「速度違反自動取締装置」の版間の差分

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Sensys社製について追加,移動式・可搬式・半可搬式を分離
出典と注釈の分離,出典の追加,取締機→取締装置へ変更,その他
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[[ファイル:IMG 0436 OKINAWA.JPG|thumb|right|設置箇所の直前にある事前警告標識(英語併記の例) - 沖縄県]]
[[ファイル:H-system warning signboard.JPG|thumb|right|設置箇所の直前にある事前警告標識(色違いの例) - 北海道]]
'''自動速度違反取締装置'''(じどうそくどいはんとりしまりそうち)は、[[道路]]を走行する車両の[[速度違反]]を、自動的に記録・取り締まる[[スピード測定器]]である。通称の'''オービス'''(ORBIS)は[[ラテン語]]で「眼」を意味する言葉からとったボーイング社の商標である。そのため厳密な意味ではボーイング社(もしくはライセンスを受けた[[東京航空計器]])以外の「取締装置」をオービスと呼ぶのは誤りであるものの、他社の製品を含めての取締装置全般の通称として使われることが多い。 ''※[[商標の普通名称化]]も参照。''
 
警察の[[隠語]]から「[[ねずみ捕り|ネズミ捕り機]]」などと俗称されることもある。以下、本文中では単に「取締装置」という。
 
== 概要 ==
主要な[[幹線道路]]や、[[高速道路]]、事故多発区間、速度超過違反が多発している道路などに設置されており、[[制限速度]]を超過して走行している[[車両]]を検知すると、当該車両の速度を記録し、[[日本のナンバープレート|ナンバープレート]]および[[運転手]]の撮影を行う。基本的には、固定式取締装置は[[交通反則通告制度#交通反則切符 |赤切符]]の違反のみを取締対象とし、一般道路では30 [[キロメートル毎時|km/h]]以上、高速道路では40 km/h以上の速度超過で撮影され、可搬式取締装置は15 km/h以上の速度超過で撮影される。(ただし、各都道府県によっては[[しきい値]]を変動させている場合もある)。
 
日本国内の場合は、撮影の瞬間に、多くは赤色(白色のものもある)の[[エレクトロニックフラッシュ|ストロボ]](フラッシュ)が発光する。自動取締装置によって撮影されると、数日から遅くとも30日以内に[[警察]]から当該車両の所有者に出頭通知が送付される。[[レンタカー]]や事業者や個人間賃借の場合は、[[運転手]]特定のために、更に数週間から数か月を要する場合もある。
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多くの場合基本的には、固定式取締装置を設置している道路には、設置していることを警告する標識が設置箇所の約1 - 3&nbsp;[[キロメートル|km]]前に少なくとも2箇所設置してある(例・「'''速度自動取締装置設置路線'''」)<ref group="脚注">1枚の場合や警告板が無いものもある。</ref>。
 
助手席など同乗者の顔も写ってしまうことに対する配慮<ref>{{Cite news|title=移動オービスで狭い道にも速度監視の目 死亡事故多発、導入広がる|date=|url=https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/455915/|accessdate=2018-10-08|publication-date=”同乗者のプライバシーへの配慮などから予告看板で取り締まり区間を知らせている。”との記述有り|worknewspaper=西日本新聞Web}}</ref>や、制限速度を守れという交通指導のために設置されているが、過去の裁判の判例<ref>{{Cite web|url=http://www3.osk.3web.ne.jp/~akineko/ME/GOLF4/data/obis/550114_499.html|title=東京簡易裁判所昭和55年1月14日判決。東京簡裁昭五二(ろ)四九九号   判例時報955 21頁|accessdate=2018年10月8日|publisher=}}</ref>によれば、必ずしも設置しなければならないものではない。
多くの場合、固定式取締機を設置している道路には、設置していることを警告する標識が設置箇所の約1 - 3&nbsp;[[キロメートル|km]]前に少なくとも2箇所設置してある(例・「'''速度自動取締機設置路線'''」)<ref>1枚の場合や警告板が無いものもある。</ref>。
 
