「スティーヴン・ジェイ・グールド」の版間の差分

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=== 反適応主義 ===
:[[適応#適応主義と反適応主義]]も参照のこと。
グー ルドは[[リチャード・ルウォンティン]]との共著論文「サンマルコ大聖堂のスパンドレルとパングロス風パラダイム」を執筆し<ref>http://www.aaas.org/spp/dser/03_Areas/evolution/perspectives /Gould_Lewontin_1979.shtml</ref>、ネオ・ダーウィニズムを「'''適応万能論 '''」(ウルトラダーウィニズム、ウルトラ汎選択主義、ハイパー適応主義など)と呼んで批判した。彼らによれば、適応万能論とは「生物が持つ形質を全て [[適応]]と見なし、それらしい適応話を造り、検証を試みない立場」である。この論文は 1,600回以上も引用され、彼の最も有名な論文の一つとなった。グールドは「適応していない原因」として'''[[発生]]の制約'''、歴史の偶発性重視し、特に[[発生学]]的理解ぬきの進化学は不十分だと指摘した。そして適応万能論を基盤としている[[社会生物学]]は根本的に間違っていると批判した。グールドとルウォンティンは適応主義に変わるアプローチが必要だと述べ、弁証法的生物学を主張したが、具体的な手法を提案することはできなかった。薬理学者ワーナー・カーロウらは、グールドが言うように「超正統」ダーウィニストは過度の極端化をしており、局地的、一時的な環境要因を無視しているとグールドを支持している<ref>Evolutionary Psychology: An Exchange http://www.nybooks.com/articles/1070</ref>。
 
[[ジョン・メイナード=スミス]]は適応主義へのこの批判を適切で健全なものと評価した<ref>Maynard Smith,John Did Darwin Get It Right? Penguin Books Ltd,1993</ref>。同時に、適応主義が十分役に立つアプローチであると擁護した<ref>『進化とゲーム理論―闘争の論理』J.メイナード‐スミス、寺本英、梯正之訳</ref>」。[[ジョージ・クリストファー・ウィリアムズ|G.C.ウィリアムズ]]も同様に批判を好意的に受け止め、それでも適応主義は役に立つアプローチであり「グールドが何故そこまで自然選択を過小評価するのか理解に苦しむ」と述べている<ref name="edge2">http://www.edge.org/documents/ThirdCulture/i-Ch.2.html</ref>。ウィリアムズ以外にも、多くの進化学者はグールドが本当は適応主義者なのだと考えていた。[[リチャード・ドーキンス]]はグールドが [[周期ゼミ]]の周期的な発生を対捕食者戦略だと説明することを引き合いに出し、誰であろうと生物の複雑な機能を説明する時には適応主義者とならざるを得ないのだと指摘した。ジョン・オルコックは、適応主義アプローチを取るのは仮説構築のためであり、自然は全て適応しているという「信念を告白しているのではない」と指摘している。適応主義者が適応についてたびたび話すのは、(適応の副産物について語ることもできるが)生物の複雑な機能を解明することに価値を見いだしているからだとのべ、適応的アプローチに基づいて立論され、予測、検証が行われたケースを挙げている<ref name="alcock">ジョン・オルコック『社会生物学の勝利』</ref>。