「特警ウインスペクター」の版間の差分

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== 概要 ==
=== 特徴 ===
「[[メタルヒーローシリーズ]]」の第9作。本作品の大きな特徴としては、従来のヒーロー作品のように怪人を率いる悪の組織が存在せず、犯罪や災害等から人々を救うというコンセプトが挙げられる{{R|最強114|宇147UA|野中4}}。
 
当時、[[東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件]]の影響によって漫画・アニメはおろか特撮も批判の対象にされていた<ref>{{Cite book|和書|year=1998|month=8|title=スーパーヒロイン画報|pages=|author=|publisher=[[竹書房]]|id=ISBN 4-8124-0388-X}}</ref>{{efn|[[バンダイ]]で玩具開発を担当していた[[野中剛]]は、新聞への投書が直接的な要因であったことを証言している{{R|宇147堀}}。}}。そのため、「悪を倒すだけが正義ではない」というメッセージを視聴者に伝えるためにいわゆる「怪人」キャラや「レギュラーとしての悪の組織」をあえて登場させず、犯人を倒さず逮捕するという内容や、人命救助を重点においた{{R|最強114|宇147堀|宇152}}。その結果として、設定面ではヒーロー番組らしいSF的要素を取り入れているが、ストーリーは一般向けの刑事ドラマに近い現実的かつハードな作風のものが非常に多くなっている{{R|最強114|宇147堀}}。
 
ウインスペクターの装備の多くは武器ではなく救助用装備と設定されており、人命救助に重点を置いていることを強調している{{R|宇147UA|野中4}}。ただし、剣型のマックスキャリバーなど武器にしか見えないものも多く{{efn|ファイヤーのスーツアクターを務めた[[横山一敏]]は、マックスキャリバーを見て武器にしか見えないことに疑問を感じたという{{R|宇148}}。}}、怪人が登場しないため生身の人間に使用するケースもあり、過剰な装備と言われることもあった{{R|宇148}}{{efn|バンダイの野中剛は、怪人の登場しないヒーロー番組のあり方にスタッフは苦心していたと証言している{{R|宇148}}。}}。強化服の着脱の描写もリアリティを志向しており、特にタイムリミットの設定は物語に緊迫感を持たせ、任務完了時にヘルメットを外して爽やかに汗を飛び散らせる描写は本作品を象徴するものとなっている{{Sfn|最強戦士列伝|2014|pp=110、114}}{{R|宇147UA|野中4}}。
 
このほか、メタルヒーローシリーズとしては初めてとなる、全篇を通しての集団ヒーロー体制が導入されている。それ以前にも途中参入による集団ヒーロー化はあったものの、当初から集団ヒーローとして登場したのは本作品が初となる。これ以降、メタルヒーローシリーズはこれまでの単独ヒーロー体制から、集団ヒーロー体制へと方向転換することとなる。元バンダイデザイナーの[[野中剛]]は、『ウインスペクター』では人間が1人であることから了承を得たと証言している{{Sfn|宇宙船161|2018|pp=100-101|loc=「[対談][[日笠淳]]×[[野中剛]]」}}。
 
ウインスペクターのデザインは、初期は前作『[[機動刑事ジバン]]』の登場メカ・レゾン、バイカン、スパイラスをイメージしており、完成デザインでも左右非対称な肩や星のエンブレムなどジバンと共通したディテールが多い{{R|村上177}}。玩具展開も、なりきり玩具とフィギュアおよびビークル玩具と前作を踏襲している{{R|野中38}}。
 
=== 評価 ===
玩具面についてはレスキュー装備という設定を不安視する声もあったが{{R|宇148}}、[[バンダイ]]の林田伸一は「厳しかった中でも大型武器のギガストリーマーのようなものは好調で新規需要を開拓・拡大できた」と述べている<ref>{{Cite journal|和書|year=1991|month=10|journal=トイジャーナル1991年2月号|pages=|author=|publisher=トイジャーナル編集局}}</ref>。玩具開発を担当した[[野中剛]]は特警手帳なども好調であったと証言している{{R|宇148}}。ギガストリーマーは前作から導入された大型武器を発展させて「1号武器との合体」という要素を加え、以後のシリーズでも恒例となった{{Sfn|宇宙船156|2017|pp=134-135|loc=「RPSF RESCUE POLICE SECRET FILES 第10回」}}。玩具開発を担当した[[野中剛]]は特警手帳なども好調であったと証言している{{R|宇148}}。野中は、総売上はアイテム数が少ないにも関わらず同年放送の『[[地球戦隊ファイブマン]]』に並んでいたと述べている{{R|野中38}}。
 