可搬式および半可搬式取締装置の場合には事前の警告看板の設置は行わない<ref name="bestcar">{{ Cite web | title = 埼玉県警に直撃取材!新型オービス稼働開始 | date = 2015-01-19 | url = https://bestcarweb.jp/news/718 | accessdate = 2019-01-05 | publisher = ベストカーWeb }}</ref>。ただし、都道府県警によっては取り締まりの際に独自に警告看板を設置しているところもある<ref>{{ cite conference | author = 警察庁 | url = https://www.npa.go.jp/policies/budget/review/h29/H29_gijiroku.pdf | title = 平成29年 警察庁行政事業レビュー公開プロセス 議事録 | page = 8-9 | date = 2017-06-20 }}</ref>。
助手席など同乗者の顔も写ってしまうことに対する配慮<ref>{{Cite news|title=移動オービスで狭い道にも速度監視の目 死亡事故多発、導入広がる|date=|url=https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/455915/|accessdate=2018-10-08|publication-date=”同乗者のプライバシーへの配慮などから予告看板で取り締まり区間を知らせている。”との記述有り|work=西日本新聞Web}}</ref>や、制限速度を守れという交通指導のために設置されているが、過去の裁判の判例<ref>{{Cite web|url=http://www3.osk.3web.ne.jp/~akineko/ME/GOLF4/data/obis/550114_499.html|title=東京簡易裁判所昭和55年1月14日判決。東京簡裁昭五二(ろ)四九九号   判例時報955 21頁|accessdate=2018年10月8日|publisher=}}</ref>によれば、必ずしも設置しなければならないものではない。
 
現に、最近では愛知県警などが可搬式取締機での取締りにおいて予告看板を設置せず行なっており、その旨をウェブサイト上で公開している。<ref>[https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/ko-shidou/documents/sintorisimarisouti.pdf 可搬式速度違反自動取締装置の運用を開始します!](PDF:1,231KB)</ref>
 
なお、可搬式取締機による取締りにおいて運用開始1ヶ月以後は予告看板を設置せず取締りを行うことについて愛知県警と検察庁で協議し、検察庁から承諾を得ているとのこと。<ref>{{Cite book|author=月刊交通|title=41頁|date=2018年7月号|year=|accessdate=2018年10月8日|publisher=東京法令出版|author2=|author3=|author4=|author5=|author6=|author7=|author8=|author9=}}</ref>
 
現に例えば最近では愛知県警など可搬式取締装置での取締りにおいて予告看板を設置せず行なっており、その旨をウェブサイト上で公開している。<ref>[https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/ko-shidou/documents/sintorisimarisouti.pdf 可搬式速度違反自動取締装置の運用を開始します!](PDF:1,231KB)</ref>可搬式取締装置の運用開始1ヶ月以後は予告看板を設置せず取締りを行うことについて愛知県警と検察庁で協議し、検察庁から承諾を得ているとのこと。<ref>{{Cite book|author=月刊交通|title=41頁|date=2018年7月号|year=|accessdate=2018年10月8日|publisher=東京法令出版|author2=|author3=|author4=|author5=|author6=|author7=|author8=|author9=}}</ref>
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標識の色は基本的に青色だが、都道府県により異なる場合がある。また、[[在日米軍]]関係車両の通行が多い[[沖縄県]]では、{{en|SPEED CHECK}} または {{en|SPEED CHECKED}} と併記されている。
 
Hシステムなどは、取締装置の手前に別に速度検知器と速度警告板を設置してある場合がある。これは5&nbsp;km/h以上の速度超過で「速度落とせ」のランプが点灯するもので、さらに片側2車線以上の道路では当該車両が走行している車線を示す矢印も点灯する。
 
