「日本の百貨店」の版間の差分

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== フロア構成 ==
デパートのフロア構成・レイアウトは地域や店舗によって異なるが、昭和期のデパート文化普及の過程の中で、一定程度平均化されたレイアウト手法が確立した。下記に標準的な構成を挙げる。
※あくまでも一例であり、地域や店舗によって配置フロアやレイアウトも異なる。
 
* 1階(2階であることもある)は店の顔に正面玄関部分であり、天然石張りを用いるなど他のフロアと異なる内装により豪華さをアピールしていることも多い。主に有名[[ブランド]]の[[靴]]、[[鞄]]、[[帽子]]、装身具などの婦人向け服飾品、[[化粧品]]、[[香水]]などの売り場がある。化粧品、香水を1階に配置するのは、強制換気設備の普及していなかった昭和期において、臭気がこもるのを防ぐため出入口近くに匂いのある商品を置いた事情もあるが、平成期の換気設備の整った建物では他階に配置することもあった。
* 2服飾品売場の上層(2から4~4階あたりには、[[婦人服]]の売場がある。複数階によって顧客の年齢別となまたがることがあり多く階層によってヤング、[[アダルト]]、ミセス、マダムなど顧客の年齢層を区別されていることある。
* 婦人服売場の上層(4階~5階あたり)には紳士服の売り場がある。背広などのビジネスマン用の服飾品が中心であるが、昭和期に紳士の高級スポーツとして大いに普及した[[ゴルフ]]のウェアを販売していることもある。婦人服売り場に比して売場面積は小さく1フロアが通例だが、大規模な百貨店では2フロア以上であったり、複数館のうち、1館全て紳士服売場で構成されている場合もある。婦人服・紳士服に共通して、買い物の合間で休息や交流ができるよう階層の一角に喫茶室があるデパートも多い。
* 5紳士服売場の上層(5から6~6階あたり、生活用品売場がある。呉服、[[和装]]小物、[[宝飾品]]、[[時計]]、[[子供服]]、[[スポーツ用品]]、[[玩具|おもちゃ]]、[[文房具]]、[[本|書籍]]、[[日用品|日用雑貨]]、家庭用品、[[家具]]、電化製品、レコード・CDなど百貨店により多様な商品おか販売されていることが多い[[宝飾品]]、書画印章の売場や美術[[画廊]]があるデパートこともある。下記の外商部門の窓口があることも多く、外商部員を従えて店内を買い物する客もいる。
* 最上層のかその下層(6階~7階あたり)には催事場がある。ここでは、[[駅弁]]大会や全国各地の[[物産展]]、美術展などのスポット的な催し物が行われる。昭和期には、夏休み・冬休みの子供向けの展示イベントが行われることもあった。物産展の際には即席の飲食スペースが設けられることがあるほか、平成末期には「コラボカフェ」と称されるイベントの趣旨と合致した飲食物を提供する即席店舗が設けられることもあった。[[お中元]]や[[お歳暮]]のギフトシーズンには、注文窓口になるギフトセンターが開設されるのが通例であるが、贈答文化の衰退が顕在化した平成後期には、売れ残ったギフトセットを安売りする「ギフト解体セール」と称される珍奇なイベントが人気を博したこともあった。
* 最上層(大規模な百貨店では複数階のことも。)は、[[レストラン]]がある。複数のレストランを集約させ「レストラン街」などと称することもある。また、飲酒を含む会食の利用も見込み、このフロアのみ閉店時間を他のフロアより遅らせることもある。上層からの眺望を楽しむことを主眼としていることから、他階に比べて窓が大きく作られていることも多い。昭和期には「大食堂」と呼ばれる大規模なレストランが設置されたことも多く、両親・子供という核家族が連れ立ってデパートを訪れ、買い物後に大食堂で洋食を食べるというライフスタイルが大いに普及した。顧客が最上階から降りる際、各階に立ち寄ることを「[[シャワー効果]]」という。
 
