「故意四球」の版間の差分
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通常、守備側は打者を[[アウト (野球)|アウト]]に討ち取ることを目的とする。しかし、打者の個人[[能力]]や試合の局面を勘案し、四球を与えて打席を終わらせてしまう方が、最終的な[[勝利]]のために適切であると判断される場合には、意図的に四球を与えることがある。
故意四球が通常の四球と区別されて公式記録となるには後述の
故意四球自体はルール違反にあたる行為ではなく、相手を封じるための立派な[[戦術]]の一つであるが、[[興行]]としての[[プロ野球]]においては、故意四球を
[[2017年]]から、[[メジャーリーグベースボール|メジャーリーグ]]において試合時間の短縮などを目的として、投手が投球を行わずに、守備側の監督が故意四球を意図する意思を球審に示した場合、投手が投球を行うことなく打者に一塁を与えられる規則が採用され([[公認野球規則]]5.05(b)(1))、日本でも[[2018年]]より[[日本野球機構|プロ野球]]、[[日本の大学野球|大学野球]]、[[社会人野球]]で採用された<ref>{{Cite news|title=NPB今季から「申告敬遠制」採用 大学、社会人も|newspaper=日刊スポーツ|date=2018-01-11|url=https://www.nikkansports.com/baseball/news/201801110000770.html|accessdate=2018-01-12}}</ref>。この規則を用いて打者に故意四球を与えるプレーは一般に「申告敬遠」と表現される。
[[公認野球規則]]では、[[捕手]]は投手が投球を開始するまで[[本塁]]の直後に位置しなければならないとされている。特に故意四球を行う際には、ボールが投手の手を離れるまではキャッチャースボックスから片足でも出してはならないとされており、これに違反すれば投手に[[ボーク]]が科せられる。したがって、投手はあらかじめ故意四球を行う旨を捕手と示し合わせ、捕手はある程度遠く離れた球が投げられても対応できるよう準備をする必要がある。▼
* この「捕手は投手がボールをリリースするまでキャッチャースボックス内に位置する」というルールは、近年、特に日本のプロ野球においてはおよそ守られていない。審判員も黙認していることが多く、現実に捕手がキャッチャーボックスの外に片足を出して構えているときに投手が投球しても、ボークと判定される事例はほとんど見られない。▼
記録上は、投球する前から立ち上がっている捕手に4球目の[[ボール (野球)#ルールとしてのボール|ボール]]を、投手が意識して投げた時に「故意四球」として通常の四球と異なる記録がなされる(捕手の位置は問わない)。例えば、▼
=== 投球に関する規則 ===
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▲野球規則において、「故意四球」が記録
# 投手は勝負していたがストライクが入らず、[[ボールカウント]]が3ボール0ストライクとなったので、4球目の投球では捕手が立ち上がり、投手はわざとボールを投げて打者に四球を与えた。
# 投手は故意四球をしようと3つボールを投げたが、状況が変わったため勝負に転じ[[ストライクゾーン]]を狙った。ところがその投球も判定はボールで、打者に四球を与えた。
という2つのケースでは、前者は「故意四球」
また、捕手が投球前から立ち上がっているのが要件であるから、ストライクゾーンから遠く離れたところに意図して投球を行ったが捕手が立ち上がっていない場合や、投手が投球してから捕手が立ち上がったような場合も故意四球は記録されずに四球が記録される。
この故意四球の投球を打者は打っても差し支えなく、後述されているように打った事例も存在する(下記「[[#故意四球を意図した投球を安打にした例|故意四球を意図した投球を安打にした例]]」を参照)。▼
=== 投球の方法 ===
故意四球を行うには、投手は意図的にボールと判定される投球を投げる必要がある。▼
一般的な故意四球では、投手は明らかにボールと判定される投球をするために、そしてボール球を無理矢理打たれる事態を避けるために、打者から十分に離れた場所に投球する。捕球の準備のため、捕手は立ち上がった姿勢で投球を待つ。キャッチャーボックスから大きく離れられないために投球の目標として打者から遠いほうの手を大きく横にかざすことがセオリーとされる。多くの場合、投手は捕手が[[捕逸]]しないよう緩やかに球を投げる。必要に応じて、捕手は本塁から外れた位置に移動して捕球する。これを4回繰り返すことで打者に四球が与えられ、故意四球が記録される。これで暴投してしまう癖を持つ投手もおり、その場合は座った捕手に投げるため故意四球は記録されない。▼
捕手が故意四球の構えを取らずに投手が明確に外した場合は'''敬遠気味の四球'''と呼ばれるが、ある程度勝負に行った場合は「無理に勝負をしない」と表現されることがある。▼
==申告による故意四球==
[[ソフトボール]]の国際ルールでは故意四球にしたいと思ったらそのことを球審に申告するだけでよく、投球の必要は無い。日本も2013年のルール改正で国際ルールと同様になった(改正前までは投球しなければならなかった)。
守備側の監督が球審に故意四球の意思を示せば、投手が投球することなく打者に故意四球を与えることができる。すでに何球か投球した後(例えば1ボール1ストライクから)でも申告による故意四球を選択することができる。申告により故意四球となった場合、投手の投球数は加算されない。
== 故意四球を行うケース ==
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純粋に戦術的な観点から選択される故意四球策(第3項まで)は、日常的に行われていることもあり、戦術の一つとして広く認知されている。また実際には第3項までの状況の組み合わせで故意四球を行うかどうかは決定される。一方で記録、タイトル争いに関わる故意四球(第4項)は賛否両論であり、{{誰範囲|date=2016年7月|「ルール違反をしているわけではない」「タイトルを獲らせてやりたい監督やコーチの温情行為。タイトルを獲れば球史に名前が残り、年俸や以後の人生にも響いてくるので仕方のないこと。寧ろこのような状況になるまでに追いつけなかった相手が悪い」と肯定、容認する意見もあるが、一方で「スポーツマンにあるまじき卑怯な手段」「正々堂々としたタイトル争いを期待するファンの思いを無視したプロ野球側の独善的行為」として批判や糾弾の槍玉に挙げられることも少なくはない。また、そのような行為はもっぱら[[消化試合]]で行われるために試合の流れやチームの勝敗も無視した形で行われることもしばしばであり、「[[八百長]]、敗退行為も同然で、厳しく罰するべき」という意見もある。}}
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▲== 故意四球の方法 ==
▲故意四球を行うには、投手は意図的にボールと判定される投球を投げる必要がある。
▲一般的な故意四球では、投手は明らかにボールと判定される投球をするために、そしてボール球を無理矢理打たれる事態を避けるために、打者から十分に離れた場所に投球する。捕球の準備のため、捕手は立ち上がった姿勢で投球を待つ。キャッチャーボックスから大きく離れられないために投球の目標として打者から遠いほうの手を大きく横にかざすことがセオリーとされる。多くの場合、投手は捕手が[[捕逸]]しないよう緩やかに球を投げる。必要に応じて、捕手は本塁から外れた位置に移動して捕球する。これを4回繰り返すことで打者に四球が与えられ、故意四球が記録される。これで暴投してしまう癖を持つ投手もおり、その場合は座った捕手に投げるため故意四球は記録されない。
▲捕手が故意四球の構えを取らずに投手が明確に外した場合は'''敬遠気味の四球'''と呼ばれるが、ある程度勝負に行った場合は「無理に勝負をしない」と表現されることがある。
== 事例 ==
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