取締装置は非常に高価な機器であり、維持管理費を除いた設置時の初期費用は、1台で約5千万円以上かかるため、フィルム式の古い機器の更新や故障への対応が、遅々として進まないことが問題となっている<ref name="sankei">{{Cite news |title= 壊れたまま・設置場所バレバレ…オービス役立たず スピード違反摘発減少|newspaper= [[産経ニュース]]WEST |publisher=[[産経新聞社]] |date= 2013-09-21| author= | url= http://www.sankei.com/west/news/130921/wst1309210028-n1.html | accessdate=2015-10-12}}</ref>。
 
アメリカ合衆国では、[[交通違反]]の取締に反発する人々から、[[銃]]で撃ち壊される事件が多発したが、現在では各州で自動速度取締装置設置に必要な法整備がなされ、多くの道路に設置されている。
 
日本の取締装置も、破壊攻撃を受けることを前提に設計されている。以前に、取締装置に穴をあけて[[ガソリン]]を流し込んだ上、[[放火]]される事件があったが、映像を記録する部分は無傷であった。他にも[[神戸市]][[長田区]]の[[国道2号]]に設置してあった撮影部(カメラ部分)を何者かに持ち去られる事件もあった。<!--なお過去はフィルムに撮影したものを後日警官が回収していたが、現在はすべて撮影と同時に電送されてしまうため、取締装置を破壊しても映像は破棄されない。-->
 
== 歴史 ==
[[オランダ]]のラリードライバーであるモーリス・ガッツォニデスが、コーナリング技術の向上のために「ガッツォ」というカメラを開発したのがスピードカメラの起源であり、取締装置も同じ技術を利用して作られている。
 
日本における取締装置は、[[1976年]]に[[アメリカ合衆国|アメリカ]]から "ORBIS III" を[[東京航空計器]]が輸入販売したのが始まりで<ref>{{cite news | author = | url = http://www.asahi.com/car/news/OSK201106040029.html | title = にらむオービス、実は… フィルム式、デジタル化進まず | newspaper = 朝日新聞デジタル | publisher = 朝日新聞社 | date = 2011-06-04 | accessdate = 2017-09-21 }}</ref>、その後松下通信工業(現[[パナソニック モバイルコミュニケーションズ]])(VT-1510)、[[三菱電機]] (RS-701) などで生産されていたが、装置製造から撤退している。
 
現在、日本国内では[[オービス]]をライセンス生産していた[[東京航空計器]]の[[オービス]]だけが製造販売している。なお、「[[オービス]]」はこの分野に限り<ref group="脚注">「[[オービス]]」は別分野で複数の企業が商標登録している。</ref>[[東京航空計器]]株式会社の[[登録商標]](日本第1442534号・第1476539号)である。
 
なお、スウェーデンのSensys社も国内で固定式(SWSS)および可搬式(MSSS)取締装置を販売しており、東京航空計器の独占状態ではない<ref>{{ cite journal | author = 東新宿交通取締情報局 | url = https://motor-fan.jp/article/10002181 | title = 開発者インタビュー!  国内導入のスウェーデン製新型オービスは、国産の性能を凌駕する!?【交通取締情報】 | publisher = MotorFan | date = 2018-01-01 }}</ref><ref name="gijirokup11">{{ cite conference | author = 警察庁 | url = https://www.npa.go.jp/policies/budget/review/h29/H29_gijiroku.pdf | title = 平成29年 警察庁行政事業レビュー公開プロセス 議事録 | page = 11 | date = 2017-06-20 }}</ref>。
 
