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コンピュータは[[記憶装置]]の容量や処理能力がいくら大きくとも原理的に有限の数字しか扱えず、想定していない日付を扱おうとすれば、または特定の年月日や時刻になると誤作動を起こす([[オーバーフロー]])。この時刻処理に関する問題は、[[現代]]のように生活のあらゆる部分に[[情報技術|IT]]が行き渡っている時代には、思わぬところで思わぬ問題を起こしかねない。
 
[[日本]]で初めてコンピュータ内部の「年」に関する問題が起こったのは、[[1989年]][[1月7日]]に[[昭和天皇]]の崩御によって[[元号]]が「[[昭和]]64年」から「[[平成]]元年」に[[改元|変更]]された時である。特に[[公文書]]などで元号の変更を想定していなかったシステムが多数あったことから、問題が顕在化した。この他、年数を下2桁だけで処理していたシステムの中には、「昭和Y年」または「平成Y年」とみなして処理するものがあり、これにより誤動作が起きる場合もあった。
 
2000年問題では、事前に各企業が大量の経費を投入してシステムのチェックを行った上で、[[2000年]]が到来した瞬間には多数のソフト技術者が何かあった時のために待機するなどの体制が取られ、世界的な[[社会現象]]となった。
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=== 西暦 ===
*[[1999年]]問題 - [[1900年]]を1年目と内的処理していた場合、年数が2桁から3桁になる。また、年号を下2桁だけで処理していたシステムの一部で年のエントリで99を[[エラー]]コードや例外値として扱っている物があったとされ、そのようなシステムでは1999年になった途端に正当な1999年とエラーとを識別できず不具合をおこすことが懸念された。又、9が5つ並ぶ1999年[[9月9日]]にエラーが発生することも懸念された。
*[[グローバル・ポジショニング・システム#1999年8月21日問題|1999年8月21日問題]] - [[グローバル・ポジショニング・システム|GPS]]は内部処理で週数を10ビットで管理しており、起点である[[1980年]][[1月6日]]から1024週後にあふれて0に戻る。
*[[2000年問題]](Y2K) - 年数を下2桁だけで処理していたシステムや、2000年を[[平年]]([[閏年]]ではない)と誤解したシステムに問題が起こる。
*[[2001年9月9日問題]] - [[1970年]][[1月1日]]0時からの秒数が[[十進法]]で9桁から10桁になる。経過秒数を文字列表現に直してソートしたことで、「1,000,000,000 < 999,999,999」と判断してしまい、項目の新旧が正しく処理されない問題が実際に幾つかのシステムで発生した。
*[[2008年]]問題 - 2000年以降も年数を下2桁だけで処理していたシステムで、かつ年を文字列で格納していた場合に、先頭が'''0'''の場合には[[八進法|八進数]]として扱われる[[インタプリタ|処理系]]があり、その場合2008年の時点で年の処理が不正となる場合がある。ごく一部の[[perl]]で作成されたネットゲームで誤作動が発生した事例がある。
*[[2010年問題#年数処理のバグ|2010年問題]] - 潜在的なバグが発覚した。シチズン電波時計や[[ソニー・コンピュータエンタテインメント|ソニー]]の[[ゲーム機]]「[[PlayStation 3|プレイステーション3]]」(閏年処理)、[[オーストラリア]]の[[クイーンズランド銀行]]でのシステム誤動作、[[ドイツ]][[ジェムアルト]]社の[[ICカード]]使用不能など。シチズンのケースでは、年の内部表現に西暦下2桁の[[2進化10進数|BCD]]を使っていた。
*[[2019年]]4月7日問題 - GPSは内部処理で週数を10ビットで管理しており、起点である[[1980年]][[1月6日]]から2048週後にあふれて0に戻る。(10ビットでは2回目)
*[[2030年]]問題 - [[1930年]]〜[[ - 2029年]]を下2桁で表現しているシステムに問題が起こる{{要出典|date=2017年11月}}。同様のものに2050年問題や2070年問題などがある。
*[[Network Time Protocol#2036年問題|2036年問題]] - [[1900年]]1月1日0時からの秒数が32ビットからあふれ、[[Network Time Protocol|NTP]]に問題が起こる。
