「幻想即興曲」の版間の差分

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{{混同|幻想交響曲}}
{{クラシック曲
|正式名称 =幻想即興曲
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|速度標語 =アレグロ・アジタート
|速度指定 =
|出版年 =1855年(画像はフォンタナ版)
|制作国 ={{FRA}} [[パリ]]
|作品番号 =Op. posthumous 66
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ショパンの作品のなかでもっともよく知られる作品のひとつである。
 
==内容 曲の構成 ==
=== 構成 ===
[[複合三部形式]](A - B - A')による即興曲。[[ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン|ベートーヴェン]]の[[ピアノソナタ第14番 (ベートーヴェン)|月光]]と調性、構成、雰囲気が類似している。 
;'''[[wikt:{{lc:Allegro}}|Allegro]] [[wikt:{{lc:agitato}}|agitato]]''' (A)
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:Bの主題が左手部分で回想され、静かに終わる。
 
=== 公表経緯 ===
上述の通り、ショパンの生前には出版されなかった。ショパンは「自分の死後、この楽譜を燃やして処分して欲しい」と頼んだが、フォンタナが遺言にそむいて公表したと伝えらも言わる。しかし、献呈直前までショパンはこの作品を改訂し続けており、それなりに愛着があったことが伺える。
 
ショパンがこの曲を生前公表しなかった理由としては、[[イグナーツ・モシェレス|モシェレス]]の即興曲 作品89や、[[ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン|ベートーヴェン]]の[[ピアノソナタ第14番 (ベートーヴェン)|ピアノソナタ第14番]]「月光」第3楽章のカデンツァとの類似性などが考えられるが、定かでない。
 
== 複数のバージョン ==
フォンタナがFantasie-Impromptuと単語にハイフンを何故入れたかは不明で、即興幻想曲と逆に訳す人もいる<ref>[https://archive.is/sdb29 外部リンク]</ref>。これを後置装飾と見て音楽評論家の[[遠山一行]]はNHk-FMの「[[名演奏家を聴く]] アルフレッド・コルトー集」では即興幻想曲と発言して紹介していた。形容詞は用いられていないので、厳密な翻訳名は「幻想曲-即興曲」となる。同様のネーミングが行われたものに、「Polonaise-Fantasie, Op.61」がある。
この作品の筆写譜はいくつか現存しているものの、自筆譜は長らく見つかっていなかった。ところが、ショパンの弟子であるデスト公爵夫人に献呈された1835年の自筆譜が、[[1962年]][[アルトゥール・ルービンシュタイン]]によって発見された。これはフランショム筆写譜との相違が多く、よりあとにショパンの手で校訂さ書かれた決定稿と言えるものであとみられ。決定稿を弾くピアニストは増えたものの、未だにフォンタナ版がまかり通っていることが多い。Zhi Chao Julian Jiaはショパン国際ピアノコンクールでエキエル版ではなく、フォンタナ版を演奏した
 
この新しい自筆譜に基づくバージョンは、[[ウニヴェルザール出版社]]'''ウィーン原典版'''([[ヤン・エキエル|エキエル]]編)、ポーランド音楽出版社'''ナショナル・エディション'''([[ヤン・エキエル|エキエル]]編)、ペータース社原典版(今井顕、[[パウル・バドゥラ=スコダ|バドゥラ=スコダ]]編)、および同社の原典版ショパン全集'''新批判版'''(グラボフスキ、アーヴィング編)で見ることができる。
もちろん「即興曲第4番」とはショパン自身の手では銘打たれていない<ref>エキエル版PWMナショナルエディションを参照。</ref>が、多くの出版社が「第4番」を名乗っている。
 
== サンプル ==
=== 自筆譜発見後の校訂 ===
この作品の筆写譜はいくつか現存しているものの、自筆譜は長らく見つかっていなかった。ところが、ショパンの弟子であるデスト公爵夫人に献呈された1835年の自筆譜が、[[1962年]][[アルトゥール・ルービンシュタイン]]によって発見された。これはフランショム筆写譜との相違が多く、よりあとにショパンの手で校訂された決定稿と言えるものである。決定稿を弾くピアニストは増えたものの、未だにフォンタナ版がまかり通っていることが多い。Zhi Chao Julian Jiaはショパン国際ピアノコンクールでエキエル版ではなく、フォンタナ版を演奏した。
 