== 種類と特徴 ==
; レーダー式オービス
: [[ドップラー・レーダー]]を利用して車両の速度を測定する方式オービス。[[自動車]]に対して[[マイクロ波]]を照射し、反射した[[電波]]の[[電波の周波数による分類|周波数]]から速度を計算する。[[電波法]]令上の[[無線標定陸上局]]であり、操作またはその監督に[[無線従事者]]を要する<ref name="h2mpt240" group="脚注">[[電波法施行規則]]第33条第6号(5)に基づく平成2年郵政省告示第240号第1項第4号および第5号により、警察用の無線標定陸上局と無線標定移動局の操作は、'''無線従事者を必要としない「簡易な操作」ではない'''ため。</ref>。中央分離帯、または路肩に撮影装置が、その10&nbsp;[[メートル|m]]ほど前方の道路上にレーダーのアンテナが設置されている。防犯上、撮影装置は金網で囲まれているのがほとんどである。
: なお、臨時に速度超過違反の取締りを行うため、警察官がスピード測定器でレーダーを操作する移動可搬型もある(後述)。
:* この撮影装置内に交換式の[[写真フィルム]]が装填されているが、所定の枚数を撮影し終わってもなお写真フィルムが交換されない場合、違反の事実がフィルムに収められないケースが出てくる。その結果として違反通知が来ないケースがある。
:* [[2000年代]]以降、警察予算の都合のため[[デジタルカメラ]]化による更新が遅れ、故障していても交換部品が無いため修理を行えず、測定装置が放置されたまま、速度測定や記録がされていない筐体もある<ref name="sankei" />。
:* 雨天時や車間距離が詰まっている場合など、反射波の受信が困難となり、まれに誤測定をすること、常に電波を発射しているためレーダー探知機に検知され、容易に発見されてしまうことが欠点とされる<!--([[セルスター工業|ASSURA]]のレーダー探知機は「オービス」と呼んでいる)-->。
; ループコイル式オービス
: 速度の測定にループコイルを使用するオービス。道路下5&nbsp;[[センチメートル|cm]]の所に6.9&nbsp;mの間隔を空けて3個のループコイルが埋め込まれている。車両は金属製であるため、車両がループコイルに接近するとループコイルの[[インダクタンス]]が変化する。これを利用して車両の通過時間と距離 (6.9&nbsp;m) から速度を計算する。誤検挙を避けるためループコイル3つで2回の測定を行い、その結果に大きな差がある場合は「異常」として撮影は行われない。撮影装置はレーダー式オービスと同様であり、撮影地点には白線や路面の切り欠き溝、あるいは逆三角の金属プレートがはめ込まれていることが多い。
:* 受動的な速度測定方式のためレーダー式探知機には発見されない。ただし位置情報サービスを利用する探知機の場合、その限りではない。
:* 積雪によりコイルと車両とが離れることでインダクタンスの変化が少なくなり車両の通過を検出できなくなる短所があるため、豪雪地域ではあまり見られない。
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:: 最近は[[首都高速道路]]を中心にデジタルカメラ化されており、写真フィルム切れがなくなった([[セルスター工業|ASSURA]]のレーダー探知機では首都高のデジタル化オービスはLHシステムと区別される)。
; Hシステム
: 最も多く設置されている取締装置で、正式名称は「高速走行抑止システム」。「高速='''H'''igh speed」からHシステムと名付けられた。主に三菱電機が製造したレーダー測定のもので「電子画像撮影・伝送方式」と呼ばれ、撮影装置内部に写真フィルムを装填するものではなく、デジタルカメラで撮影したデジタルデータを、直ちに有線通信回線を通じて管理センターに伝送する。そのため従来型の欠点であった写真フィルム切れは無くなった。事前に警告を行う電光掲示板が設置されており、速度違反車両を検知すると「速度落とせ」等の警告を行う<ref name="H-system">{{ Cite journal | url = https://motor-fan.jp/article/10001378 | title = 設置数NO.1オービス、Hシステムの脅威を知る!【交通取締情報】 | date = 2017-10-19 | publisher=MotorFan }}</ref>。
: 導入初期に[[阪神高速道路]]に多く設置されたことから、阪神高速の頭文字 ('''H'''ANSHIN EXPRESSWAY) を取ってHシステムと呼ばれてい。[[1992年]]に登場した2代目(高速走行抑止システム)は、[[CCDイメージセンサ|CCD]]カメラ、赤外線ストロボ、通称「[[半片|はんぺん]]」と呼ばれる、白くて四角い[[レドーム]]が備えられている。2017年(平成29年)から、各地で撤去されるケースが多くなった<ref name="H-system" />