* 1階は店の顔にあたる部分で、主に有名[[ブランド]]の[[靴]]、[[鞄|バッグ]]、[[化粧品]]などの売り場があり、華やかな雰囲気を漂わせている。
** 化粧品売り場が1階にあるのは、華やかな店の顔という他にも理由があり、化粧品や[[香水]]は匂いがきつく、建物の構造上(密閉に近い)2階以上に売り場を設けると[[換気]]が追いつかない。このため1階に売り場を置いている。2階を正面玄関としたり、換気設備の整ったりしている最近の建物では2階以上のフロアに売り場を置く店舗も増えてきた。
* 2階から4階あたりには、[[婦人服]]の売り場がある。階によって顧客の年齢別となることがあり、ヤング、[[アダルト]]、ミセス、マダムなどと区別されていることがある。
* 4階から5階あたりには[[メンズ|紳士服]]売り場がある。1フロアが通例だが、大規模なデパートでは2フロア以上とっているところもあり、2館以上で構成される百貨店の場合、1館全て紳士売り場で構成されている百貨店もある。洋服売り場の一角に喫茶室があるデパートも多い。
* 5階から6階あたりには呉服、[[和装]]小物、[[宝飾品]]、[[時計]]、[[子供服]]、[[スポーツ用品]]、[[玩具|おもちゃ]]、[[文房具]]、[[本|書籍]]、[[日用品|日用雑貨]]、家庭用品、[[家具]]、電化製品、CDなどがおかれていることが多い。美術[[画廊]]があるデパートもある。下記の外商部門の窓口があることも多く、外商部員を従えて店内を買い物する客もいる。
* 6階から7階あたりには催事場(最上階か、そのひとつ下の階にあることが多い)。ここでは、[[駅弁]]大会や全国各地の[[物産展]]、美術展などのスポット的な催し物が行われる。[[お中元]]や[[お歳暮]]のギフトシーズンには、注文窓口になるギフトセンターが開設されることがある。[[書籍]]や[[レコード]]などの専門店を誘致しているところもある。
* 最上階では[[レストラン]]を集約させることもある。顧客が最上階から降りる際、各階に立ち寄ることを「[[シャワー効果]]」という。大都市にある10階を超える大規模な百貨店ではレストランフロアを最上階を含めて2フロア以上とっているところもある。
** 食事中に建物周辺の景観を眺めやすいよう、他階に比べ窓の面積が広く設計されているケースが多く、その場合は外観でレストランフロアを判別出来る。
[[ファイル:日本最古の観覧車.jpg|thumb|180pxpx|right|名古屋三越栄店 屋上観覧車]]
* 屋上は、上流階級のための社交場として[[屋上庭園|庭園]]が設けられた(いわゆる「空中庭園」)。最初に始めたのは[[三越|三越日本橋店]](1907年(明治40年))<ref name="nazeyuenchi"/>。1931年(昭和6年)には[[浅草松屋]]が屋上遊園地「スポーツランド」をオープン。この屋上遊園地は、戦後全国の百貨店に広まることとなる<ref name="nazeyuenchi"/>。しかし、昭和40年代に百貨店火災が相次いだことにより[[消防法]]が改正され、屋上の半分を避難区域として確保することを義務付けられるようになったことに加え、さらには平成以降の少子化に伴って子供人口自体が減少したため、屋上遊園地は姿を消した<ref name="nazeyuenchi"/>。その他にも屋上には仮設ステージが設けられ、水着ショー、各種ミスコン、新人歌手のキャンペーン、人気歌手のサイン会などが催されていたが、[[バブル崩壊]]後はそれらの催しの開催件数自体が激減したため、屋上ステージも姿を消した。その後はペットコーナーやゲーム機、ゴーカートなどがある小規模な遊戯施設や休憩所などが設置されており、現在は夏場のみ[[ビアガーデン]]として利用される店舗もある。最近では[[ヒートアイランド現象]]対策として[[屋上緑化|屋上庭園とするケース]]も見られる。