「免疫チェックポイント阻害剤」の版間の差分

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なお、MHCとは別の分子である。カドヘリンとも別の分子。出典も追加。
PD-1、CTLA-4,LAG-3,Tim-3,KLRG1 など
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== 概要 ==
医学・生理学の研究報告では、免疫チェックポイントを阻害することにより、T細胞は、がん細胞を攻撃できるようになる、と報告されている。
がん細胞は、正常細胞のフリをして、T細胞などからの攻撃をまぬがれている。
正確な原理はまだ研究途上のため不明であるが、一般にがん細胞は、正常細胞のフリをして、T細胞などからの攻撃をまぬがれているので、それに関係しているだろうという説明が、よくなされる。
 
T細胞は、その生物個体自身の細胞に攻撃をしないように、「免疫チェックポイント」と呼ばれる、発現すると免疫が抑制される機構をT細胞表面にもつが(免疫チェックポイントの仕組みについては後述する)、しかしこの機構では、がん細胞を見分けることができず、がん細胞を仲間と誤認してしまう。なお、一般に免疫チェックポイントとされる分子は、[[主要組織適合遺伝子複合体|MHC]]とは別の分子である。MHCも細胞表面にあるが、MHCとは別に免疫チェックポイントに関連する分子(一般細胞/T細胞 の書式として PD-L1/PD-1 や CD80/CTLA-4など)は、細胞表面に存在している<ref>宮坂昌之 ほか編集『標準免疫学』、医学書院、2016年2月1日 第3版 第2刷、139ページ、ページ上部の図画</ref>。[[カドヘリン]]分子/KLRG1分子とも、一般に免疫チェックポイント分子とされるPD-L1/PD-1 や CD80/CTLA-4は別の分子である。
 
医学・生理学の研究報告では、免疫チェックポイントを阻害することにより、T細胞は、がん細胞を攻撃できるようになる、と報告されている。
 
 
== 作用機序 ==
[[File:11 Hegasy CTLA4 PD1 Immunotherapy.png|thumb|200px|免疫チェックポイント阻害療法(CTLA4、PD-1)]]
少なくとも人間など脊椎動物のT細胞には、その生命個体自身の(T細胞以外の)細胞を攻撃しないように、自己の細胞の因子が結合できる部分がT細胞には幾つか存在しており、まるで鍵と鍵穴のような関係になっている。このように自己の細胞だけが結合できる部分のT細胞側の鍵穴側の因子として、人間の場合、T細胞のPD-1、CTLA-4,LAG-3,Tim-3,KLRG1 などが知られている。
 
いっぽう、鍵側の一般細胞にはPD-L1、CD80,MHC,Eカドヘリン などの因子があり、これ例えばPD-1にPD-L1結合するなどのように、T細胞の鍵穴側の分子(例えばPD-1)と結合することにより、一般細胞はT細胞からの攻撃を結果的に免れており、このような機構が、免疫チェックポイントである。 つまり、T細胞が接触している相手の細胞が、仲間かどうかを確認する機構である。
 
しかし、がん細胞もまた自己由来の細胞であること等から、PD-L1を持ってしまっているので、がん細胞は、この仕組みを悪用し、がん細胞のもつ鍵側の因子(PD-L1など)もまたT細胞に結合することにより、がん細胞は免疫細胞の攻撃をまぬがれてしまっている。