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=== 発生 ===
[[発生]]の過程において、[[外胚葉]]や[[内胚葉]]といった胚葉の形成は起こらない。また、多細胞でありながら明瞭な器官の分化が見られない。このため、海綿動物門および[[平板動物]]門(同様に組織の分化が見られない)は[[側生動物]] Parazoa として、器官系が分化したその他の動物である真正[[後生動物]] Eumetazoa とは区別されている。襟細胞が襟に囲まれた鞭毛をもつことから、[[単細胞生物]]の[[襟鞭毛虫]](えりべんもうちゅう)と海綿動物との類似性が古くから指摘されてきた。このことから、以前は海綿動物は襟鞭毛虫の群体から派生したもので、多細胞動物とは系統が異なるものではないかとも言われたこともある。しかしながら、海綿動物には[[ホメオボックス]]遺伝子、TGB-β遺伝子など、多細胞生物としての分化、発生に関わる[[遺伝子]]群が既に存在していることが明らかになってきており、他の多細胞動物との差はそう大きなものではないとの証拠も挙がっている。
 
=== 後生動物との系統関係 ===
先述のように、従来はこの群が他の[[後生動物]]とは別の系統に属するとの説があった。しかし[[分子系統学]]等の情報から、多細胞動物は襟鞭毛虫の群体が起源であると考えられるようになり、海綿動物は最も原始的な多細胞動物であるという説があらためて提示されている。したがって、動物は総て祖先を共有する[[単系統群]]であると考えられている。
 
しかしながら、最古の多細胞動物の[[化石]]である[[エディアカラ生物群]]からは[[刺胞動物]]によく似た生物が見つかっていることから、 刺胞動物の幼生に類似した単細胞生物の[[繊毛虫]]のようなものが多細胞動物の起源であるという考えも残っている([[繊毛虫類起源説]]、ciliate theory)。<!-- この場合、多細胞動物は異なる2系統の祖先を持つことになる。-->
 
いずれにせよ、多細胞動物としては破格に組織器官が単純であり、その進化のごく初期に分化した原始的なものであるとの定見がある。しかし、海の底生生物としては非常に成功している動物群でもある<ref>Vacelet(1999)p.46</ref>。