この新しい自筆譜に基づくバージョンは、
*[[ウニヴェルザール出版社]]'''ウィーン原典版'''([[ヤン・エキエル|エキエル]]<ref>{{Cite web |url =https://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail.php?code=400580 |title = ショパン 即興曲集|publisher =www.ongakunotomo.co.jp |date = |accessdate =2018-12-16 }}</ref>編)
*[[ヘンレ]]原典版(Ewald Zimmermann<ref>{{Cite web |url =https://www.henle.de/de/detail/?Titel=Fantaisie-Impromptu+cis-moll+op.+post.+66_1320 |title = Fantasie-Impromptu cis-moll op. post. 66 |publisher =www.henle.de |date = |accessdate =2018-12-16 }}</ref>編)
*[[ポーランド音楽出版社]]'''ナショナル・エディション'''([[ヤン・エキエル|エキエル]]<ref>{{Cite web |url =https://www.chopin-nationaledition.com/product/583/?lang=en |title = 29B.Various Compositions |publisher =www.chopin-nationaledition.com |date = |accessdate =2018-12-16 }}</ref>編)
*[[ペータース]]社の原典版ショパン全集'''新批判版'''(今井顕、バドゥラ=スコダ<ref>{{Cite web |url =https://www.editionpeters.com/product/fantaisie-impromptu-in-c-sharp-minor/ep9901a |title = Fantasie-Impromptu cis-moll op. post. 66 |publisher =www.editionpeters.com |date = |accessdate =2018-12-16 }}</ref>編)で見ることができる。
 
== 音源 ==
{{multi-listen start}}
{{multi-listen item|filename=Frederic Chopin - Fantasy Impromptu Opus 66.ogg|title=幻想即興曲 Op.66|description=演奏:マーサ・ゴールドスタイン(1851年製[[エラール]]・ピアノ)|format=[[Ogg]]}}
{{multi-listen end}}
 
== ピアノ以外の楽器による幻想即興曲の演奏 ==
== 編曲 ==
ピアノ以外の楽器でこの曲を演奏するのは非常に困難であるが、下記の奏者がピアノ独奏以外の楽器で演奏しているほか、アマチュアも演奏に挑んでいる。
 
;ティト・フランシア『オールモスト・インポッシブル』
:アルゼンチンのギタリスト。[[クラシック・ギター|ガット・ギター]]でピアノのニュアンスを再現。
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;東京佼成ウインドオーケストラ『幻想即興曲』
:[[ニュー・サウンズ・イン・ブラス]]シリーズで登場。[[藤田玄播]]が編曲したもの。
;二台ピアノ用への編曲
:[[モートン・グールド]]と[[ベルト・シェフター]]が編曲したもの。<ref>{{Cite web |url =https://archive.is/go3FI |title =第五回公開録音コンサート |publisher =www.piano.or.jp |date =2010-06-04 |accessdate =2018-12-14 }}</ref>
 
==その他の作品での利用==
===* [[ポピュラー音楽===]]
** "I'm Always Chasing Rainbows" (1917年、ハリー・キャロル作曲、ジョゼフ・マッカーシー作詞) - 幻想即興曲の中間部の楽想が元になっている。
** 『宵闇の唄』 - [[Sound Horizon]]のアルバム「[[Märchen]]」収録曲
** 『[[踊れないなら、ゲスになってしまえよ|キラーボール]]』([[ゲスの極み乙女。]]) - 曲中に幻想即興曲のメロディが挿入されている。
 
===*ドラマ===
*『[[白い滑走路]]』
**『[[正し王子のつくり方滑走路]]』
**『[[正しい王子のつくり方]]』
**『[[MAGISTER NEGI MAGI 魔法先生ネギま!]](テレビドラマ版)』
**『[[明日ママがいない]]』
**『[[のだめカンタービレ (テレビドラマ)|のだめカンタービレ]](テレビドラマ版)』
 
