「野良犬 (1949年の映画)」の版間の差分

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== あらすじ ==
 
ある猛暑の日、村上刑事は射撃訓練からの帰途のバス中で隣に立った女性に[[コルト・ベスト・ポケット|コルト式自動拳銃]]を掏られ、犯人を追うも見失ってしまう。拳銃の中には7発の銃弾がっていたため、事件が起きるのではないかと彼は焦り戸惑う。村上は上司の中島警部の助言で、スリ係の市川刑事に相談し、鑑識手口カードを調べるうちに女スリのお銀に目星を付ける。村上はお銀のもとを訪ねるも、彼女はシラを切るばかり。そこで村上は彼女を執拗に追い回し、拳銃がもう手元に無いなら、せめてヒントだけでもと懇願を続けた。とうとう観念したお銀は、場末の盛り場で食い詰めた風体でうろついているとピストル屋が袖を引くというヒントを与える。
 
ピストルを探すため[[復員兵]]姿で[[闇市]]を歩く村上は、ついにピストルの闇取引の現場を突き止め、ピストル屋のヒモの女を確保するが、先に女を捕まえたためピストルを渡しに来た売人の男に逃げられてしまう。そこへ[[淀橋]]で強盗傷害事件が発生し、その銃弾を調べると村上のコルトが使われたと分かった。責任を感じた村上は辞表を提出するが、中島警部はそれを引き裂き「君の不運は君のチャンスだ」と叱咤激励する。村上は淀橋署のベテラン刑事佐藤と組み捜査を行うことになった。
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村上と佐藤はピストル屋のヒモの女を聴取して、拳銃の闇ブローカー・本多の存在を突き止める。本多が野球好きだと知り、捜査陣は[[読売ジャイアンツ|巨人]]対[[福岡ソフトバンクホークス|南海]]戦が行われる[[後楽園球場]]に向かう。アイスキャンディー売りの男が本多を発見し、二人は場内放送で本多を正面玄関に呼び出して逮捕する。本多が保証として取り上げていた[[米穀配給通帳]]からピストルは遊佐という男の手元にあることが判明。二人は早速遊佐の実家の桶屋へ向かって彼の姉に会い、遊佐が復員のときに帰りの汽車で全財産のリュックを盗まれて、それが原因で道を踏み外したことを知る。また、実家の部屋から発見した便箋より、恋人のハルミの存在をつかむ。二人は[[ダンスホール]]を訪ね、そこで踊子をしているハルミを訪ねるが、多感な年頃の彼女は遊佐との関係には口を割らなかった。しかし村上はハルミに、自分も遊佐と同じく復員の際にリュックを盗まれた体験があると告げる、
 
ついに村上のコルトで強盗殺人事件が発生、夫が出張した留守宅の妻が犠牲となった。帰宅して死体を発見し、慟哭する夫に、捜査員たちはかける言葉を失い、犯人への憎しみ憤りを募らせる。まだピストルには弾が5発残っている。二人はハルミのアパートへ向かい、村上はハルミが遊佐について白状するのを待つ。佐藤は部屋にあった「あづまホテル」のマッチを手掛かりに単独で遊佐の姿を追い、彼が宿泊する弥生ホテルに辿り着く。佐藤はホテルのロビーからハルミ宅にいる村上に電話をかけようとするが、捜査の手が伸びてきたことに気付いた遊佐の凶弾に倒れてしまう。ハルミと村上は受話器越しに2発の銃声を聞き、村上は絶叫する。遊佐はそのまま雨が降る中を逃走した。
 
翌朝、警察病院で佐藤の回復を待つ村上の元にハルミがやって来て、遊佐が午前6時に大原駅(架空の駅){{Refnest|group="注釈"|大原駅のシーンは、[[西武池袋線]]の[[大泉学園駅]]で撮影された<ref>[[#小学館2011|小学館2011]]、p.14</ref>}}で待っていることを告げる。村上は駅へ駆け付け、待合室の人々の中から泥だらけの靴を履いた男、すなわち遊佐を探し出す。村上と目が合った遊佐は逃亡、それを追いかけ、雑木林の中で格闘を繰り広げる。1発の銃弾が村上の左腕を射抜き、残りの2発は外れ、弾丸はなくなった。力尽きた遊佐に村上は手錠をかける。罪を悔いてか、やるせない思いからか、遊佐は絶叫し、悶絶する。その側を登校する子供たちが「[[ちょうちょう (唱歌)#唱歌「蝶々」|蝶々]]」を歌いながら通っていくのだった。