「漁業調整委員会」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
TempuraDON (会話 | 投稿記録)
出典URL差し替え
7行目:
漁業調整委員会は、[[漁業法]]1条にいう「漁業者および漁業従事者を主体とする漁業調整機構」のことであり、漁業法の目的は、この漁業調整委員会の運用によって「水面を総合的に利用し、漁業生産力を発展させ、あわせて民主化を図ること」と規定している。こうした漁業調整委員会の運用は、一連の[[日本の戦後改革|戦後改革]]における漁業の[[民主化]]として導入されたものであり、戦後の漁業制度の大きな特徴となっている。
 
漁業調整委員会は、[[都道府県知事]]への諮問機関、建議機関として機能するとともに、委員会みずからが各種の裁定・指示・認定をおこなう決定機関として、以下のような漁業に関する広範で強力な権限、機能を与えられている<ref>{{Refnest|以下、漁業調整委員会の機能については、{{Harvnb|金田禎之|2001年、|pp=404-408}}{{Harvnb|金田禎之|2003年、|pp=82-88}}、を参照。</ref>}}
 
# '''諮問事項''' : 都道府県知事が漁業調整委員会に諮問する事項として、[[漁場]]計画の作成(同11条1項)、[[漁業権]]の免許(同12条)、その他、漁業権に関する一切の[[行政庁]]の処分については、かならず漁業調整委員会の意見を聴いてから、おこなわれなければならない。
19行目:
海区は、[[農林水産大臣]]が告示する、海面上の区割りのことである(漁業法84条1項)。全国に66海区ある。各県に1海区が基本であるが、特殊な立地条件にある水面については特別な海区指定がなされており、[[北海道]]に10海区、[[長崎県]]に4海区、[[福岡県]]・[[鹿児島県]]に3海区、[[青森県]]・[[茨城県]]・[[東京都]]・[[新潟県]]・[[兵庫県]]・[[島根県]]・[[山口県]]・[[佐賀県]]・[[熊本県]]に2海区、その他の府県にそれぞれ1海区ある。
 
また、66海区のうち、漁業者数が少ない海区の場合は、下記の海区漁業調整委員会の委員数を少なくしている(以下では、このような小さな海区のことを便宜上'''特殊海区'''と表記する)。このような特殊海区は以下のとおり。[[霞ヶ浦]]北浦、東京都内湾、[[小笠原諸島|小笠原]]、[[佐渡島|佐渡]]、[[大阪府|大阪]]、[[但馬]]、[[琵琶湖]]、[[隠岐諸島|隠岐]]、[[福岡県]][[豊前]]、[[筑前]]、福岡県[[有明海|有明]]、佐賀県有明、[[五島列島|五島]]、[[対馬]]、熊本県有明、[[熊毛]]、[[奄美大島]]。以上、合計17海区<ref>{{Sfn|金田禎之|2001年、|p=416頁。</ref>}}
 
=== 構成 ===
28行目:
要件は以下の通り
#18歳以上の者<ref>2016年6月18日までは「20歳以上の者」であったが、2016年6月19日から公職選挙の選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げる法改正・選挙制度改正([[18歳選挙権]]が実施されたことにより、選挙権・被選挙権が引き下げられた。</ref>
#漁業者または漁業従事者であること<ref name="kaneda">{{Sfn|金田禎之|2001年、|p=422頁。</ref>}}
#その海区に沿う[[市町村]]に[[住所]]または事業所を有すること<ref name{{Sfn|金田禎之|2001|p="kaneda"></ref>422}}
#1年に90日以上[[漁船]]を使用する漁業を営み、またはこれに従事していること<ref name{{Sfn|金田禎之|2001|p="kaneda"></ref>422}}
 
選挙は公職選挙法が一部準用されるが、同法9条・10条1項は準用されず、[[国籍条項]]は存在しない<ref>現実的には[[外国人漁業規制法]]により、外国人が日本において漁業者または漁業従事者となるには日本人と比較して大きな制限がある。</ref>。
36行目:
有権者の申請により選挙管理委員会が選挙人名簿を作成する。
 
知事選任委員6人は、都道府県知事が4人の学識経験委員と2人の公益代表委員を選任する。学識経験委員は、水産の学識を有し、その科学性を反映できる人物であることが期待される。また、公益代表委員とは、漁業とそれ以外の一般公益の調整を図りうる人物を選任することが期待される<ref>{{Sfn|金田禎之|2001年、|p=416頁</ref>}}
 
なお、漁業者数が少ない小規模な特殊海区については、海区委員10人で、その内訳は公選委員6人、知事選任委員4人(学識経験委員3人、公益代表委員1人)となっている。
43行目:
連合海区漁業調整委員会は、特定の目的のために、2つ以上の海区にわたる問題を処理するために、必要に応じて設置される(同105条)。設置された海区を管轄する都道府県知事の監督に属する(同82条2項)。
 
一つの海区単独で処理できない、処理してはならない事項について、複数の海区漁業調整委員会が共同して処理に当たるものである<ref>{{Sfn|金田禎之|2001年、|p=466頁。</ref>}}
 
連合海区漁業調整委員会の設置は、以下の3つの場合がある。
55行目:
広域漁業調整委員会は、都道府県の区域を越えた広域的な問題を処理するために、全国を[[太平洋]]、[[日本海]]・[[九州]]西、[[瀬戸内海]]の3ブロックに分けて、設置される(同110条)。[[農林水産大臣]]の監督に属する(同82条2項)。[[水産庁]]の[[特別の機関]]である([[農林水産省設置法]]40条)。
 
3つの広域漁業調整委員会はそれぞれ、関係海区より各[[都道府県]]ごとに1名ずつ互選で選出される委員と、農林水産大臣が選任する学識経験委員(3人)から構成される。また、太平洋広域漁業調整委員会と日本海・九州西広域漁業調整委員会はそれに加えて、海区の単位を超えて漁業をおこなう者を関係漁業者代表として、農林水産大臣が選任する(漁業法111条)。以下、各広域漁業調整委員会の構成は以下のとおり<ref>{{Refnest|構成人数については、{{Harvnb|金田禎之|2001年、|pp=475-776}}、を参照。</ref>}}
# 太平洋広域漁業調整委員会(28人) : 関係海区・都道県の互選委員18人、関係漁業者代表委員7人、学識経験委員3人。
# 日本海・九州西広域漁業調整委員会(29人) : 関係海区・道府県の互選委員19人、関係漁業者代表委員7人、学識経験委員3人。
61行目:
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{reflist}}
 
== 参考文献 ==
* {{Cite book |和書 |author=金田禎之 |title=新編 漁業法詳解』( |publisher=成山堂書店 |year=2001年)ISBN |ISBN=4425840178 |ref=harv}}
* {{Cite book |和書 |author=金田禎之 |title=新編 漁業法のここが知りたい』( |publisher=成山堂書店 |year=2003年)ISBN |ISBN=4425840461 |ref=harv}}
 
== 関連項目 ==
* [[内水面漁場管理委員会]]
67 ⟶ 73行目:
* [[漁業権]]
* [[漁場]]
 
== 参考文献 ==
* 金田禎之『新編 漁業法のここが知りたい』(成山堂書店、2003年)ISBN 4425840461
* 金田禎之『新編 漁業法詳解』(成山堂書店、2001年)ISBN 4425840178
 
== 外部リンク ==
* {{Egov law|324AC0000000267|漁業法}}
* [http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S24/S24HO267.html 総務省法令データ提供システム] - 漁業法
 
{{DEFAULTSORT:きよきようちようせいいいんかい}}