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[[五蘊]]・[[十二処]]・[[十八界]]という部類分けは、いずれも[[阿含]]以来のものであるが、さらに[[説一切有部]]の「五位」の範疇が加わって、[[法 (仏教)|法]]の体系は一段と整備される。これは蘊・処・界の部類分けの中で、[[行]]蘊や{{linktext|法処}}・{{linktext|法界}}の部分をいっそうこまかに考察した結果である{{sfn|櫻部・上山|2006|p=67}}。説一切有部の論が記された『[[倶舎論]]』では、色法11・心法1・心所法46・心不相応行法14・無為法3の75種('''[[五位七十五法]]''')と成す。
 
*'''[[有為]]法'''(ういほう、{{lang-sa-short|saṃskṛta dharma}}、サンスクリタ・ダルマ)(72)
**'''[[色 (仏教)|色]]法'''(しきほう、{{lang-sa-short|rūpa dharma}}、ルーパ・ダルマ<ref name="デジタル大辞泉_色法">[https://kotobank.jp/word/%E5%BF%83%E6%B3%95-82547 「色法」 - デジタル大辞泉]、小学館。</ref>)(11)
***'''{{linktext|眼}}'''(げん、{{lang-sa-short|cakṣus}}、<small>チャクシュス</small>) - 視覚能力もしくは視覚器官
***'''{{linktext|耳}}'''(に、{{lang-sa-short|śrotra}}、<small>シュロートラ</small>) - 聴覚能力もしくは聴覚器官
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***'''{{linktext|味}}'''(み、{{lang-sa-short|rasa}}、<small>ラサ</small>) - 味覚の対象
***'''{{linktext|触}}'''(そく、{{lang-sa-short|sparśa}}、<small>スパルシャ</small>) - 触覚の対象(以上を[[五境]]という(同上){{sfn|櫻部・上山|2006|p=索引頁「仏教基本語彙(1)~(10)」}}{{sfn|岩波仏教辞典|1989|p=851}}
***'''無表色'''(むひょうしき、{{lang-sa-short|avijñapti-rūpa}}、<small>アヴィジュニャプティ・ルーパ</small>)もしくは'''無表業'''(むひょうごう、{{lang-sa-short|avijñapti-karman}}、<small>アヴィジュニャプティ・カルマン</small>){{sfn|櫻部・上山|2006|p=索引頁「仏教基本語彙(9)」}} - 行為者の内面に潜み他から認知されないような行為{{sfn|櫻部・上山|2006|p=121}}。説一切有部の伝統的解釈によれば「悪もしくは善の行為を妨げる習性」で、具体的には律儀、不律儀、非律儀不律儀の三種であり、いわゆる「戒体」と同じものである{{sfn|青原|2017|p=847}}{{efn2|強力な善あるいは悪の行為が行われるとき(つまり業(身表業・語表業)が造られるとき)に、その業の余勢(表面から窺い知れない)が行為の終了後も行為者自身の上にとどまること{{sfn|櫻部・上山|2006|p=122}}とも理解されるが、明治大正期より、近代仏教学者において流行した解釈であり、文献学的な論証によって確立された解釈ではない{{sfn|青原|2017|p=844-843}}。}}。物質的存在でありながら五感覚器官のいずれの対象ともならない{{sfn|櫻部・上山|2006|p=67}}{{efn2|色蘊に属しながらしかも法処(法界)に含められる特別な法{{sfn|櫻部・上山|2006|p=121}}と説明されることもあるが、伝統的な教学では法処に分類しない<ref>松浦僧梁(注)『[http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818997/12?tocOpened=1 七十五法名目 : 冠註]』、1885年10月、法蔵館。</ref>。}}
**'''[[心 (仏教)|心]]法'''(しんぼう(、しんぽう){{lang-sa-short|citta dharma}}、チッタ・ダルマ)(1)
***'''[[心 (仏教)|心]] (識・意)'''(しん、{{lang-sa-short|citta}}、<small>チッタ</small>)
**'''[[心所]]法'''(しんじょほう、{{lang-sa-short|caitasika dharma}}、チャイタシカ・ダルマ)(46){{efn2|心所法の各梵名は次の典拠による。([http://www.horakuji.hello-net.info/treasures/sarvasthivadin_cetasika.htm 説一切有部の心所説 ―仏教における心の分析])}}
***'''大地法'''(だいじほう、{{lang-sa-short|mahābhūmika}}、<small>マハーブーミカ</small>)または遍大地法(へんだいじほう{{sfn|中村|2002|p=96}})(10) - 最も普遍的な心作用。
****'''受'''(じゅ、{{lang-sa-short|vedanā}}、<small>ヴェーダナー</small>) - 苦・楽・不苦不楽の感受([[五蘊]]の「受」に相当){{sfn|櫻部・上山|2006|p=112}}。
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****'''誑'''(おう、{{lang-sa-short|māyā}}、<small>マーヤー</small>) - 欺瞞。
