「グレコ (ブドウ)」の版間の差分

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| notable_wines = グレコ・ディ・トゥーフォ DOCG
| vivc_number=4970}}
'''グレコ''' (Greco) とは、ギリシャが起源ではないかといわれている、一連の[[イタリアワイン|イタリア]]の[[ワイン用ブドウ品種の一覧|ワイン用ブドウ品種]]である。この呼称は白ブドウ品種 (グレコ・ディ・トゥーフォ (Greco di Tufo) やグレコ・ビアンコ (Greco bianco) など) にも黒ブドウ品種 (グレコ・ネロ (Greco nero) ) にも用いられている。グレコ・ネロの栽培に用いられている面積のほうが大きいが、「グレコ」の呼び名が指すものとしてもっとも一般的なのは、白ブドウ品種のほうである。グレコ種は、[[カンパニア州|カンパーニャ州]]では[[デノミナツィオーネ・ディ・オリージネ・コントロッラータ・エ・ガランティータ|保証つき統制原産地呼称]] (D.O.C.G.) 認定ワインであるグレコ・ディ・トゥーフォ (Greco di Tufo) の生産に用いられている。[[カラブリア州]]では、グレコ・ビアンコ種が[[デノミナツィオーネ・ディ・オリージネ・コントロッラータ|原産地統制呼称]] (D.O.C.) 認定ワインであるグレコ・ディ・ビアンコ (Greco di Bianco) の生産に用いられている (ただし「グレコ・ディ・ビアンコ」と呼ばれる品種は[[マルヴァジーア|マルヴァジーア・デッレ・リーパリ]]と同一種であり、グレコ・ビアンコと混同されがちだが別物である<ref>{{Cite book|和書|author=中川原まゆみ|title=土着品種で知るイタリアワイン|edition=ハードバック改訂版|date=2014.7.1|year=|accessdate=|publisher=ガイアブックス|isbn=978-4-88282-908-9|pagepages=89頁;,109|author2=|author3=|author4=|author5=|author6=|author7=|author8=|author9=}}</ref>) 。時として「グレコ」という名称は、ギリシャが起源だと考えられている複数の品種––––もっとも有名なものでは[[トレッビアーノ]]など––––の別名として用いられることがある<ref name="Robinson pg 112">J. Robinson ''Jancis Robinson's Wine Course'' Third Edition pg 112 Abbeville Press 2003 {{ISBN2|0-7892-0883-0}}</ref>。
 
==歴史==
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===近年において判明したこと===
{{See also|グレコ (ブドウ)#アスプリーニョ・ビアンコ}}
21世紀初頭に行なわれた[[DNA型鑑定]]の結果、イタリアにおいて「グレコ」の名で栽培されているものは、遺伝子的にアスプリーニョと同一であることが確認された<ref name="Oxford pg 326">J. Robinson (ed) ''"The Oxford Companion to Wine"'' Third Edition pg 326 Oxford University Press 2006 {{ISBN2|0-19-860990-6}}</ref><ref>{{cite journal|last1=COSTANTINI|first1=L.|last2=MONACO|first2=A.|last3=VOUILLAMOZ|first3=J.F.|last4=FORLANI|first4=M.|last5=GRANDO|first5=M.S.|title=Genetic relationships among local Vitis vinifera cultivars from Campania (Italy)|journal=Vitis|date=2005|volume=44|pages=25–34|url=http://www.vitis-vea.de/admin/volltext/e050431.pdf|accessdate=27 November 2016}}</ref>。
 
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グレコがもっとも広く見受けられるのはイタリア南部で、いくつかの[[デノミナツィオーネ・ディ・オリージネ・コントロッラータ|D.O.C.]]認定ワインの主要品種になっている。2006年の時点での栽培面積は1,000ヘクタール (2,500エーカー) にのぼる。カラブリア州では、枝変わり種のグレコ・ビアンコ (Greco bianco) が甘口の[[デザートワイン]]であるグレコ・ディ・ビアンコ (Greco di Bianco) を作るのに使用されており、収穫後半乾燥させたブドウから一部[[デザートワイン#ストローワイン|パッシート]]方式を用いて製造される。[[カプリ島]]では、グレコは通常{{仮リンク|ビアンコレッラ|en|Biancolella}}や{{仮リンク|ファランギーナ|en|Falanghina}}とブレンドされ、辛口のワインを作る。プッリャ州では、グラヴィーナ DOC (Gravina DOC) のブレンドに使用することが許されている。カンパーニャ州では、[[アヴェッリーノ県]][[トゥーフォ]]の町周辺で生産されるD.O.C.G.認定ワイン、グレコ・ディ・トゥーフォ (Greco di Tufo) の主要品種となっている<ref name="Oxford pg 326"/>。また、[[ヴェスヴィオ|ヴェスヴィオ山]]の斜面で生産されている{{仮リンク|ラクリマ・クリスティ (ワイン)|en|Lacryma Christi|label=ラクリマ・クリスティ}}にブレンドすることも認められている<ref name="Robinson pg 242"/>。
 