*[[2038年問題]] - [[UNIX|Unix]]など。1970年1月1日0時(Unix epoch)からの秒数が31ビットからあふれ、32ビット符号付きで処理しているシステムに問題が起こる。
*2038年11月21日問題 - GPSは内部処理で週数を10ビットで管理しており、起点である[[1980年]][[1月6日]]から3072週後にあふれて0に戻る。(10ビットでは3回目)
*2040年問題 - [[Hierarchical File System|HFS]]の[[タイムスタンプ]]は[[2040年]][[2月6日]]までしか取り扱えない。
*[[2042年]]問題 - [[System z]]のSTCK命令で取得する64ビットのTODクロックは[[2042年]][[9月17日]]中にオーバーフローする。
*[[2048年]]問題 - 2038年問題の[[1980年]]起点版。[[File Allocation Table|FATファイルシステム]]のタイムスタンプなどが1980年起点である。
*[[2050年]]問題 - [[1950年]]〜[[ - 2049年]]を下2桁で表現しているシステムに問題が起こる{{要出典|date=2017年11月}}。同様のものに2030年問題や2070年問題などがある。
*[[2053年]]問題 - 2038年問題の[[1985年]]起点版。[[TRONプロジェクト|TRON]]など。
*[[2070年]]問題 - [[1970年]]〜[[ - 2069年]]を下2桁で表現しているシステムに問題が起こる{{要出典|date=2017年11月}}。同様のものに2030年問題や2050年問題などがある。
*[[2079年問題]] - [[File Allocation Table|FATファイルシステム]]のタイムスタンプの起点の1980年1月1日を基点として、年数を下2桁だけで処理するソフトウェアなどは、その起点の99年後([[2079(2079]][[12月31日]])までしか正常動作しない。
*[[2100年]]問題 - [[2000年]]以降に作られた年数を2桁で表すシステムや、[[2100年]]を[[閏年]]と誤解したシステムに問題が起こる。
*[[2108年]]問題 - [[File Allocation Table|FATファイルシステム]]のタイムスタンプは[[2107年]][[12月31日]]までしか取り扱えない。
*[[2137年]]問題 - 更新されたGPSは内部処理で週数を13ビットで管理しており、この頃にあふれて0に戻る(正確な日時は未定)。
*[[2286年]]問題-2286年11月20日17時46分40秒に起こる。原因は、2001年問題と同じ。
*[[3000年]]問題 - [[Microsoft Visual C++|Visual C++]]において、[[3000年]]1月1日以降の日付処理に不具合が生じる。
*[[西暦10000年問題|10000年問題]] - [[グレゴリオ暦|西暦]]が5桁になる西暦10000年1月1日に起こる。
 
=== 他の紀年法 ===
*[[昭和100年問題]](2025([[2025問題]]) - [[2025年]]は、内部で年を[[昭和]]2桁で管理するシステムでは「昭和100年=昭和0年」と認識され、問題が起こる。
*皇紀2700年問題(2040([[2040問題]])- 2000年問題と同じく、システム内部で年を[[神武天皇即位紀元|皇紀]]の下2桁で管理するシステムにおいて、問題が発生する。
*[[平成100年問題]](2088([[2088問題]]) - [[昭和100年問題]]と同じく、[[2088年]]が「平成100年=平成0年」と誤認されることにより、内部で[[平成]]2桁で管理されているシステムに問題が起こる。
*[[民国100年問題]]({{Lang|zh|民國100年問題}}、{{Interlang|en|Y1C Problem|Y1C}})<!--2011年問題とは言わないと思います--> - [[中華民国]]([[台湾]])で使用している[[民国紀元]]で[[2011年]]が民国100年となることによる問題。
 
=== 関係する他の問題 ===
*[[閏年問題]] - [[閏年]]を処理するプログラムのバグにより誤動作する。[[2008年]][[1月31日]]以降、日本の約3200台の[[公衆電話]]が閏年問題による障害で一時的に使用不能となった。
*[[閏秒問題]] - 閏年問題の[[閏秒]]バージョン。こちらもプログラムのバグにより誤動作する。
 
== 社会問題 ==
