるが、通常のHDD(1.8インチHDD)と同じ単体のSSDとして使えるものもある。
 
SSDはHDDのアクセス速度を大きく改善するという目的を達成したが、やがてHDDの速度を想定して作られたインタフェース規格の転送速度の上限に達した。[[SATA Express]]などより高速な[[PCI Express]]等の従来規格を利用した製品が登場したほか、[[M.2]]、[[U.2]]など専用のフォームファクタ・規格に準拠した製品、[[Advanced Host Controller Interface|AHCI]]の代わりに[[NVM Express]] (Non-Volatile Memory Express, NVMe) を利用した製品などがある。
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アメリカの工業化規格団体のひとつであるJEDECは、2007年より小委員会においてSSDの標準化作業を開始し、2010年9月に「SSDが要求される機能および耐久性試験の方法に関する規格」(JESD218)と「耐久性試験を行う際にかかる負荷に関する規格」(JESD219)を策定した。標準化作業は現在も進行中である。
 
また、OSとSSD間の通信に用いるコマンドセットなどのインタフェースに関しては、2008年4月にIntelインテルがマイクロソフトやデルと共同で「不揮発性メモリ ホストコントローラインターフェース規格」(NVMHCI Spec. Rev 1.0) を発表している。
 
=== 組み込み向け ===
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[[オペレーティングシステム|OS]]において、開発・発表時にSSDが実用化されておらずSSDでの利用が想定されていない場合、HDD用の処理がSSDに適用される場合がある。結果的に、ハード特性の違いから寿命が短くなったり不都合を生じたりすることがある。
 
[[Microsoft Windows|Windows]]においては、[[Microsoft Windows Vista|Windows Vista]]までHDDのための自動[[デフラグメンテーション]]機能が働くため、放置すると無用な書き換え処理によってセルの寿命が消費される。一方で、[[Microsoft Windows 7|Windows 7]]以降からはHDDとは別種の記憶装置「SSD」として扱われ、[[デフラグメンテーション]]、[[Windows SuperFetch|SuperFetch]]、[[Windows ReadyBoost|ReadyBoost]]などの対象から除外と[[ウェアレベリング]](Trimコマンド)をサポートしている<ref>[http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/hot/20090519_168669.html Windows 7のSSD対応追加情報] - インプレス</ref>。
 
[[Linuxカーネル]]2.6.28 からは[[ウェアレベリング]]などのサポートが改善され、セルの寿命をできるだけ延ばすなどの対策がとられている<ref>[http://www.ibm.com/developerworks/jp/linux/library/l-kernel-advances/ 進歩する Linux カーネル] 2009年03月24日 IBM</ref>。
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|<!-- 最上段 --><div style="width:8px;height:11px;background:#9999ff"></div>
|-
|SSD (SSD([[シリアルATA|SATA]]接続)
|style="text-align:right"|約550 MB/s<ref>[https://www.sandisk.co.jp/home/ssd/extreme-pro-ssd SanDisk エクストリームプロSSD]</ref>
|<!-- 2段目 --><div style="width:35px;height:16px;background:#9999ff"></div>
|-
|SSD (SSD([[NVMe]]接続)
|style="text-align:right"|約3500 MB/s<ref>[http://www.samsung.com/semiconductor/minisite/jp/ssd/consumer/960pro.html 960 PRO | Consumer SSD | Samsung Memory & Storage]</ref>
|<!-- 3段目 --><div style="width:224px;height:16px;background:#9999ff"></div>
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[[シーケンシャルアクセス]]の性能が広告用のベンチマーク結果としてよく出されるが、[[ランダムアクセス]]の性能にも注意を払う必要がある。[http://www.hdtune.com/ HD Tune Pro]などの、[[ベンチマーク]]ソフトのランダムアクセスのWriteの値でそれがわかる。
 
ランダム書込み(特に小ファイル)の速度については、2008年に広まりを見せたJMicron製コントローラチップ「JMF602」搭載のSSDはHDDよりも遅かった。しかし、2009年に発売されたIndilinxやIntelインテル製のコントローラチップを搭載したSSDでは、内部に大容量のキャッシュメモリ(DRAM) (DRAM) を搭載することで、小ファイルの書き込み時の内部遅延を隠蔽しHDDよりもはるかにランダム書込みが高速な製品が登場した。
 
=== 適した用途 ===
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SSD長期使用者や多頻度利用者(容量一杯まで書き込みを行うなど)から、書き込み性能が購入時よりも低下したという報告が多数上がっている。
 
データを削除して空き領域となった所に再度書き込みが行われる際、データの消去処理などが追加で実行されている可能性が高い。SSDは購入当初は書き込みの際、消去済みの初期化ブロックに対して"書き込み"だけをするため処理は速い。しかし、HDDを想定した一般的な[[ファイルシステム]]においては、書き込まれたデータを削除して空き領域とする場合、ディスクの管理情報を書き換えることでデータをOSから見えなくするだけであって、実際にはデータそのものは消去されず、空き領域にそのまま残ることになる。SSDを使用し続けることでこのような「データが残っている空き領域」が増加していくが、これらの領域はSSD側で一定の時点で消去されることはなく、そこへの新しいデータの書き込み命令があった時に初めて消去される。消去処理は、書き込み処理より約100倍ほど時間がかかり、単なる書き込みの度に “古いデータの消去 + 新しいデータの書き込み” のような2つ以上の処理を必要とするため速度が低下する。
 
「消去を一括に広範囲で行う」という特性上、本来消す必要の無い領域まで余計に消去してしまうため、その領域については元の値を書き戻すステップが必要となってしまう。NAND Flashの一般的な仕様の一つである「読み書きは2kB単位、消去は256kB単位」というシステムを例にとると、たった1ビットの値を書き換えるだけでも最悪のケースでは128回の読み込みと1回の消去、そして128回の書き戻し動作が行われる。
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SSDに採用されるコントローラのファームウェアが、何かしらの問題を抱えている場合がある。
* Intel SSD 320シリーズの、ファームウェアのバージョン"0362"を除くそれ以前のバージョンでは、不意の電源断の後にドライブの容量がOSから8MBだけ認識されるようになり、元の内容が読み書き不能になる現象が報告されている。俗に「8MB病」と呼ばれている<ref>[http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/052/52892/ 『Intel SSD 320』“8MB病”に対処するファームウェアをアップデート]</ref>。
* Crucial m4と同社 C300シリーズの初期ファームウェアでは、[[シリアルATA]]のLPM (Link Power Management) 機能がアクティブの場合にSSDが応答を停止するというトラブルが報告されている。m4はファームウェア更新、C300はホスト側でLPM機能をオフにする事により解決する。この現象は俗に「LPM問題」と呼ばれている。
* Crucial C300シリーズの初期ファームウェア ("0006") では、Windows7Windows 7などTRIMコマンドが有効な環境で、フラッシュメモリの消耗度合が通常使用の何10倍にもなるバグがある事が報告されている。
* Crucial m4シリーズの初期ファームウェア("0009"以前)では、使用時間が5184時間以上になると応答を停止するバグがある事が報告されている。この現象は俗に「5184時間問題」と呼ばれている。