****'''憍'''(きょう、{{lang-sa-short|mada}}、<small>マダ</small>) - 自己満足。おのれの性質を優れたものと考えて自己に執着する心のおごり。
***'''不定法'''(ふじょうほう、{{lang-sa-short|aniyata dharma)(8)dharma}})(8) - あるときは善心と、あるときは悪心と、あるときは無記心とあい伴うもの。
****'''悪作'''(おさ、あくさ、{{lang-sa-short|kaukṛtya}}、<small>カウクリティヤ</small>)- 過去の悪い行いに対してその誤ちを悔いる心作用。
****'''睡眠'''(すいめん、{{lang-sa-short|middha}}、<small>ミッダ</small>) - 心の鈍重さ。眠(みん)とも呼ぶ。
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****'''慢'''(まん、{{lang-sa-short|māna}}、<small>マーナ</small>) - 慢心。おのれは他より優れていると妄想して他人に対して誇りたがる心のおごり。
****'''疑'''(ぎ、{{lang-sa-short|vicikitsā}}、<small>ヴィチキッツァー</small>) - 「[[四諦]]」の真理に対してあれこれと思いまどうこと{{sfn|櫻部・上山|2006|p=111~116}}。
**'''心不相応行法'''(しんふそうおうぎょうほう、{{lang-sa-short|citta-viprayukta-saṃskāra dharma}}、チッタヴィプラユクタ・サンスカーラ・ダルマ)(14){{efn2|心不相応行法の各梵名は右の典拠による。[[村上明宏]]『[http://repo.komazawa-u.ac.jp/opac/repository/all/34509/rbb045-20-murakami.pdf 心不相応行法と無為法の関連性]』、駒澤大学仏教学部論集45 、2014年10月、p.388(127) )}}
***'''得'''(とく、{{lang-sa-short|prāpti}}、<small>プラープティ</small>)
***'''非得'''(ひとく、{{lang-sa-short|aprāpti}}、<small>アプラープティ</small>), '''凡夫性'''(ぼんぶしょう)<ref>[[村上明宏]]『[http://repo.komazawa-u.ac.jp/opac/repository/all/34509/rbb045-20-murakami.pdf 心不相応行法と無為法の関連性]』、駒澤大学仏教学部論集45 、2014年10月、p.388(127) </ref> - 聖道の非得。<ref>[[村上明宏]]『[http://repo.komazawa-u.ac.jp/opac/repository/all/34509/rbb045-20-murakami.pdf 心不相応行法と無為法の関連性]』、駒澤大学仏教学部論集45 、2014年10月、p.380(135) </ref>
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***'''句身'''(くしん、{{lang-sa-short|padakāya}}、<small>パダカーヤ</small>) - 名すなわち名辞、文すなわち音節に対して、まとまった意味を表しうる文章を意味する。句身とも呼ぶ。
***'''文身'''(もんしん、{{lang-sa-short|vyañjanakāya}}、<small>ヴャンジャナカーヤ</small>) - 名すなわち名辞、句すなわち文章に対して、音節を意味する。文身とも呼ぶ({{sfn|櫻部・上山|2006|p=P310~311、索引頁「仏教基本語彙(1)~(10)」}}{{sfn|櫻部|1981|p=89~94}}。
*'''[[無為 (仏教)|無為]]法'''(むいほう、{{lang-sa-short|asaṃskṛta dharma}}、アサンスクリタ・ダルマ)(3)
**'''虚空'''(こくう、{{lang-sa-short|ākāśa}}、<small>アーカーシャ</small>) - 物の存在する場所としての空間。
**'''択滅'''(ちゃくめつ、{{lang-sa-short|pratisaṃkhyānirodha}}、<small>プラティサンキヤーニローダ</small>) - 正しい知恵による煩悩の止滅。「択」とは[[法 (仏教)|法]]に対して正しい弁別判断をなす洞察力のこと。