; LHシステム
: [[1994年]]から登場したもので、「ループコイル式H高速走行抑止システム」という<ref>{{ Cite journal | url = https://motor-fan.jp/article/10000826 | title = 史上最強定置式オービス、LHシステムの怖さを科学する!【交通取締情報】 | date = 2017-08-25 | publisher=MotorFan }}</ref>。Hシステムが速度計測にレーダーを使うのに対し、LHシステムは地中に埋められたループコイルを利用する。ループコイル式同様、撮影地点に白線が引かれていることが多い。カメラ筐体部の仕様はHシステムとほぼ同じだが、レーダーを備えていないため、[[自動車ナンバー自動読取装置|Nシステム]]や[[旅行時間測定システム|Tシステム]]と判別がつきにくく、トンネル内に設置されている場所もある。名称の「L」はループコイルの頭文字('''L'''OOP COIL)から。
; Sensys SWSS(Speed Warning Safety System)
: 速度の取り締まりよりも速度の抑制を目的とした取締装置。速度違反の車両をレーダーで感知すると、正面のLEDによる発光で運転手に警告を行うと同時に、下部LED及びスピーカーで周囲の歩行者などに注意喚起を行い<ref>{{ cite | author = 警察庁 | url = https://www.npa.go.jp/policies/budget/review/h29/sokudo_siryou.pdf | title = 平成29年度警察庁公開プロセス 参考資料 速度違反自動取締装置について | page=14 }}</ref>、撮影地点で速度を超過していた場合に撮影を行う。事前の警告看板は1枚のみ設置されている<ref name="bestcar" />。小型のため、住宅街など広い設置場所を取締りスペースの確保できが困難い地点生活道路にも設置可能。可搬式や半可搬式取締装置と同時期に登場したことから「新型固定式」と呼ばれることもある。
; 光電管式
: ループコイルの代わりに光源と[[光電管]]を設置し(または光源と光電管を隣り合わせて設置、対向に反射板を設置し)、車両が通過する時間で速度を測定する方式。レンズの汚れに光学センサーが弱いことと、複数車線での取締が困難であることから、常設型の道路設置での普及はしなかったが、臨時に速度違反を実施する持ち運び可能な、可搬移動式[[スピード測定器]]では活躍している。光電管は電波を発射せず、しかも場所が固定されていないため、事前の探知は不能である。
; 移動式
[[File:SpeedTrapRevenueVan.JPG|thumb|移動式自動速度違反取締装置(イギリス)]]
: [[パトロールカー]]([[覆面パトカー]]も含まれる)に搭載しているものや、警察車両(ワゴン車が多い)に積載・搬送し、ジャッキアップして車両を固定し、車体のブレを無くした上で測定する。取締には2人以上の警察官が乗っており、大半はレーダー式だが、警察車両に積載・搬送して設置するタイプに、光電管式のものが増えつつある。
: なおこれとは別に簡易に設置・撤去できるものを移動式と呼ぶことがある。
; 可搬式
[[File:Multanova Speed Camera.JPG|thumb|可搬式自動速度違反取締装置(オーストラリア)]]
: [[2016年]](平成28年)4月からは「可搬式速度違反自動取り締まり装置」の運用が始まり、今まで設置が難しかった生活道路や路地など、狭い道路に小型化した取締装置を設置したり<ref>{{Cite magazine|url=https://motor-fan.jp/article/10001845|title=生活道路対応の新型固定式オービスの増殖は2018年度以降!?【交通取締情報】|date=2017-11-30|magazine=[[モーターファン]]|accessdate=2017-12-30}}</ref>、三脚の上に速度測定装置とデジタルカメラを設置して、速度違反車両を記録し、後日運転手を呼び出すタイプが導入されている<ref>{{cite news | author = 田中恭太 | url = http://www.asahi.com/articles/ASK6Z2WB0K6ZOIPE002.html | title = 生活道路でも速度違反監視 小型オービス、効果あり? | newspaper = [[朝日新聞デジタル]] | publisher = [[朝日新聞社]] | date = 2017-07-16 | accessdate = 2017-09-21 }}</ref>。
: Sensys製と東京航空計器製がある。
 
