「二項分布」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
59行目:
期待値 {{mvar|np}} および分散 {{math|''np''(1 − ''p'')}} が {{math|5}} よりも大きい場合、二項分布 {{math|B(''n'', ''p'')}} に対する良好な近似として[[正規分布]]がある。ただし、この近似を適用するにあたっては、変数のスケールに注意し、連続な分布への適切な処理がなされる必要がある。より厳密に述べれば、{{mvar|n}} が十分大きくかつ、期待値 {{mvar|np}} および 分散 {{math|''np''(1 − ''p'')}} も十分大きい場合、期待値 {{mvar|np}}, 分散 {{math|''np''(1 − ''p'')}} の正規分布 {{math|N(''np'', ''np''(1 − ''p''))}} で近似することができ、期待値からの差 {{math|{{!}}''k'' − ''np''{{!}}}} が[[標準偏差]] {{math|{{sqrt|''np''(1 − ''p'')}}}} と同程度となる {{mvar|k}} に対して
:<math>P[X=k] \simeq \frac{1}{\sqrt{2 \pi np(1-p)}}\exp{ \left(- \frac{(k-np)^2}{2np(1-p)} \right)}</math>
が漸近的に成り立つ。二項分布が一定の条件下で正規分布に近づく、この近似式は数学者[[アブラーム・ド・モアブル]]が1733年に著書 ''The Doctrine of Chances'' の中で紹介したのが最初であり、'''ド・モアブル=ラプラスの極限定理'''またはラプラスの定理と呼ぶことがある<ref>[[伏見康治]]「[[確率論及統計論]]」第IV章 独立偶然量の和 27節 Bernoulliの定理, Laplaceの定理 p.452 ISBN 9784874720127 http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/ebook/204</ref>。これは、今日でいうところの[[中心極限定理]]の特別な場合に相当する。この正規分布によるへの近似を用いるこ標準正規分布表により、計算の労力を大きく削減することができる。
 
例えば、多数の住民の中から {{mvar|n}} 人を無作為に抽出し、ある質問について同意するかどうかを尋ねる場合を考える。同意する人数の割合は、もちろんサンプルに依存する。{{mvar|n}} 人を無作為に抽出する作業を何度も繰り返し行うとき、同意する人々の割合の分布は、実際の全住民の合意割合 {{mvar|p}} とほぼ等しい[[平均]]を持ち、標準偏差 {{math2|''σ'' {{=}} {{sqrt|''p''(1 &minus; ''p'')/''n''}}}} である正規分布に近似される。未知の変数 {{mvar|p}} は、標準偏差が小さいほど正確な推定が可能である。そのため、抽出する人数 {{mvar|n}} は多い方が好ましい。