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== オーディオフォーマット ==
[[リニアPCM]]ではなく、[[ΔΣ変調]]による低bit高速[[標本化]]低bitの方式で、できる限り加工を掛けない(できない)ことを基本とするのが長所であると主張されている(聴取環境に応じた単純なトーンコントロールすら、この長所を無意味にしてしまうのである)。具体的なパラメータは1bit21bit 2.8224MHz(=2822.4kHz)で、特にこのパラメータを指す'''ダイレクトストリームデジタル'''('''[[Direct Stream Digital]]''', '''DSD''')フォーマット、という語もある。
[[ステレオ]](2.0ch)と[[サラウンド]](最高5.1chサラウンドまで)をサポートする。
ステレオおよびマルチチャネルにはそれぞれ最大255のトラックを納めることが可能であり、各トラックには最大255のインデックスを付与することが可能となっている。5.1chサラウンドはオプション扱いで、一部のプレーヤーでは再生不能。2.0chステレオに機能を絞ったプレーヤーは音質重視の高級機種が多い。
 
スーパーオーディオCDではA/D変換の際に、ΔΣ変調1bit2.8224MHzのデータをそのままスーパーオーディオCD盤上に記録している。SACDプレーヤー黎明期には、この高速1bit信号データを再生時にも間引きせずそのまま[[デジタル-アナログ変換回路|D/A変換]]する機種もあったが、[[アナログ-デジタル変換回路|A/D変換]]時に不要帯域に寄せ集められた量子化ノイズがそのまま再生されると、超高域のノイズがフォールダウンして可聴帯域に落ちてきたり、場合によってはスーパーツイーターが破損するので、一般のSACDプレーヤーのアナログ回路基板上に100kHz以上をカットするローパスフィルタを増設した備えている
[[リニアPCM]]ではなく、[[ΔΣ変調]]による高速[[標本化]]低bitの方式で、できる限り加工を掛けない(できない)ことを基本とするのが長所であると主張されている(聴取環境に応じた単純なトーンコントロールすら、この長所を無意味にしてしまうのである)。具体的なパラメータは1bit2.8224MHz(=2822.4kHz)で、特にこのパラメータを指す'''ダイレクトストリームデジタル'''('''[[Direct Stream Digital]]''', '''DSD''')フォーマット、という語もある。
 
また、デジタル回路でフィタリングした後、標本化周波数を間引くことによってD/A変換する機種もある。この回路を用いたSACDプレーヤーでは、1/2fs以上に存在する側帯波をフィルタリングしているが、D/A変換以後でアナログフィルターのみで帯域制限を行うと音質が劣化するので、オーバーサンプリングデジタルフィルターを併用してアナログフィルターの減衰特性を緩やかにしている機種もある。
ΔΣ変調1bit2.8224MHzのフロントエンドをもつADCは、[[DAT]]録音機等に広く用いられたが、DATやCD-DAなどは1bit2.8224MHzのデータにデジタルローパスフィルターをかけて[[折り返し雑音|折り返しノイズ]]発生を防いだ後、2.8224MHzの標本点をデシメーションフィルターによって1/64の44.1kHzに間引く。量子化語長は16bitを出力することで16bit44.1kHzのリニアPCMデータを得ている。
 
[[ステレオ]](2.0ch)と[[サラウンド]](最高5.1chサラウンドまで)をサポートする。
高速標本化とΔΣ変調によって、量子化雑音は超高域に追い出されているが、この不要帯域をカットしているわけである。この高域をカットする[[ローパスフィルタ]]や、2.8224MHzの標本化周波数を1/64の44.1kHzに間引くデシメーター回路では、ディザを用いないで量子化語長を切り捨てたり、丸める場合もあるために音質が劣化する要因となっていた。
ステレオおよびマルチチャネルにはそれぞれ最大255のトラックを納めることが可能であり、各トラックには最大255のインデックスを付与することが可能となっている。5.1chサラウンドはオプション扱いで、一部のプレーヤーでは再生不能。2.0chステレオに機能を絞ったプレーヤーは音質重視の高級機種が多い。
 
人間の耳の特性を考えると、量子化雑音が寄せ集められた超高域周波数帯域では感度が低いので(そもそもそれ以前の話として、スピーカやヘッドフォン自身の再生特性がそんな所まで伸びているわけがない)、わざわざ帯域を制限しなくとも良いのではないか?、という思想に基づいて、2.8224MHz1bit信号のまま記録・再生する訳である。
 
