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通常、守備側は打者を[[アウト (野球)|アウト]]に討ち取ることを目的とする。しかし、打者の個人[[能力]]や試合の局面を勘案し、四球を与えて打席を終わらせてしまう方が、最終的な[[勝利]]のために適切であると判断される場合には、意図的に四球を与えることがある。
 
故意四球が通常の四球と区別されて公式記録となるには後述の[[要件]]を備えていなくてはならないが、それら要件のすべてを満たさない場合でも、見た者に守備側の四球にしようとする意図が感じられるときには「敬遠」あるいは「敬遠気味」などと表現される。
 
故意四球自体はルール違反にあたる行為ではなく、相手を封じるための立派な[[戦術]]の一つであるが、[[興行]]としての[[プロ野球]]においては、故意四球を行っている最意図した投球中に、投手に対して[[ブーイング]]を行ったり野次を飛ばしたりする[[観客]]が多い。試合そのものの勝敗、特に[[優勝]]争いが関わる状況などの故意四球は勝利を確実にするための[[作戦]]と許容されることも多いが、後述の打撃タイトルの阻止や過去の記録([[本塁打]]数等)を保存するための故意四球やそれに類する行為に対しては、非常に強い批判が行われ<ref>{{Cite news|title=上原、14年後の歓喜 つながった2つの涙|url=https://www.nikkei.com/article/DGXZZO61914330R31C13A0000000/|newspaper=[[日本経済新聞]]|publisher=[[日本経済新聞社]]|date=2013-11-06|accessdate=2018-01-12}}</ref>、故意四球狙いにされていることに気づいた打者の中には、抗議の意味も込めてわざと[[空振り]]し、[[ストライク (野球)|ストライク]]にする選手もいる<ref>{{Cite news|title=中島を連続敬遠にファン「死ね」…首位打者争いロッテ逃げた|url=https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2012/10/07/kiji/K20121007004272280.html|newspaper=[[日刊スポーツ]]|date=2012-10-07|accessdate=2018-01-12}}</ref>。記録妨害行為が大きな反響を呼び、[[コミッショナー (日本プロ野球)|コミッショナー]]やリーグの会長が厳重注意したこともある。
 
[[2017年]]から、[[メジャーリーグベースボール|メジャーリーグ]]において試合時間の短縮などを目的として、投手が投球を行わずに、守備側の監督が故意四球を意図する意思を球審に示した場合、投手が投球を行うことなく打者に一塁を与えられる規則が採用され([[公認野球規則]]5.05(b)(1))、日本でも[[2018年]]より[[日本野球機構|プロ野球]]、[[日本の大学野球|大学野球]]、[[社会人野球]]で採用された<ref>{{Cite news|title=NPB今季から「申告敬遠制」採用 大学、社会人も|newspaper=日刊スポーツ|date=2018-01-11|url=https://www.nikkansports.com/baseball/news/201801110000770.html|accessdate=2018-01-12}}</ref>。この規則を用いて打者に故意四球を与えるプレーは一般に「申告敬遠」と表現される。
== 故意四球時のルールと記録 ==
[[公認野球規則]]では、[[捕手]]は投手が投球を開始するまで[[本塁]]の直後に位置しなければならないとされている。特に故意四球を行う際には、ボールが投手の手を離れるまではキャッチャースボックスから片足でも出してはならないとされており、これに違反すれば投手に[[ボーク]]が科せられる。したがって、投手はあらかじめ故意四球を行う旨を捕手と示し合わせ、捕手はある程度遠く離れた球が投げられても対応できるよう準備をする必要がある。
* この「捕手は投手がボールをリリースするまでキャッチャースボックス内に位置する」というルールは、近年、特に日本のプロ野球においてはおよそ守られていない。審判員も黙認していることが多く、現実に捕手がキャッチャーボックスの外に片足を出して構えているときに投手が投球しても、ボークと判定される事例はほとんど見られない。
 
== 投球による故意四球の方法 ==
記録上は、投球する前から立ち上がっている捕手に4球目の[[ボール (野球)#ルールとしてのボール|ボール]]を、投手が意識して投げた時に「故意四球」として通常の四球と異なる記録がなされる(捕手の位置は問わない)。例えば、
 