=== アスプリーニョ・ビアンコ ===
===D.O.C.G.認定地域===
[[File:Vendanges sur hautain DOC Aversa Asprinio.jpg|thumb|アヴェルサ DOCにおけるアスプリーニョの収穫の様子。収穫には熟練した作業員があたる。|代替文=]]
以前はグレコとアスプリーニョは別の品種と考えられていたが、2000年にDNA型鑑定によって遺伝子的に同一種であると判明した。しかしながら、果房の形状が異なる (前者は円錐形で岐肩が目立つほど大きく、後者は長円筒形で岐肩は目立たないことがある) だけでなく、栽培法にも両者の違いが見られる。特にアスプリーニョの伝統的な仕立て方であるアルベラータは、高さ30メートルに及ぶ[[カシ|樫]]の高木を支柱として、カーテン状に枝を這わせるものである。収穫は細い木製のはしごを架けて行なうため、危険が伴う<ref>{{Cite book|和書|author=中川原まゆみ|title=土着品種で知るイタリアワイン|edition=ハードバック改訂版|date=2014年7月1日|year=|accessdate=|publisher=ガイアブックス|isbn=978-4-88282-908-9|pages=85-86,288|author2=|author3=|author4=|author5=|author6=|author7=|author8=|author9=}}</ref>。
 
===D.O.C.G.およびD.O.C.認定地域===
グレコが主体となっているD.O.C.G.認定地域は2つであるが、ブレンドの一部として認められているD.O.C.認定地域であれば、イタリア南部にいくつか存在する。カンパーニャ州のグレコ・ディ・トゥーフォ DOCGはフィアーノ ・ディ・アヴェッリーノ DOCG (Fiano di Avellino DOCG) の北側に位置し、トゥーフォの町のほか丘陵地にある7つのコムーネを含む。この地域は2003年にD.O.C.G.に昇格した。グレコ・ディ・トゥーフォの広さはフィアーノ ・ディ・アヴェッリーノの3分の1にすぎないが、D.O.C./G.認定の高品質ワインの生産量はカンパーニャ州で最大である。この地域の{{仮リンク|ブドウ畑の土壌一覧|en|List of vineyard soil types|label=ブドウ畑の土壌}}は、[[火山灰]]から形成された[[凝灰岩]] ({{lang-it|'''tufo'''}}) が元となっており、[[トゥーフォ]] (Tufo) という町名もそこからとられている。同地域のすべてのD.O.C.G.認定ワインは85%以上がグレコでなければならず、ブレンドの残りの部分はたいてい{{仮リンク|コーダ・ディ・ヴォルペ|en|Coda di Volpe}}が占める。{{仮リンク|マスター・オブ・ワイン|en|Master of Wine}}の{{仮リンク|メアリー・ユーイング=マリガン|en|Mary Ewing-Mulligan}}によると、グレコ・ディ・トゥーフォのワインは通常収穫年から3、4年後に飲み頃を迎え、優に10年から12年は熟成を続けるだけの力があるという<ref name="Dummies pg 209-210, 230">M. Ewing-Mulligan & E. McCarthy ''Italian Wines for Dummies'' pg 209-210, 230 Hungry Minds 2001 {{ISBN2|0-7645-5355-0}}</ref>。発泡性である[[スパークリングワイン#イタリア|スプマンテ]]の製法も認められている<ref name="Saunders pg 128-216">P. Saunders ''Wine Label Language'' pg 128-216 Firefly Books 2004 {{ISBN2|1-55297-720-X}}</ref>。
 
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[[File:Malvasia.jpg|thumb|グレコは[[マルヴァジーア]] (画像)とブレンドされることが多い。|代替文=]]
グレコ (およびグレコ・ビアンコ) の使用が認められているその他のD.O.C.認定地域は以下の通りである<ref name="Saunders pg 128-216"/>。
*アヴェルサ DOC (Aversa DOC) - カンパーニャ州[[カゼルタ県]]南部の[[アヴェルサ]]を中心とし、一部[[ナポリ県]]北部までを含むワイン生産地域。白ワインおよび強い酸味を生かしたスプマンテが生産されている。前者はアスプリーニョを85%以上、後者は100%使用しなければいけない。
*ビヴォンジ DOC (Bivongi DOC) - カラブリア州の{{仮リンク|コンソリーノ山|en|Mount Consolino}}の斜面、{{仮リンク|スティラーロ川|en|Stilaro}}沿岸に位置するワイン生産地域。ビヴォンジの白ワインにおいて、グレコはグアルダヴァッレ、{{仮リンク|モントニコ・ビアンコ|en|Montonico bianco}}、[[マルヴァジーア|マルヴァジーア・ビアンカ]]、{{仮リンク|アンソニカ|en|Ansonica|label=アンソニカ/インツォリア}}とならんでブレンドの30-50%を占めることがある。
*カプリ DOC (Capri DOC) - カンパーニャ州のカプリ島に位置するワイン生産地域。ファランギーナおよびビアンコレッラとならんでグレコはブレンドの50%まで使用することが認められている (ビアンコレッラは20%まで) 。