:* レーダーを利用する移動式および可搬式取締装置は電波法令上の[[無線標定移動局]]であるため、操作またはその監督に第二級[[陸上特殊無線技士]]以上の[[無線従事者]]を要する<ref name="h2mpt240" group="脚注"/>。最近は走行しながら反対車線の車両に対して、速度計測・撮影をするものも出始めている。
; 半可搬式
: 可搬式取締装置に台座を取り付けたもので、バッテリー駆動で一定期間取り締まりを行う。固定式と同様の機能を持つが、トラックなどで定期的に移動させることができる<ref name="gijirokup11" />
 
== 問題点 ==
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* たとえ速度違反者といえども、警察による容貌の無断撮影は[[プライバシー権]]([[肖像権]])の侵害である可能性がある。
* 助手席に同乗している者の写真も撮影されるため、違反行為とは全く無関係な第三者のプライバシー権も侵害される可能性がある。
* 取締装置が反応した現場に警察官はいない。違反者は後日呼び出しはがきの送達を受け、警察署に出頭したときに初めて弁明の機会が与えられることになるため、その場に警察官がいる取締方法に比べ、被疑者の防禦権が著しく制限される。
 
なお、「(違反者、同乗者の)プライバシー権の侵害である」という問題については、1969年([[昭和]]44年)12月24日の[[最高裁判所 (日本)|最高裁判所]][[大法廷]]判決<ref>{{PDFlink|[http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/765/051765_hanrei.pdf <!-- accessdate=2017-12-30 -->いわゆる「[[京都府学連事件]]」判例]}}</ref>を踏まえ、「犯罪が現に行われ」「証拠を確保する必要性および緊急性があり」「方法が合理的である」という「三条件を満たすことような場合」により、警察官による容貌の撮影が許容されるとされており、取締装置による撮影も同様の基準で審査に許容される。そのため、自動速度違反取締装置や[[信号無視監視]]による取り締まり、[[最高速度]]超過や[[信号無視]]という「犯罪が現に行われており<ref group="脚注">[[交通反則通告制度]]を利用し、反則金を納付した場合、刑事罰を受けることはないが、犯罪であることには変わりはない。</ref>」、直ちに撮影しなければ現場を走り去ってしまうため「証拠保全の必要性および緊急性があり」、「合理的な方法」による撮影であるから、これら「三条件」を満たすよう設置されており、1986年2月14日最高裁判所第二[[小法廷]]判決<ref>{{PDFlink|[http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/309/050309_hanrei.pdf <!-- accessdate=2017-12-30 -->昭和59年(あ)第1025号道路交通法違反被告事件判例]}}(刑集40巻1号48頁・判時1186号149頁)</ref>以後、一貫して取締機による写真撮影は違憲ではないとされ、プライバシー権侵害を認定した判例はない。
 
=== 自動速度違反取締装置での取締り件数の減少 ===
* 自動速度違反取締装置での交通違反の取締り件数が、[[2013年]]現在での過去5年間で20[[パーセント]]以上減少していることが、[[産経新聞]]の指摘により判明した。フィルムを使用した旧式のまま更新が行われていないケースや、高額な修理予算が捻出できずに故障したまま放置されているケースが散見されているとされる。また、速度取締装置の設置場所を知らせる[[カーナビゲーション|カーナビ]][[アプリケーションソフトウェア|アプリ]]の普及もあり、速度取締装置が事実上役に立たなくなってきているとの指摘もある<ref name="sankei"/>。
 
