「真空管」の版間の差分

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二極管が発明されたイギリスを中心とした[[ヨーロッパ|欧州]]で主に、その電極の数により、二極管のことを'''ダイオード'''<ref>{{lang-en-short|diode}}</ref>、三極管のことを'''トライオード'''<ref>{{lang-en-short|triode}}</ref>、四極管のことを'''テトロード'''<ref>{{lang-en-short|tetroiode}}</ref>、五極管のことを'''ペントード'''<ref>{{lang-en-short|pontoode}}</ref>(以下同様)という。さらに二極管の中でも[[整流]]に用いるものを特に'''レクティファイア'''<ref>{{lang-en-short|rectifier}}</ref>と呼ぶこともある。
 
;=== 発明、多様化、小型管に対する代替用語の登場 ===
真空の管の構造をした小型管で増幅などを行う素子は、発明当時から真空管(vacuum tubeやvacuum valve)と呼ばれて発展したのだが、後になって(真空のガラス管という構造では同じでも)大型管、[[ブラウン管]]、マイクロ波管など機能が異なるものや、似た機能を持っているが内部が真空でない放電管などが出現したので、これらを<u>'''電子管'''(electron tube)と[[総称]]するようになり</u>、<u>従来「真空管」と呼ばれた小型管は、'''受信管'''(receiving tube)と呼ばれるようになった</u><ref>平凡社『世界大百科事典』vol.14, p.261【真空管】</ref>。
 
つまり「真空管」という言葉は、古風な用い方としては狭義に、もっぱら小型の真空管を指すが、今では広義に、小型のものに限らず、真空もしくは低圧雰囲気空間における[[電界]]や[[磁界]]による電子の様々な振る舞いを利用する素子全般を[[総称]]する用法もあるのである([[蛍光灯]]などの[[光源]]目的としたものを除く)。すなわち、その容器内部を真空もしくは低圧とした[[構造]]から「真空管」の名を持ち、[[陰極線管]]([[ブラウン管]]など)、[[プラズマディスプレイ]]、[[放射線]]源管(代表的なものとして[[X線]]管)、放射線検出管(代表的なものとして[[GM計数管]])なども真空管のひとつである。
 
;=== 日本語の略呼法や助数詞 ===
日本語では「球」(きゅう、たま)とも呼ばれる。(これは初期の真空管は[[白熱電球]]と似た形状で英語では「{{lang|en|bulb}}」と言うことからとも考えられる。)たとえば俗な言い方だが、ソリッドステートの(トランジスタの)[[アンプ]]に対して真空管使用のものを「球(たま)のアンプ」と言うなど。また、セット(電気回路による装置)に使っている真空管の個数を称して「n球(きゅう)」という言い方をする。例えば[[スーパーヘテロダイン受信機|スーパーヘテロダイン方式]]による[[ラジオ#中波放送(AM放送)|AMラジオ]][[受信機]]の、代表的な構成の一つである真空管を5本使用しているものを、「五球スーパーラジオ」という。なお、真空管の代替として発明された[[半導体]][[トランジスタ]]を球と対比的に「石(いし)」と俗称し、助数詞として「石(せき)」が用いられている。
 
;=== 利用の減少および現在も続く特殊目的での利用 ===
21世紀では、一般的な電気電子回路において汎用的(整流、変調、検波、増幅など)に用いる目的の素子としては、多くが[[半導体]]に置き換えられ、真空管はその役割をほぼ終えているが、半導体では実現が難しい高周波/大電力を扱う特殊な用途での増幅素子として現在でも使われており、日本でも[[送信所#送信機|放送局用]]、また[[レーダーサイト#日本のレーダー・サイト|防衛省向け]]として製造されている。またオーディオアンプや楽器用アンプなどでは、現在も真空管による増幅回路がしばしば用いられるため、それらの用途のための真空管が現在も製造されている。