「第一次ネオ・ジオン抗争」の版間の差分

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[[グリプス戦役]]に勝利したものの、[[エゥーゴ]]の損害は大きく、戦後の主導権を確立するには至らなかった。同戦役で艦隊を温存し、漁夫の利を得る形で主導権を握った[[アクシズ]]は名を「ネオ・ジオン」と改め、[[ザビ家]]再興を企て[[サイド (ガンダムシリーズ)#サイド3(ムンゾ)|サイド3]][[ジオン共和国]]を制圧し、戦いは第一次ネオ・ジオン抗争へと移っていく。ただ、アクシズもグリプス戦役では熟練将兵を多数喪失した<ref>TV版では[[百式 (ガンダムシリーズ)|百式]]のメガバズーカランチャーによる攻撃、劇場版では、同時に[[コロニーレーザー#グリプス2(機動戦士Ζガンダム、機動戦士ガンダムUC)|コロニーレーザー]]の試射が行われたことで喪失している。</ref>ため、経験不足の若手将校を中心とした急編成部隊を中心に作戦を進めざるを得なくなっていた。
 
連邦政府および連邦軍の対応は遅れ、各都市・コロニーは事実上孤立したうえにネオ・ジオンのみならずアフリカ解放戦線らさまざまな武装勢力が跳梁跋扈し、地球圏は戦時統制下の戦争状態よりもさらに悪化し、秩序そのものが崩壊した[[無政府状態]]に陥った。連邦軍主力が直接介入したのは主だった戦闘が終結した後であった<ref>エゥーゴ、ティターンズのしがらみが残る連邦軍にとって、軍内部の意志統一が最も優先順位の高い課題であった(『[[ガンダム・センチネル]]』)</ref>。
 
; 劇場版『機動戦士Ζガンダム』との繋がり
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=== 開戦 ===
グリプス戦役終了から7日後、宇宙世紀0088年2月29日、アクシズは[[ザビ家#ミネバ・ラオ・ザビ|ミネバ・ラオ・ザビ]]を戴き、新たなるジオン「ネオ・ジオン」を僭称。各コロニーへ進軍、制圧を開始する。彼らにとって最大の障害がパイロットの大半を喪失したといえ、いまだ健在であるエゥーゴの旗艦アーガマであった。アーガマ追討命令はハマーン・カーンに個人的忠誠心の強い'''[[マシュマー・セロ]]'''を指揮官とするムサイ級新造艦(新訳ZΖガンダムではアクシズの主力艦として既に実戦配備されていた模様)'''エンドラ'''隊に下される。[[カミーユ・ビダン]]の個人的事情([[精神疾患]])を知らないネオ・ジオンにとって彼と[[ZΖガンダム]]は戦局を一変させかねない力を持っているとみなされた。マシュマーはZΖガンダムの撃墜または鹵獲とアーガマ撃沈を当初の作戦目標とする。
 
雑誌企画『[[ガンダム・センチネル]]』では、このコロニー進軍前後(つまり宣戦布告前後)に地球連邦軍教導隊の一部将校が起こした「[[宇宙世紀#ペズンの反乱|ペズンの反乱]]」において、月のエアーズ市から脱出した[[ニューディサイズ]]を回収、保護して廃棄予定だった[[モビルアーマー]]、[[ネオ・ジオンの機動兵器#ゾディ・アック|ゾディ・アック]]を譲渡した上でニューディサイズを追撃してきたα任務部隊の足止めを行っている。
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=== ΖΖガンダム始動とマシュマー解任 ===
アーガマはシャングリラを出港し[[地球連邦軍の艦船及びその他の兵器#ラビアンローズ|ラビアンローズ]]と接触。アーガマの本格的な改修作業が実施される。同時に「Z[[Ζ計画]]の最終形にしてエゥーゴの最新鋭機[[ΖΖガンダム]]を受領する。一方、ビーチャとモンドはエンドラ隊に情報を漏洩。ZZΖΖのメインパイロットとなったジュドーの活躍もあり、マシュマーとその増援に来た[[機動戦士ガンダムΖΖの登場人物#キャラ・スーン|キャラ・スーン]]を撃退するが、戦闘中にジュドーの妹リィナを連れ去られてしまう。
 
一方、ネオ・ジオン側ではマシュマーの指揮官としての適正を疑問視する向きがあり、キャラは監督・叱咤目的、場合によっては指揮代行者として派遣されたのだった。結果、マシュマーは度重なる失態によりエンドラ隊から解任される。
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=== グラナダ寄港、ネオ・ジオン地球降下作戦 ===
7月8日、アーガマは月面都市グラナダで補給を受ける。エンドラ隊はキャラがアーガマの捕虜となったことで、結果的に副官から昇格した[[機動戦士ガンダムΖΖの登場人物#ゴットン・ゴー|ゴットン・ゴー]]が隊の指揮を担うことになる。ゴットンは現地工作員として雇った[[機動戦士Ζガンダムの登場人物#トーレス|トーレス]]の幼馴染み[[機動戦士ガンダムΖΖの登場人物#セシリア|セシリア]]を利用した作戦に及ぶが、結果的にエンドラ隊は自滅する。この戦闘の間にキャラが脱走し、ネオ・ジオンに復帰する。
 
