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'''シンチン''' (Syntin) は[[化学式|分子式]] C<sub>10</sub>H<sub>16</sub> の[[炭化水素]]で、[[ロケット燃料]]として使用される。複数の[[立体異性体]]があるが、ロケット燃料としては分離することなく混合物のまま使用される。密度は0.851g/mL、沸点は158&#x20;°Cである。分子内に歪んだ[[シクロプロパン]]環を3つもつことに起因して、[[生成熱]]は Δ<sub>f</sub>''H''°(l)=133kJ/mol (980kJ/kg、異性体混合物の平均)と大きく、燃焼時の発生エネルギーが大きい。 そのため、RP-1などの既存の炭化水素系燃料と比較して、高密度・低[[粘度]]・高[[燃焼熱]]という利点がある。
 
'''シンチン'''(Syntin)は、[[化学式|分子式]] C<sub>10</sub>H<sub>16</sub> の[[炭化水素]]で、[[ロケット燃料]]として使用された。
シンチンは[[ソビエト連邦]]および[[ロシア]]で1980年代-1990年代に[[ソユーズU2]]ロケットの燃料として使われた。ソビエト連邦では1960年代に初めて合成され、1970年代に大量生産されるようになった。5-ヒドロキシペンタナールから多段階の反応を経て合成される。
: [[ファイル:Syntin_synthesis_01.svg|左|600x600ピクセル|シンチン合成フロー]]{{clear left}}
 
[[ソ連崩壊]]後、シンチンは製造コストが高価なことから生産中止となった。
 
== 立体異性体 ==
シンチンは分子の中央に位置するシクロプロパン環に2つの[[キラル中心]]があり存在し、以下の[[立体異性体]]つ。
 
: [[ファイルFile:Syntin_Stereoisomers_Formulae_V.1.svg|左|500x500ピクセル|4種類のシンチン立体異性体]]{{clear left}}
 
== ロケット燃料としての物性 ==
燃料として使用する際は、立体異性体を分離することなく混合物のまま使われる。
上記のようにシンチンには複数の立体異性体が存在するものの、ロケット燃料としては分離することなく混合物のまま使用される。沸点は158&#x20;°Cである。
分子内に歪んだ[[シクロプロパン]]環を3つ持つことに起因して、[[生成熱]]は Δ<sub>f</sub>''H''°(l)=133kJ/mol (980kJ/kg、異性体混合物の平均)と大きく、燃焼時の発生エネルギーが大きい。そのため、[[RP-1]]などの炭化水素系燃料と比較して燃焼熱が多いという利点がある。また、密度は0.851 g/mLと炭化水素系燃料と比較して高密度である上に、粘度が低いという特性も持つ。
 
== 関連項目歴史 ==
シンチンは[[ソビエト連邦]]および[[ロシア]]において、1980年代-から1990年代にかけて[[ソユーズU2]]ロケットの燃料として使われた。ソビエト連邦では1960年代に初めて合成され、1970年代に大量生産されるようになった。5-ヒドロキシペンタナールから多段階の反応を経て合成される。
 
: [[ファイルFile:Syntin_synthesis_01.svg|左|600x600ピクセル|シンチン合成フロー]]{{clear left}}
 
しかし、[[ソ連崩壊]]後、シンチンは製造コストが高価なことから生産中止となった。
 
== 関連項目 ==
* [[ジシクロペンタジエン]]
 
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* V. Azov, D. Vorontsov, "The last battle of hydrocarbons?", ''Novosti Kosmonavtiki'', '''2008''', ''18'', No. 2 (301), 44-46.
 
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[[Category:アルカン]]
[[Category:シクロプロパン]]