「深海魚」の版間の差分

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=== 鉛直分布 ===
[[ファイル:Pelagiczone.svg|thumb|150px|right|海の垂直区分。<br/>表層 epipelagic、<br/>中深層 mesopelagic、<br/>漸深層 bathypelagic、<br/>深海層 abyssopelagic、<br/>超深海層 hadopelagic。]]
海を深さによって[[鉛直]]方向に区分した場合、表層・中深層・漸深層・深海層・超深海層に分けられる<ref>『潜水調査船が観た深海生物』 pp.3-4</ref><ref>区分方法や区切りとなる水深は研究者によって異なる。この区分は、[[漂泳区分帯]]と呼ばれることもある。また、[[海底]]には別の区分がある。</ref>。一般に、中深層以深に主たる生息水深を持つ魚類が深海魚として扱われる。
 
==== 中深層 ====
{{main|中深層}}
中深層(水深200-1,000m)には、光合成を行うには不充分ながらも、わずかに日光が届く<ref name=Randall82-83>『Deep-Sea Fishes』 pp.82-83</ref>。主要な[[サーモクライン|温度躍層]](水温が急激に変化する層)のほとんどがこの領域に存在し、その下には物理的に安定で変化の少ない深海独特の環境が広がっている。
 
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==== 漸深層 ====
{{main|漸深層}}
漸深層(水深1,000-3,000m<ref>漸深層と深海層の境界を4,000mに置く場合もある(『The Diversity of Fishes Second Edition』 pp.393-394)。</ref>)は光の届かない暗黒の世界である。水温は2-5℃で安定している一方、生物が利用できる[[有機物]]の量は表層の5%にも満たず、深度とともに急速に減少してゆく<ref name=Randall115-117>『Deep-Sea Fishes』 pp.115-117</ref>。漸深層の遊泳性深海魚には、少なくとも200種が含まれる<ref name=Helfman393-394/>。種数の上では[[チョウチンアンコウ]]の仲間が優勢であり、他には[[クジラウオ科]]([[クジラウオ目]])・[[セキトリイワシ科]]([[ニギス目]])や[[フウセンウナギ目]]の魚類およびオニハダカ属の一部が生息する。ソコダラとトカゲギス類はこの領域でも数の多い底生性深海魚で、他には[[ホラアナゴ科]](ウナギ目)、[[アカグツ科]]([[アンコウ目]])などが分布する。
 
==== 深海層 ====
{{main|深海層}}
深海層(水深3,000-6,000m)になると水温は1-2℃程度にまで下がり、ほとんど変化しなくなる<ref>『深海生物図鑑』 p.221</ref>。300気圧を超える水圧は、生物の[[細胞]]活動に影響を与える。遊泳性深海魚はほとんど姿を消し、アシロ科・クサウオ科・ソコダラ科の底生魚が見られるのみである。
 
==== 超深海層 ====
{{main|超深海層}}
超深海層(6,000m以深)は[[海溝]]の深部に限られ、全海底面積の2%に満たない。水圧が600気圧を超えるこの海域に暮らす深海魚は、深海層と同様にソコダラ科、クサウオ科およびアシロ科に属するごく一部の底生魚しか知られていない。