「文化大革命」の版間の差分

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[[谷川真一]]([[神戸大学]])の話によると、欧米の現代中国研究は文革を契機に[[近代化論]]や[[全体主義体制|全体主義モデル]]など[[システム論]]的な研究から、利益集団政治と制度論、集合行為などの理論を用いて中国問題の解明を経て[[パラダイムシフト]]を遂げたが、日本の文革研究者(或いは現代中国研究者)は、「文革に関する問い」を共有しておらず、独自の文革論を展開しているため、このような欧米の学問発展に無関心であり、その結果、学問的な理論を軽視したが故に無理論化し、日本の文革研究の停滞をもたらした、と指摘している<ref>『[[中央公論]]』2016年12月号、[[中央公論新社]]、p165、[[楊海英]]「日本は文化大革命50周年をどう論じたか」</ref>。
 
[[楊海英]]によると、日本のテレビ局スタッフが楊海英のもとを訪ねて来て文革の番組ができないか話し合ったという。その席で、文革の被害者が最も多かったのは内モンゴル自治区と広西チワン族自治区であったことなどの世界の最新の研究成果を伝えたが、そのテレビ局はこれらの事実に目を向けることなく番組を作ることとなり、[[ディレクター]]は「中国人が嫌がるような、日中友好の障害となりそうな番組は作らないほうがいい」と社内外の意見に押された結果だと嘆いたという。これについて楊海英は、{{Quotation|『嫌がる中国人』とは誰のことか。文革の被害者数については諸説あるが、1000万人に上るという政府高官の見解が中国国民に共有されている。この膨大な数の被害者家族らは真相の解明を嫌がるどころか、期待している。だが共産党政権は彼らを抑圧し実態解明を嫌がり、その結果真相解明がなされず和解も進まず、ない。内モンゴル自治区での文革により、モンゴル人は「日本のスパイ」「協力者」として殺害されたが、日中友好を掲げる日本人は、日中友好の妨げとなる新たな歴史認識問題に飛び火する危険性がある為、中国が満州やモンゴルを植民地化してきたことへの言及は避けなければならず、なくなる。中国国民の真相解明への期待を直視することなく、習近平が嫌がる動きを自粛し、抑圧され続けている中国人が覚醒しても日本人は中国を客体化できていないから、文革が歴史にならない}}と批判している<ref name="中央公論2"/>。また楊海英は、過去に文革を称賛した者や日中友好を[[宗教]]のように信奉する人たちを、日本では[[左派]]や[[進歩的知識人]]と表現するが、「彼らは普段、人権や正義を看板として掲げている。だが文革に関する実証研究に不熱心である事実を見ると、彼らこそが歴史を反省しようとしない修正主義者だ、と指摘しておかねばならない」「日本はまさに思想や[[イデオロギー]]の面から中国を直視できない」「自縄自縛の歴史観と狭隘な文革感」と批判している<ref name="中央公論2">『[[中央公論]]』2016年12月号、[[中央公論新社]]、p167-p168、[[楊海英]]「日本は文化大革命50周年をどう論じたか」</ref>。
 
=== 後の中国共産党の対応 ===