「トレビゾンド帝国」の版間の差分

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東ローマ皇帝[[アンドロニコス1世コムネノス]](在位:[[1183年]] - [[1185年]])の孫[[アレクシオス1世 (トレビゾンド皇帝)|アレクシオス・コムネノス]]が[[1204年]]4月、トレビゾンドを占領して建国。[[コムネノス王朝]]([[1081年]] - [[1185年]])の本流を継ぐものとして、「メガス・コムネノス(大コムネノス家)」と称した。
 
当初は東ローマ帝国の亡命政権の中では最初にコンスタンティノポリスを奪還する勢いであったが、他の東ローマ系政権との連携を欠いたため、[[ニカイア帝国]]や[[ルーム・セルジューク朝]]に敗北し、小アジア北東部・[[ポントス]]地方の地方政権に転落してしまった。君主の称号もコンスタンティノポリスを奪回した[[パレオロゴス朝]]の[[ミカエル8世パレオロゴス|ミカエル8世]]の要請に応じて1282年に[[ヨハネス2世 (トレビゾンド皇帝)|ヨハネス2世]]がコンスタンティノポリスを訪問した際に「[[ローマ人]]の皇帝(ローマ皇帝)」の称号を放棄し{{sfn |根津由喜夫|2011| p=112}}、「全東方と[[イベリア王国|イベリア]]([[コーカサス]]南西部)およびペラティア(海の向こう、の意。トレビゾンドから見て黒海の向かい側にある黒海北岸地域や[[クリミア半島]]を指した)の地の皇帝にして専制君主」({{lang-el|Αυτοκράτορας πάσης της Ανατολής, των Ιβηρίων και της Περατείας}})を名乗るようになった{{sfn |チャールズ・キング|2017| p=175}}{{sfn |根津由喜夫|2011| p=112}}。しかし、東ローマ帝国滅亡後の[[1461年]]に[[オスマン帝国]]によって滅ぼされるまで約250年間存続し、史上最後の東ローマ系国家となった。国家としてはあまり強大ではなかったが、東西交易路の途上に位置するその地理的状況はこの国に多くの富をもたらし、また周辺の[[グルジア]]・[[アルメニア]]などのキリスト教文化圏との交流も盛んであった。外交上は東方のイスラーム諸勢力、特に[[白羊朝]][[ペルシア]]と婚姻関係を基にした同盟関係を結ぶなどして独立維持を図っている。
 
東ローマ世界の飛び地として、この帝国でも[[ギリシャ正教]]の文化が継続し花開いた。首都トレビゾンドに残る聖ソフィア聖堂、[[ポントス]]の山中に創立されたスメラ修道院(現在は廃院)などがその代表的な姿を今に伝えている{{sfn |根津由喜夫|2011| p=108-115}}
 
帝国の住民を構成したギリシャ系の人々は、他の[[ギリシャ人]]居住地域から切り離されたまま[[オスマン帝国]]の統治下で[[ギリシャ正教]]や[[ギリシャ語]]などのギリシャ的な文化を保持し続け、のちに[[ポントス人]]と呼ばれることになる。
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== 参考文献 ==
*{{Cite book|和書
 
|last =
*ジョナサン・ハリス『ビザンツ帝国の最期』(井上浩一訳、白水社、2013年)
|first =
*チャールズ・キング『黒海の歴史』(前田弘毅ら訳、明石書店、2017年)
|author = ジョナサン・ハリス
*[[根津由喜夫]]『図説ビザンツ帝国 刻印された千年の記憶』(河出書房新社、2011年)
|authorlink =
 
|others =
|translator = [[井上浩一 (歴史学者)|井上浩一]]
|year = 2013
|title = ビザンツ帝国の最期
|publisher = [[白水社]]
|page =
|isbn = 978-4-560-08269-0
}}
*{{Cite book|和書
|last =
|first =
|author = チャールズ・キング
|authorlink =
|others = 前田弘毅(監訳)
|translator = 前田弘毅、居阪僚子、浜田華練、仲田公輔、岩永尚子、保苅俊行、三上陽一
|year = 2017
|title = 黒海の歴史 ユーラシア地政学の要諦における文明世界
|publisher = [[明石書店]]
|page =
|isbn = 978-4-7503-4474-4
}}
*{{Cite book|和書
|last =
|first =
|author = [[根津由喜夫]]
|authorlink =
|others =
|translator =
|year = 2011
*[[根津由喜夫]]『|title = 図説ビザンツ帝国 刻印された千年の記憶』(河出書房新社、2011年)
|publisher = [[河出書房新社]]
|page =
|isbn = 978-4-309-76159-6
}}
*A.BRYER ''The Empire of Trebizond and the Pontos'' London 1980([[政治史]]・[[経済史]]・[[社会史]]などの論考を含む論文集)
*W.MILLER ''Trebizond ,the last Greek Empire '' London 1926([[政治史]])
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*S.VRYONIS ''The Decline of Medieval Hellenism in Asia Minor and the Process of Islamization from the Eleventh Through the Fifteenth Century'' Berkeley 1971 ([[政治史]])
ドイツ語・英語版のページにも参考文献が掲載されている。
==脚注==
 
<references />
{{DEFAULTSORT:とれひそんと}}
[[Category:トレビゾンド帝国|*]]