「種子島宇宙センター」の版間の差分

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更にH-IIBロケットの開発に合わせた追加改修が総工費約50億円をかけて、2006年に始まり2009年2月に完成した<ref name="center gaiyou 9"/>。[[デルタロケット]]を開発基盤とした実用液体燃料ロケットのN-I、N-II、H-Iロケットは大崎射点から打ち上げられた。また大崎射点は[[J-Iロケット]]に使用されたほか、後に計画が中止された[[GXロケット]]の打ち上げに使用する案もあった。大型でH-I以前の液体燃料ロケットと基本設計もまったく異なるH-II、H-IIA、H-IIBロケットは新設された吉信射点を使用している。
 
また、大崎地区の吉信射点付近かつて大崎集落があり、13世帯約50人ほどが暮らしており、[[サトウキビ]]畑が広がっていた。射場建設にあたり住民は[[関西]]や種子島の別の集落などに移っていった。現地にはその記念碑が建てられている。<ref name="asahi 50nen"/><ref>{{Cite web|url=http://www.cosmotec-hp.jp/column/nagao2.html|title=宇宙こぼれ話 取締役 南日本事業部長 長尾隆治 第2回 「ロケット発射場の話(2)|publisher=JAXA|accessdate=2018-10-10}}</ref>
 
==== 吉信射点 ====
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[[ファイル:H2AVAB.jpg|thumb|大型ロケット組立棟]]
; 大型ロケット組立棟 (Yoshinobu Vehicle Assembly Building; VAB)({{ウィキ座標|30|24|13.7|N|130|58|23.3|E|region:JP|地図|name=大型ロケット組立棟(VAB)}})
: 工場から搬入されたロケットを移動発射台上に組み立てて整備する施設で、地上15階建て、高さ81m、幅64m、奥行き34.5m、総重量約5,600トン、延べ床面積17,753㎡に及び、低・中層棟は1990年5月に、高層棟の増築部は1999年6月に竣工した<ref>{{Cite web|url=http://stage.tksc.jaxa.jp/shisetsu/facilities/service.html|title=施設部 主な施設設備(整備組立棟)|publisher=JAXA|accessdate=2018-09-30}}</ref>。当初はH-IIを1機整備できる構造だったが、H-IIAの開発に合わせて北側へ増築し、2機同時に整備できるようになった。これに合わせてVABの扉を、分割された扉をそれぞれ上に吊り上げる「吊り上げ式」から、油圧モータによって開閉する2枚の引違い式スライド扉に変更された<ref>{{Cite web|url=https://www.khi.co.jp/stories/articles/vol40/|title=THE STORIES Space Frontier Project Voice 05 日本が世界に誇る世界一のスライド扉。それは、宇宙への扉となった。|publisher=[[川崎重工業]]|date=2017-02|accessdate=2018-10-08}}</ref>。このスライド扉は1枚当たり高さ67.5m46m、幅2726.0m95m、厚さ2.5m、重さ400トンに及び、[[2005年]][[5月19日]]付けで世界一大きな引違い扉として[[ギネスブック世界記録]]に登録認定されている<ref>{{Cite web|url=https://www.khi.co.jp/storiesmobility/articlesaero/vol40space/rocket.html|title=THEロケット射点設備 STORIES Space Frontier Project Voice 05 日本が世界に誇る世界一のスライド扉。それは、宇宙への扉となった。開発機器 川崎重工業株式会社|publisher=[[川崎重工業]]|date=2017-02|accessdate=2018-10-0810}}</ref>
: H-IIは、VABで組み立てられると衛星を搭載せずにPSTへ移動するため、空いたVABで次の機体の組立が可能だった。H-IIAは衛星搭載も含め打ち上げ前日までVABで整備を行う方式に改められたため、2機連続で打ち上げを行う際にはVABに2機格納する必要が生じ、増築されたのである。実際に、H-IIA8号機と9号機はVABで2機並んで整備され、わずか25日の間隔で打ち上げることができた。
: ロケットの最大の部品である1段目は、山側の低層部に専用コンテナごと搬入され開梱される。先端を海側の高層部で吊り上げられて起立し、移動発射台上に据え付けられる。この手順が、低層部と高層部からなるVABの独特のシルエットを決定している。
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: 打ち上げ準備期間は、作業進行の管理を実施する。打ち上げ時には、打ち上げカウントダウンやテレメータセンターとの間での交信、2段目の燃焼が終わるまでの指令管制を行い、[[筑波宇宙センター]]や[[相模原深宇宙管制センター]]に引き継ぐ。
; 多目的避雷塔
: 各射点に2本づつあり、雷からロケットを保護するためのもの。MLのアンビリカルマスト先端の2本の避雷針と合わせて計4本の避雷設備がある。最下部は約5mの正方形だが上部はロケット側にせり上がる偏心塔となっている。これは、偏心塔だと塔を低くすることができるのも理由の一つであるが、対称形状の塔だとロケットの飛行経路を把握するにあたって、ロケットと追跡管制を行う各地上局とを結ぶ直線と干渉してしまう可能性があり、通信性と可視性が確保できない恐れがあったためである。<ref name="cosmotec ohkura2">{{Cite web|url=http://www.cosmotec-hp.jp/column/ohkura2.html|title=宇宙こぼれ話 技師長 大倉廣高 第2回 偏芯型「多目的避雷塔」|publisher=株式会社コスモテック|accessdate=2018-10-06}}</ref>第1射点の多目的避雷塔は高さ74.5mで<ref>{{Cite web|url=http://www.jaxa.jp/projects/rockets/h2a/f8/img/f8_tnsc_j.pdf|title=種子島宇宙センターの概要|publisher=JAXA|date=2005-12|accessdate=2018-10-05}}</ref>、第2射点の多目的避雷塔はH-IIBロケットの打ち上げに対応するため高さ74.5mから75.5mに伸ばされている<ref name="center gaiyou 9"/>。
 