=== 投球に関する規則 ===
[[公認野球規則]]では、[[捕手]]は投手が投球を開始するまで[[本塁]]の直後に位置しなければならないとされている。特に故意四球を意図した投球を行う際には、ボールが投手の手を離れるまではキャッチャースボックスから片足でも出してはならないとされており、これに違反すれば投手に[[ボーク]]が科せられる。したがって、投手はあらかじめ故意四球を行う旨を捕手と示し合わせ、捕手はある程度遠く離れた球が投げられても対応できるよう準備をする必要がある。
 
* この「捕手は投手がボールをリリースするまでキャッチャースボックス内に位置する」というルールは、近年、特に日本のプロ野球においてはおよそ守られていない。審判員も黙認していることが多く、現実に捕手がキャッチャーボックスの外に片足を出して構えているときに投手が投球しても、ボークと判定される事例はほとんど見られない。
 
野球規則において、「故意四球」が記録されるの投球する前から立ち上がっている捕手に4球目にあたる[[ボール (野球)#ルールとしてのボール|ボール]]を、投手が意識して投げた時に「故意四球場合として通常の四球と異なる記録がなされである(捕手の位置は問わない)。例えば、
 
# 投手は勝負していたがストライクが入らず、[[ボールカウント]]が3ボール0ストライクとなったので、4球目の投球では捕手が立ち上がり、投手はわざとボールを投げて打者に四球を与えた。
# 投手は故意四球をしようと3つボールを投げたが、状況が変わったため勝負に転じ[[ストライクゾーン]]を狙った。ところがその投球も判定はボールで、打者に四球を与えた。
 
という2つのケースでは、前者は「故意四球」記録されるが、後者は通常の「四球」が記録される。
 
また、捕手が投球前から立ち上がっているのが要件であるから、ストライクゾーンから遠く離れたところに意図して投球を行ったが捕手が立ち上がっていない場合や、投手が投球してから捕手が立ち上がったような場合も故意四球は記録されずに四球が記録される。
この故意四球の投球を打者は打っても差し支えなく、後述されているように打った事例も存在する(下記「[[#故意四球を意図した投球を安打にした例|故意四球を意図した投球を安打にした例]]」を参照)。
 
この故意四球の投球を打者は打っても差し支えなく、後述されているように打った事例も存在する(下記「[[#故意四球を意図した投球を安打にした例|故意四球を意図した投球を安打にした例]]」を参照)。
===故意四球の申告制度===
 
=== 投球の方法 ===
故意四球を行うには、投手は意図的にボールと判定される投球を投げる必要がある。
 
一般的な故意四球では、投手は明らかにボールと判定される投球をするために、そしてボール球を無理矢理打たれる事態を避けるために、打者から十分に離れた場所に投球する。捕球の準備のため、捕手は立ち上がった姿勢で投球を待つ。キャッチャーボックスから大きく離れられないために投球の目標として打者から遠いほうの手を大きく横にかざすことがセオリーとされる。多くの場合、投手は捕手が[[捕逸]]しないよう緩やかに球を投げる。必要に応じて、捕手は本塁から外れた位置に移動して捕球する。これを4回繰り返すことで打者に四球が与えられ、故意四球が記録される。これで暴投してしまう癖を持つ投手もおり、その場合は座った捕手に投げるため故意四球は記録されない。
 
捕手が故意四球の構えを取らずに投手が明確に外した場合は'''敬遠気味の四球'''と呼ばれるが、ある程度勝負に行った場合は「無理に勝負をしない」と表現されることがある。
 
==申告による故意四球==
[[ソフトボール]]の国際ルールでは故意四球にしたいと思ったらそのことを球審に申告するだけでよく、投球の必要は無い。日本も2013年のルール改正で国際ルールと同様になった(改正前までは投球しなければならなかった)。
 