===*映画===
*『[[お嬢さん乾杯!]]』
**『[[お嬢さん乾杯!]]』
**『[[ツイン・ドラゴン]]』 - マー・ユーが演奏。
 
===*アニメ===
**『[[キリン名曲ロマン劇場]] [[巴里のイザベル]]』
**『[[タッチ (漫画)|タッチ]]』 - 達也が和也の最期を病室で見届けるシーン(中間部だけ)。
**『[[のだめカンタービレ]]』
**『[[とっとこハム太郎 (アニメ)|とっとこハム太郎]]』 - 第87話、第188話で使用。第58話では調が変わっていた。
*『[[地獄先生ぬ〜べ〜]]』 - 第36話で律子先生が演奏。
**『[[グラスリップ地獄先生ぬ~べ~]]』 - 第1336にて、沖倉駆の母で律子先生が演奏。
**『[[グラスリップ]]』 - 第13話にて、沖倉駆の母が演奏。
*『[[少女セクト]]』 - 終盤にフォンタナ稿ではなくショパンによる決定稿が用いられる。
 
===*ゲーム===
**『[[パロディウス#パロディウス 〜タコは地球を救う〜|パロディウス 〜タコは地球を救う〜]]』
**『[[メガブラスト]]』
**『[[金色のコルダ]]』(アニメ版も含む)
**『[[クロックタワーゴーストヘッド]]』
**『[[クロックタワー3]]』
**『[[太鼓の達人]]』 - ロックアレンジが施されている。
**『[[トラスティベル ~ショパンの夢~]]』
**『[[メイドイン俺]]』
**『[[白い滑走路ベヨネッタ]]』
**『[[pop'n music|pop'n music 4]]』 - 収録曲「Concertare(ジャンル「クラシック4」)」の冒頭部分で使用されている。
 
===*フィギュアスケート===
===ゲーム===
**[[荒川静香]] - 2005-2006シーズン オーケストラバージョンを使用(トリノオリンピックのみショートプログラム、その他ではフリースケーティング)
*『[[パロディウス#パロディウス 〜タコは地球を救う〜|パロディウス 〜タコは地球を救う〜]]』
**[[浅田真央]] - 2007-2008シーズン フリースケーティングで使用
*『[[メガブラスト]]』
**[[中野友加里]] - 2007-2008シーズン ショートプログラムで使用
*『[[金色のコルダ]]』(アニメ版も含む)
===*プロ野球===
*『[[クロックタワーゴーストヘッド]]』
**[[笘篠誠治]]([[西武ライオンズ]]) - [[応援歌]]に使用されたことがあった。
*『[[クロックタワー3]]』
*『[[太鼓の達人]]』 - ロックアレンジが施されている。
*『[[トラスティベル ~ショパンの夢~]]』
*『[[メイドイン俺]]』
*『[[ベヨネッタ]]』
*『[[pop'n music|pop'n music 4]]』 - 収録曲「Concertare(ジャンル「クラシック4」)」の冒頭部分で使用されている。
===フィギュアスケート===
*[[荒川静香]] - 2005-2006シーズン オーケストラバージョンを使用(トリノオリンピックのみショートプログラム、その他ではフリースケーティング)
*[[浅田真央]] - 2007-2008シーズン フリースケーティングで使用
*[[中野友加里]] - 2007-2008シーズン ショートプログラムで使用
===プロ野球===
*[[笘篠誠治]]([[西武ライオンズ]]) - [[応援歌]]に使用されたことがあった。
===テレビ===
*芸能人格付けチェック BASIC~春の3時間スペシャル~[[2018年]][[3月27日]] 午後7:00 放送分の「どちらがスタインウェイ?」で使用。
===現代音楽===
*[[松平頼暁]] - to you from...
 
==脚注備考==
フランス語から直訳すると、これは後置装飾なので''即興幻想曲''であり、音楽評論家の[[遠山一行]]はNHk-FMの「名演奏家を聴く アルフレッド・コルトー集」では即興幻想曲と発言して紹介していた。
{{Reflist}}
 
== 外部リンク ==