これらは、正確にその年が問題となるものもあるが、数年にわたる現象のピークを示すものや、統計上興味深い変化が予想される場合など、その年に実際に何かが起こるわけではないものもある。また、事前の予測年と事象の発生年が異なる場合も多くある。
 
=== 世界 ===
* '''[[2007年]]問題'''
** [[欧州連合|EU]]の[[株式市場]]に上場する際、[[2007年]]以降は域外の企業にも[[国際財務報告基準]](または同等の財務報告基準)に従うことが義務づけられることから生じる、各国企業の対応費用増加をはじめとする問題。
* '''[[2009年]]問題'''
** [[ヨーロッパ]]で[[国際会計基準]]の導入に準じた[[連結財務諸表]]の開示が義務付けられたことにより日本もこれに基準を変更しなければならない問題。
** [[日本]]、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]、[[ヨーロッパ]]において排気ガス規制が強化される問題。
* '''2010年問題'''
** 世界の製薬業界において、年間売り上げ1000億円クラスの[[医薬品]]が[[2010年]]前後に一斉に特許切れを迎える。''[[2010年問題]]を参照''。
** 米国の[[政府標準暗号]]の移行問題、[[IPv4]]のアドレス空間割り当てが2010年頃に枯渇すると日本で2008年時点に予想された問題、日本の[[ブロードバンドインターネット接続|ブロードバンド]]行政上の問題など。''[[IPアドレス枯渇問題]]を参照''。
* '''2014年問題'''
** 2002年ごろからSP2登場時までに発売されたXPプリインストールのパソコンの一部がVista以降のアップデート要件に入れない為(多くの[[SDRAM]]を用いたシステムの搭載メモリ上限が1GB等)、XPのサポート切れの影響でオフラインの限定使用ないし、廃棄されることに対する問題である。''[[Microsoft Windows XP#サポートライフサイクル]]を参照''。
** 造船業において2014年頃に受注した船の数がゼロに近づくと懸念される問題。''[[2014年問題 (造船)]]を参照''。
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=== 日本 ===
==== 起こった問題 ====
*[[1953年問題]] - [[1953年]]に公開された[[映画]]の[[著作権]]の期限が曖昧になった問題。なお実際に問題となる年は[[著作権法]]改正がされた2004年以降で、1953年とは、その時に問題の対象となる作品が作られた年になる。解釈を巡る争いから提訴に至り、'''2003年をもって著作権が消滅'''したことが判決で確定した。
*'''2007[[2003]]問題'''
**2003年頃から2007年頃にかけて[[バブル時代|バブル期]]に計画された大型プロジェクトが竣工を迎え、東京都心に大規模オフィスビルが大量供給され事により空室率が上昇すると予想された<ref>http://www.mlit.go.jp/toukeijouhou/toukei03/geturei/04/geturei03_045.pdf</ref>。<!-- 関係性不明瞭 東京都の外資系高級ホテルの競争(ザ・リッツ・カールトン東京やザ・ペニンシュラ東京の進出など)がピークになる。 -->
*'''2009[[2007]]問題'''
**[[団塊の世代]]の大量退職に伴う問題。実際には雇用形態が変わり、あまり問題にならなかった。''[[2007年問題]]を参照''。
**2007年に日本の人口が増加から減少に転じるという問題。予測では2007年であったが、実際は2005年から減少している。
**[[大学全入時代]]が到来する問題。2007年頃の予想が実際には遅れて2009年問題となっている。''[[大学全入時代]]を参照''。
*[[日本国債#歴史|2008年問題]] - [[1998年]]に大量に発行された10年[[国債]]の償還期限が到来する問題。しかし、事前に対策をとっていたため、2008年に償還が集中する問題は起きなかった。
**2003年頃から2007年頃にかけてオフィスビルが大量供給された事により空室率が上昇すると予想された<ref>http://www.mlit.go.jp/toukeijouhou/toukei03/geturei/04/geturei03_045.pdf</ref>。<!-- 関係性不明瞭 東京都の外資系高級ホテルの競争(ザ・リッツ・カールトン東京やザ・ペニンシュラ東京の進出など)がピークになる。 -->
*2009年問題
