「パンフォーカス」の版間の差分

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=== ボケ表現とパンフォーカスの効果 ===
* ボケ表現の写真が、主たる被写体に対しスポットライトのように注意を集中させる効果があるのに対して、パンフォーカスの写真は全体に注意を分散させ、主たる被写体とその周囲の環境との関係を明確にするという効果を持つ。その結果、余計なものまで写りすぎてしまうという欠点ももつ。(右上の写真では他のカメラマンが中景にはっきり写りこんでいるが、右下の写真では背景の観光客はぼかされて不鮮明となり邪魔な感じが少ない。)
* ボケ表現は「柔らかい感じ」を、パンフォーカスは「硬い感じ」を表現するのに用いられることが多い。
* ボケ表現は人間の視覚の世界に近い表現、パンフォーカスは写真独自の表現である。日本ではボケ表現が好まれる傾向が強いが、[[リアリズム]]を主張した[[土門拳]]、[[山岳写真]]の[[白川義員]]などボケをできるだけ排し、パンフォーカスを多用する写真家も多い。欧米では近年、ボケ表現が注目されてきているが、従来はパンフォーカスを理想とする考え方が強かった。
分野的にはパンフォーカスは[[風景写真]]によく用いられる。また、パンフォーカスの[[スナップ写真]]も存在する。これはピントを合わせる時間が節約でき、[[シャッターチャンス]]を逃さないという利点がある。
 
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=== 撮影方法 ===
パンフォーカスの写真を撮るには次の3つの方法が用いられる。
# [[焦点距離]]の短いレンズを使う。露光面のサイズが同じカメラで比べた場合は'''広角'''よりなほど被写界深度が深く、パンフォーカスになりやすい。冒頭右上の写真では焦点距離18ミリの広角レンズを用いている。なお、レンズの被写界深度は画角ではなく、焦点距離によって決まる。そのため、コンパクト・デジタルカメラなど受光素子の小さいカメラでは画角に対し焦点距離が短くなるので、よりパンフォーカス効果を得やすくなっている。
# '''[[絞り (光学)|絞り]]'''を絞る。冒頭右上の写真ではF22まで絞り込んでいる。一方、パンフォーカスでない右下のほうの写真はF2.8まで開いている。絞れば絞るほど、被写界深度が深くなるのだが、[[シャッター速度]]を落とす必要があり、[[被写体ぶれ]]、[[手ぶれ]]などが起きやすくなるので、[[三脚]]を使ったり[[ISO感度|感度]]を上げる、強い照明を当てるなどの工夫が必要である。ただし、絞り込みすぎると[[回折]]現象が顕著にあらわれ、いわゆる[[小絞りボケ]]になり、画面全体がボケたような感じになることがあるので注意を要する。
# '''遠くから撮る'''。カメラと近景との距離が近いほど被写界深度は浅くなり、遠いほど深くなる。画面の中の近景が十分に遠い場合は、それほど絞らなくてもパンフォーカスを実現できる。
:: 特に[[望遠レンズ]]による撮影の場合は絞りだけでパンフォーカスを得ることはきわめて難しいので、撮影者が後ろに下がって被写体を相対的に遠距離に置くことでパンフォーカスを得ることができる。
 
=== 大型センサーカメラとパンフォーカス ===
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== 関連項目 ==
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*[[被写界深度]]
* [[ボケ (真)界深度]]
* [[焦点合成ボケ (写真)]]
* [[土門拳焦点合成]]
* [[土門拳]]
 
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