== 世界各国の自動速度取締機 ==
=== アメリカ ===
=== イギリス ===
[[File:SPECS speed cameras M1 south J11 - J10 roadworks.jpg|thumb|平均速度監視システムSPECS]]
通常の取締装置の他に、SPECSと呼ばれる2組のナンバープレート読み取り装置を利用し、車両の2点間の移動時間と距離から速度を測定し、速度の取り締まりを行う平均速度監視カメラが多数設置されている。この装置は、取締装置付近で減速し、すぐに加速されてしまう従来の自動速度取締装置よりも長期にわたって制限速度を遵守させるという点で優れているとの主張がある<ref>{{ cite web | url = http://www.om.nl/onderwerpen/verkeer/veelgestelde_vragen/trajectcontrole/ | title = Frequently Asked Question over Trajectcontrole | language = Dutch | publisher = Dutch Attorney General | accessdate = 2012-01-24 }}</ref>。
 
=== スイス ===
[[スイス]]国内の自動速度取締装置は、警察官の手によってスイス名物([[チーズ]]、[[ウシ|牛]]柄、[[時計]]、[[アーミーナイフ]])の柄や形状にデコレーションされたものが数多く設置されている。
 
スイスでは、自動速度取締装置の位置を知らせる装置は固く禁じられている<ref>{{cite web|url=http://www.20min.ch/news/schweiz/story/21702788 |title=Radarwarner: Bundesgericht kennt keine Gnade |publisher=20min.ch |accessdate=24 May 2012}}</ref>。ナビゲーション機器のソフトウェアに固定速度取締装置の位置が含まれていると、機器が押収され破壊される可能性がある。これは、携帯電話や携帯機器のアプリケーションにも適用される。
 
=== ドイツ ===
[[ドイツ]]にも日本とほぼ同じ自動速度取締装置が多数設置されているが、信号無視を検知する「[[信号無視抑止システム|自動信号無視取締機]]」が都市部を中心に設置が進められている。赤信号にもかかわらず交差点に進入すると、取締装置が信号標示と車両の前部・後部を自動的に撮影する仕組である。二輪車の違反にも対応している。
 
=== フランス ===
[[File:Panneau radar.jpg|thumb|right|160px|フランスの事前警告標識]]
[[プライバシー権]]など、多くの人権問題を惹起しかねない取締方法である自動速度取締装置({{fr|radar automatique}})に対し、当初[[フランス]]国民の反発が非常に高いものであったため、設置はほとんどなかった。
 
しかし[[2000年]]以後、警察が交通違反に対する取締を相当強化したことにも伴い(今でもフランスは交通事故多発国として[[ヨーロッパ]]圏内では悪評高く、啓蒙のためフランスでは、日々のテレビ[[ニュース番組]]で「今週の交通事故死亡者数」が定期的に報じられる)、パトカーや白バイ隊による追跡、検挙のみならず取締装置設置数は急増した。
 
事前警告標識が必ず存在し、その標識には {{fr|Pour votre securité...contrôles automatiques}}(あなたの安全のため―自動取締中)の文字、およびレーダーが発信される様子が描かれた[[ピクトグラム]]が表示されている。撮影域速度はまちまちだが、市街地区域では50&nbsp;km/h、高速道路では110&nbsp;km/hで作動するものが多い。[[レーダー探知機]]は、作動させていた場合はもちろん、所持だけでも検挙の対象となり、厳罰に処されるため、[[欧州連合]]から車両を持ち込む際などは特に注意を要する。
 
== 脚注 ==
{{Reflist|group="脚注"}}
 
== 出典 ==
{{reflist}}