野球でも、2017年から[[メジャーリーグベースボール|メジャーリーグ]]で試合時間短縮を目的にこの故意四球の申告制度が採用されてい<ref>{{Cite web|url=https://www.sanspo.com/baseball/news/20170404/npb17040405000002-n1.html|title=【検証’17】どうな。2018年からは[[世界野球ソフトボール連盟]]の主催大会「投げない敬遠」 NPBでも来季採用され、これに伴い[[日本]]で公認野球規則5?|accessdate=2018-12-16|date=2017-04-04|website=SANSPO.05(b)(1)の原注に「COM|language=ja-JP}}</ref>、監督からのシグナルを得て審判員より一塁を与えられた打者を含む、」に一塁へ記述安全進塁権が与えられることとなった。2018年からは日本でも野球規則追加改正され、[[日本野球機構|プロ野球]]、[[日本の大学野球|大学野球]]、[[社会人野球]]において採用され<ref>{{Cite newsweb|url=https://www.asahi.com/articles/ASL1C4QMYL1CUTQP01D.html|title=NPB今季から投げなくても四球 「申告敬遠プロ野球などで導入へ:朝日新聞デジタル|accessdate=2018-12-16|website=朝日新聞デジタル|language=ja}}</ref>。一方で高校野球では2018年での採用 大学、社会人もは見送られた<ref>{{Cite web|url=https://www.nikkansportssanspo.com/baseball/news/20180111000077020180221/hig18022118200003-n1.html|newspapertitle=日刊スポーツ高野連、申告敬遠制は今季見送り 「必要ないという意見多かった」とも|dateaccessdate=2018-0112-1116|accessdatedate=2018-0102-1221|website=SANSPO.COM|language=ja-JP}}</ref>。
 
守備側の監督が球審に故意四球の意思を示せば、投手が投球することなく打者に故意四球を与えることができる。すでに何球か投球した後(例えば1ボール1ストライクから)でも申告による故意四球を選択することができる。申告により故意四球となった場合、投手の投球数は加算されない。
 
== 故意四球を行うケース ==
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純粋に戦術的な観点から選択される故意四球策(第3項まで)は、日常的に行われていることもあり、戦術の一つとして広く認知されている。また実際には第3項までの状況の組み合わせで故意四球を行うかどうかは決定される。一方で記録、タイトル争いに関わる故意四球(第4項)は賛否両論であり、{{誰範囲|date=2016年7月|「ルール違反をしているわけではない」「タイトルを獲らせてやりたい監督やコーチの温情行為。タイトルを獲れば球史に名前が残り、年俸や以後の人生にも響いてくるので仕方のないこと。寧ろこのような状況になるまでに追いつけなかった相手が悪い」と肯定、容認する意見もあるが、一方で「スポーツマンにあるまじき卑怯な手段」「正々堂々としたタイトル争いを期待するファンの思いを無視したプロ野球側の独善的行為」として批判や糾弾の槍玉に挙げられることも少なくはない。また、そのような行為はもっぱら[[消化試合]]で行われるために試合の流れやチームの勝敗も無視した形で行われることもしばしばであり、「[[八百長]]、敗退行為も同然で、厳しく罰するべき」という意見もある。}}
 
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== 故意四球の方法 ==
故意四球を行うには、投手は意図的にボールと判定される投球を投げる必要がある。
 
一般的な故意四球では、投手は明らかにボールと判定される投球をするために、そしてボール球を無理矢理打たれる事態を避けるために、打者から十分に離れた場所に投球する。捕球の準備のため、捕手は立ち上がった姿勢で投球を待つ。キャッチャーボックスから大きく離れられないために投球の目標として打者から遠いほうの手を大きく横にかざすことがセオリーとされる。多くの場合、投手は捕手が[[捕逸]]しないよう緩やかに球を投げる。必要に応じて、捕手は本塁から外れた位置に移動して捕球する。これを4回繰り返すことで打者に四球が与えられ、故意四球が記録される。これで暴投してしまう癖を持つ投手もおり、その場合は座った捕手に投げるため故意四球は記録されない。
 
捕手が故意四球の構えを取らずに投手が明確に外した場合は'''敬遠気味の四球'''と呼ばれるが、ある程度勝負に行った場合は「無理に勝負をしない」と表現されることがある。
 
== 事例 ==