*[[日本国債#歴史|2008年問題]] - [[1998年]]に大量に発行された10年[[国債]]の償還期限が到来する問題。しかし、事前に対策をとっていたため、2008年に償還が集中する問題は起きなかった。
*'''2009年問題'''
**[[大学全入時代]]が到来する問題。''[[大学全入時代]]を参照''。
**[[製造業]]において、[[派遣労働者]]が3年の雇用期間に達し、企業が正規採用を迫られる問題。''[[2009年問題]]を参照''。
*'''2011年問題'''
**テレビ放送が[[地上デジタル放送]]に完全移行し、アナログ放送が停波することに伴う問題。''[[2011年問題 (日本のテレビジョン放送)]]を参照''。
**大阪で[[百貨店]]の新設・増床が出揃い、供給過剰が懸念されている。''[[大阪2011年問題]]を参照''
*'''[[2012年問題]]'''
**エレベーターの保守部品供給の停止が増加相次ぎ設備更改を迫られる問題
**[[ダイバーシティ東京]]、[[渋谷ヒカリエ]]、[[東京スカイツリータウン]]など都心の大型開発ラッシュにより、ビルの供給過剰が懸念されているた問題
*2014年問題 - [[北陸新幹線]]が金沢まで延伸開業されることに伴う、[[上越新幹線]]の沿線地域の観光・経済への影響。''[[2014年問題 (新幹線)]]を参照''。
*[[2015年問題]] - [[行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律|マイナンバー制度]]導入などIT開発案件が増加する一方で、[[ブラック企業]]の蔓延や[[デジタル土方]]、安易な解雇など劣悪な労働環境や背景にある業界体質の問題から[[IT業界離れ]]が進行しておりIT技術者が不足する問題。
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==== 予想される問題 ====
*[[2018年問題]] - 日本の18歳[[人口]]が[[2018年]]ごろから減り始め、[[2015年]]現在で[[定員割れ]]が全体の4割にのぼる多数の[[私立大学]]が[[閉校]]等の激変期を迎える問題。
*[[2019年]]問題
**住宅用[[太陽光発電]]の[[固定価格買い取り制度]]が10年間の期間経過により終了する住宅が増加する問題。
**2019年展示場問題。[[東京ビッグサイト]]などの大型展示場が[[2020年夏季オリンピック|2020年東京オリンピック]]開催のための準備作業の始まる2019年夏からパラリンピックが閉幕する2020年9月までの他の催しに使用できないため、[[東京モーターショー]]、[[東京おもちゃショー]]、[[コミックマーケット]]等のイベントに影響が出る問題<ref>{{Cite web|url=https://www.sankei.com/economy/news/150926/ecn1509260021-n1.html|title=東京「2019年問題」!? 大型展示場は軒並み五輪で使用 モーターショー、コミケはどうなる?|accessdate=2018-12-11|last=INC|first=SANKEI DIGITAL|website=産経ニュース|language=ja}}</ref>。
*[[2022年]]問題 - [[1992年]]以降、[[三大都市圏|3大都市圏]]の都市部の「生産緑地」に指定されていた[[農地]]が、[[農家]]の高齢化・後継者不足により同指定を解除され、[[宅地]]として不動産市場に大量に供給されることで、地価の下落・暴落が懸念されている問題。[[生産緑地地区#2022年問題]]を参照。
*[[2025年問題]]問題 - [[団塊の世代]]が2025年頃までに後期高齢者(75歳以上)に達するこにより、介護・医療費等社会保障費の急増懸念れる問題<ref>{{Cite web|url=http://dspc2007.com/2025.html|title=2025年問題|accessdate=2018-01-07|publisher=一般社団法人ディペロップメントシニアPCコミュニティ}}</ref>
*2045年問題 - コンピューター、遺伝学、ナノテクノロジー、ロボット工学、人工知能などの技術が[[収穫加速の法則]]のように加速度的に発展していることから[[レイ・カーツワイル]]が予測している、2045年頃に[[技術的特異点]]に達する問題<ref>[[松田卓也]]『2045年問題 コンピュータが人類を超える日』[[廣済堂出版]] 2012年 ISBN 978-4331516836</ref>。