==== 大崎射点 ====
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; 衛星フェアリング組立棟 (Spacecraft and Fairing Assembly building; SFA)
: [[ペイロードフェアリング|衛星フェアリング]]とは、ロケットが[[大気圏]]内を高速で飛行する際に、衛星を保護するための覆いのことである。H-IIの場合、衛星はここでフェアリング内に格納され、フェアリングをコンテナ代わりにして射点のPSTへ運ばれて、ロケットに搭載された。H-IIA、H-IIBの場合は、同様にしてVABへ運ばれ、ロケットに搭載される。[[宇宙ステーション補給機|こうのとり]]には、第2衛星フェアリング組立棟(Second Spacecraft and Fairing Assembly building; SFA2)が使われる<ref name="center gaiyou 9"/>。
; 非破壊試験棟 (Non Destructive Test Facility; NDTF)
: [[SRB-A]]のX線検査([[非破壊検査]])を行う施設。デジタル画像で固体推進薬中に異常がないか確認する検査と、[[X線]]フィルムでモーターケースと固体推進薬の界面剥離の有無を確認する検査の2種類を行う<ref name="center gaiyou 9"/>。
; ロケットガレージ
: 施設見学ツアーでのみ行ける施設で、2017年3月に「大崎第一事務所」から「ロケットガレージ」へと名前を変え一新されている。H-IIロケット7号機の実物やロケットの部品などを展示している。<ref name="tanegashima leaflet"/><ref name="gijutsukan leaflet"/><ref>{{Cite web|url=http://fanfun.jaxa.jp/visit/tanegashima/facility.html|title=ファン!ファン!JAXA! 種子島宇宙センター 施設紹介|publisher=JAXA|date=2017|accessdate=2018-10-08}}</ref><ref>{{Cite web|url=https://this.kiji.is/234494267867856905|title=【現場を歩く】〈種子島宇宙センター〉ロケット発射担う鋼構造群|publisher=鉄鋼新聞社|date=2017-05-09|accessdate=2018-10-08}}</ref>
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: [[天体望遠鏡]]と[[固体撮像素子]]を搭載した[[シュミット式望遠鏡]]によって、打ち上げ後の人工衛星を追跡する施設。広田光学観測所よりも大型の観測装置によって、人工衛星軌道の確定を行うための光学観測を行う。
; 宇宙ヶ丘追跡所
: ロケットのテレメータデータ(機器の動作状況やセンサーの値を伝える信号)を受信したり、ロケットを[[レーダー]]で追跡する施設。かつては他にも、「野木レーダーステーション」<ref>{{Cite web|url=http://jda.jaxa.jp/result.php?lang=j&id=4a65db2819e8221223588f5af3b1425e|title=JAXAデジタルアーカイブス 野木レーダ局(種子島宇宙センター)|publisher=JAXA|accessdate=2018-10-10}}</ref>(所在地:鹿児島県[[西之表市]]安城字鹿毛馬頭3409-5及び鹿児島県西之表市安城字小畑尻3366-4<ref>{{Cite web|url=http://www.jaxa.jp/about/plan/pdf/plan03.pdf|title=独立行政法人宇宙航空研究開発機構の中期目標を達成するための計画 (中期計画) (平成25年4月1日~平成30年3月31日)|publisher=27ページ目. JAXA|date=2013-03-29|accessdate=2018-10-10}}</ref>)と「中之山テレメータステーション」<ref>{{Cite web|url=http://jda.jaxa.jp/result.php?lang=j&id=07ec1e0a580f67fa7e7fee2cbd7d95e4|title=JAXAデジタルアーカイブス 中之山テレメータステーション(種子島宇宙センター)|publisher=JAXA|accessdate=2018-10-10}}</ref>があったが現在は廃止されている<ref name="cosmotec ohkura2"/>。
: ロケットのテレメータデータ(機器の動作状況やセンサーの値を伝える信号)を受信したり、ロケットを[[レーダー]]で追跡する施設。
; [[増田宇宙通信所]]({{ウィキ座標|30|33|21.9|N|131|0|58.2|E|region:JP|地図|name=増田宇宙通信所}})
[[ファイル:Jaxamasuda.jpg|thumb|増田宇宙通信所]]