またアクションフィギュア『スーパーリアルボイスDXファイヤーテクター』では日本のテレビキャラクター玩具として初めて音声合成チップを内蔵し、次作『[[特救指令ソルブレイン]]』をはじめ以後の様々な商品へと波及していった{{Sfn|宇宙船147|2014|p=118|loc=「名作SF3Dモデル・ワールド BUILT.28 特警ウインスペクター スーパーリアルボイスDXファイヤーテクター」}}。
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; デイトリックM-2
: WSP3人が右腰のホルスターに収納している、多用途に使用可能な特殊拳銃。竜馬は着化前には使用しない。レーザーガン(単発)、レーザーパルスガン(連射)、 ディジェスティブビーム(消火ビーム) シグナルナパーム(信号弾) ウエルドビーム(溶解ビーム)を発射する。銃形態の'''バスターモード'''から警棒形態のパイルモードに変形可能で、'''パイルモード'''ではショックウェイブを発射可能。
: 名称は、前作『[[機動刑事ジバン]]』に登場するマクシミリアンTYPE3の玩具売上が良かったことから、同じく外国人名から命名された{{Sfn|宇宙船153|2016|pp=122-123|loc=[[野中剛]]「RPSF RESCUE POLICE SECRET FILES 第7回」}}{{R|野中38}}。
; 特警手帳
: ウインスペクターの身分証明書となる電子手帳。通信機能を持っており、本部やサポートドロイドとの連絡が可能。
: 玩具は前作『ジバン』の[DX電子ポリス手帳]が好調であったことから初期ラインナップに加えられ、シリーズでもトップクラスの売上を記録した{{R|野中38}}。
; ハンドワッパー
: WSPが使用する手錠。エレベーターの切れたワイヤーを止めるために使用したこともある{{R|2話|group="ep"}}。
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; バイスピア
: バイクルの背中に2本収納されている、3段階に収縮可能な2本の特殊警棒。通常はスティックモード、伸ばした状態をロッドモード、2本を繋げた状態をランスモードと呼ぶ。ウインチェイサーの左右ハンドル兼始動キーも兼ねている。
: 玩具は当初吊り下げ式[[ブリスターパック]]の簡易版のみであったが、この売上が好調であったことからDX版も発売された{{R|野中38}}。
 
==== ウォルター専用 ====
; ディスライダー
: ウォルターの背中に装着される飛行用の翼。これにより時速750キロメートルで飛行可能。翼の部分はカッターにもなっているため、[[投擲]]武器として使用可能{{R|3話|7話|group="ep"}}。翼を閉じた状態で腕に装着し、盾としても使用される。
 
=== その他の装備 ===
; クラッパー
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=== その他の装備 ===
以下の装備は作中には登場せず、バンダイから発売された「着化指令シリーズ」や、丸大食品から発売されたソーセージに付属のミニモデルにて立体化されたのみである。書籍『特警ウインスペクター超全集』では、アンカーとスピックを開発中のメカと記載している{{Sfn|超全集|1991|p=57}}。
 
多くはバンダイから発売された可動フィギュア「着化指令シリーズ」のためにデザインされたものである{{R|野中38}}。
; アンカー
: 腕に装備するツール。2本のワイヤーをあらゆる角度に発射可能。
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== キャスト ==
1970年代に幾多のヒーローを演じてきた[[宮内洋]]の起用は大きな話題となった{{R|宇147UA|野中4}}。
 
主演の山下優は、本作品以前はスタントやキャラクターショーを中心に活動しており、演技経験はほとんどなかった{{R|U162}}。山下は、オーディションの際にマネージャーから主役は決まっていて脇役刑事の募集だと聞かされて参加していたため、合格後の打ち合わせで自身が主演だと聞かされ驚いたという{{R|U162}}。
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=<ref name="U162">{{Harvnb|宇宙船162|2018|pp=102-103|loc=「[対談][[山下優]]×野中剛 特別出演:[[坂本浩一]]」}}</ref>
=<ref name="Heronet">{{Cite web|url=http://www.toeihero.net/archive/rgl/omoide/main_2.html|title=特選!!思い出の名場面「第二回 株式会社バンダイ キャラクタートイ事業部 野中剛のチョイス」|publisher=東映ヒーローネット|accessdate=2011-04-27}}</ref>
=<ref name="村上177">{{Harvnb|村上克司|2017|pp=177-179|loc=「特警ウインスペクター」}}</ref>
=<ref name="野中4">{{Harvnb|野中剛|2018|pp=4-5|loc=「作品紹介 特警ウインスペクター」}}</ref>
=<ref name="野中38">{{Harvnb|野中剛|2018|pp=38-44|loc=「TOY COLLECTIONS レスキューポリスシリーズ玩具大全 特警ウインスペクター」}}</ref>
}}
 
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* {{Cite book|和書|date = 2003-04-20|title = [[全怪獣怪人|全怪獣怪人大事典]]|volume = 中巻|publisher = [[英知出版]]|isbn = 4-7542-2017-X|ref = {{SfnRef|全怪獣怪人 中|2003}}}}
* {{Cite book|和書 |others=[監修][[東映]] |date = 2014-11-09 |title = メタルヒーロー最強戦士列伝 |publisher = [[双葉社]] |isbn = 978-4-575-30779-5 |ref = {{SfnRef|最強戦士列伝|2014}}}}
* {{cite book|和書|author=村上克司|authorlink=村上克司|date=2017-02-19|title=オール・アバウト村上克司 スーパーヒーロー工業デザインアート集|publisher=パイ インターナショナル|isbn=978-4-7562-4865-7|ref=harv}}
* {{cite book|和書|author=野中剛|authorlink=野中剛|date=2018-09-29|title=野中剛presents レスキューポリス・シークレットファイル|publisher=ホビージャパン|series=ホビージャパンMOOK|isbn=978-4-7986-1784-8|ref=harv }}
* [[宇宙船 (雑誌)|宇宙船]]([[ホビージャパン]])
** {{Cite journal |和書 |date=2014-12-29 |journal=宇宙船 |volume=Vol.147 |issue=(WINTER 2015.冬)|publisher=ホビージャパン |isbn=978-4-7986-0942-3 |ref={{SfnRef|宇宙船147|2014}} }}