SACDや高速1bit音源の'''スーパーオーディオCD'''の音は、CD-DAと比較してより原音に近いと言われている理由は、デシメーションフィルターを通過させずに記録できるという利点にあるのであって、人間の耳には聴こえないはずの超高域周波数まで記録・再生しているからではない。もしも人間が超高域周波数帯域を感じているのであれば、ΔΣ変調と高速標本化によって量子化雑音が寄せ集められたSACDの超高域周波数帯域は、非常に雑音レベルが大きいのでうるさく感じるはずである。
 
スーパーオーディオCDではA/D変換の際に、ΔΣ変調1bit2.8224MHzのデータをそのままスーパーオーディオCD盤上に記録している。SACDプレーヤー黎明期には、この高速1bit信号データを再生時にも間引きせずそのまま[[デジタル-アナログ変換回路|D/A変換]]する機種もあったが、[[アナログ-デジタル変換回路|A/D変換]]時に不要帯域に寄せ集められた量子化ノイズがそのまま再生されると、超高域のノイズがフォールダウンして可聴帯域に落ちてきたり、場合によってはスーパーツイーターが破損するので、SACDプレーヤーのアナログ回路基板上に100kHz以上をカットするローパスフィルタを増設した。
 
また、デジタル回路でフィリタリングした後、標本化周波数を間引くことによってD/A変換する機種もある。この回路を用いたSACDプレーヤーでは、1/2fs以上に存在する側帯波をフィルタリングしているが、D/A変換以後でアナログフィルターのみで帯域制限を行うと音質が劣化するので、オーバーサンプリングデジタルフィルターを併用してアナログフィルターの減衰特性を緩やかにしている機種もある。
 
[[レコード|アナログレコード]]の再生限界周波数を40kHzと紹介される場合もあるが、アナログレコードは、この帯域までフラットなレスポンスを有しているわけではない。SACDは100kHzをカバーする再生周波数範囲を有していると紹介される場合もあるが、スーパーオーディオCDのサンプリング周波数は2.8224MHzなので、1/2fsの1.4MHzまでの信号が記録されている。
 
しかし、スーパーオーディオCDではΔΣ変調(ノイズシェーピング)によって可聴帯域外の超高音域には[[量子化雑音]]が寄せ集められているので、この超高域帯の[[ダイナミックレンジ]]は非常に小さい。この超高域帯のノイズが多くとも人間には聞こえないが、そのまま再生すると、スーパーツイーターの許容入力が小さい場合にはボイスコイル断線の恐れがあるので、多くのスーパーオーディオCDプレーヤーでは、アナログ変換後に[[ローパスフィルタ]]を挿入して、再生周波数帯域を100kHz以下(40kHz前後)に抑えている。
 
スーパーオーディオCDの1bit2.8224MHzフォーマットの特性を、再生周波数帯域=100kHz、120dB以上のダイナミックレンジと称しているのは、スーパーオーディオCDプレーヤーの可聴帯域での再生能力を示している。CDプレーヤーの16bit44.1kHzの場合に再生周波数=20kHz・ダイナミックレンジ=96dBと紹介している場合は、記録フォーマットの限界を示しているので、単純に両者の数字を比較することはできない。
 
なお、[[DVD-Audio]]規格は192kHz24bitだが、ΔΣ変調A/D変換器の出力bit数を24bitにしたからといっても、ダイナミックレンジが144dBになるわけではない。A/D変換器のダイナミックレンジは24bit出力間引きフィルター・デシメーション回路で決まるのではない。
 
間引きフィルターやデシメーション回路が存在しないスーパーオーディオCDのダイナミックレンジは120dBと紹介されるが、これはΔΣ変調1bit2.8224MHz高速標本化回路の可聴帯域信号のダイナミックレンジであるので、DVDオーディオのダイナミックレンジもこの部分で決まることに注意しなければならない。そもそもアナログ信号を[[抵抗器]]に通すと[[熱雑音]]が生じるので、144dBのダイナミックレンジを確保することは不可能に近い。
 
約2倍のロスレス圧縮が行われるため、2chステレオ録音の場合、片面1層でも4時間以上の収録が可能であり、長大なオペラなども1枚に収められる。ただし、CDフォーマットとのハイブリッド盤の場合、そちらの収録時間(1枚70分余り)に合わせることになる。