ネオ・ジオンは、地球連邦本部のあるダカールに工作員を送り込み、事実上地球連邦議会は制圧されている状態だった。各コロニーの制圧をほぼ終えたネオ・ジオンは、ついに地球圏を完全に掌握するため地球への降下を画策する。これに対しエゥーゴはアーガマに追撃命令を下し、アーガマは[[バリュート]]を用いて地球へ降下する<ref>一方でエゥーゴは、ハマーン不在の隙を突いて[[機動戦士ガンダムΖΖの登場人物#メッチャー・ムチャ|メッチャー]]を司令官とするアクシズ攻略戦を開始するが、ネオ・ジオンの思わぬ反撃により失敗してしまう(『[[機動戦士ガンダムΖΖ外伝 ジオンの幻陽|ジオンの幻陽]]』)</ref>。
大気圏突入時に再調整されてジュドーを「敵」だと認識するプルが来襲。ジュドーはΖガンダムで迎撃するうちに大気圏に突入し、大気圏突入能力のないプルのキュベレイMk-IIを救助する。そしてプルはアーガマの捕虜、というよりジュドーたちの仲間になってしまった。
 
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降下したネオ・ジオンにより、地球連邦政府のある[[宇宙世紀の施設と地名#ダカール|ダカール]]は占拠された。グリプス戦役によって戦力が疲弊しきっていたエゥーゴと[[地球連邦軍]]はこれを食い止めることが出来ず、ネオ・ジオンは旧ジオン公国軍残党やティターンズ残党の一部をも配下に収める勢いを見せる。さらには、ミネバを担ぎ上げたパレードやパーティーを行い、力を見せ付けた。
 
一方、地球に降下したアーガマは、ダカールを挟撃しようとしている[[カラバ]]と合流するため待機。[[ガンダム・チーム]]は一足先に別行動を取ることとなる。ガンダム・チームは迂回中に、砂漠で[[一年戦争]]終結時よりザビ家復興を待ちつづけていた[[機動戦士ガンダムΖΖの登場人物#デザート・ロンメル|ロンメル]]隊と交戦、撃破してダカールに着く。ダカールでジュドーはリィナと再会するが、ハマーンの銃撃から盾となって庇ったリィナが負傷。出撃するジュドーを送り出すためリィナはプルに案内されて小屋に避難するが、撃墜機の落下爆発に巻き込まれたリィナが生死不明となってしまう。プルは“リィナの死”に責任を感じて酷く落ち込む。それ以上にジュドーの嘆きは大きかった。ガンダム・チームはリィナの捜索も充分にできないまま、アーガマとともにダカールを離脱する。
 
リィナの死からなかなか立ち直ることが出来ず、プルにも辛く当たるジュドーをルーは叱咤激励するが、他の仲間たちは最愛の妹を喪ったジュドーを気遣い、ルーの非情さを責める。孤立したルーはアーガマを脱走。彼女を追ったジュドーらは、フランク(白人)を排斥するアフリカ独立解放戦線、その分派「青の部隊」と交戦した後、ルーとともにアーガマに復帰。一方、乗艦ミンドラを撃沈されたグレミーは単身砂漠をさまよううちに「青の部隊」と合流、誇り高き彼らとの共闘の間にグレミーはいまだ根強くジオンを信奉する彼らにザビ家に連なる自身の血が目覚め、野心を抱くようになっていく。
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アーガマは、ダカール制圧前に脱出していた地球連邦高官たちに会うため[[宇宙世紀の施設と地名#ダブリン|ダブリン]]に向かう。「ネオ・ジオンにサイド3を与える事で和平交渉を結び、それに伴いアーガマも武装解除させる」と提案する高官に反発したブライトとジュドーは警備兵に取り押さえられ地下牢に閉じ込められる。ネオ・ジオンは、アーガマをおびき出すためダブリンに攻撃をしかけ、その混乱の最中、ブライトとジュドーはダブリン逗留中のファに偶然助けられる。
 
カミーユは静養先としてダブリンの病院に入院中だったが突如病院を抜け出し失踪。ファの依頼でカミーユ捜索を請け合ったガンダム・チームは[[機動戦士ガンダムΖΖの登場人物#アリアス・モマ|アリアス・モマ]]率いるMS隊に襲撃される。この際に出撃したプル、ジュドーらは不思議な声に導かれ、窮地を助けられる。声の主はいまだ精神が回復しておらず、自我を取り戻していないカミーユだった。更にカミーユは「空が墜ちてくる」とダブリンへの[[コロニー落とし]]を預言。事態を重く見たブライト、[[ハヤト・コバヤシ|ハヤト]]はアーガマと[[ガルダ (ガンダムシリーズ)#アウドムラ|アウドムラ]]による阻止作戦と住民避難を開始する。
 
10月31日、ネオ・ジオンは、自らの力を誇示するために[[コロニー落とし#ダブリンへのコロニー落とし|ダブリンへのコロニー落とし]]を決行<ref>漫画『[[機動戦士ガンダムΖΖ外伝 ジオンの幻陽|ジオンの幻陽]]』ではエゥーゴのアクシズ攻略戦に対する報復も含まれている。</ref>。
 
コロニー落着後、ネオ・ジオン所属の[[プルシリーズ#プルツー|プルツー]]([[サイコガンダム#サイコガンダムMk-II|サイコガンダムMk-II]]に搭乗)がアーガマを襲撃。プルは補修がままならないキュベレイMk-IIで出撃。ジュドーもZZΖΖで迎撃に当たるが圧倒的火力とリフレクター・ビットの攻撃に苦戦。ジュドーを護ろうと奮闘したプルは死亡。これに激昂したジュドーはバイオ・センサーの力でZZΖΖの出力を増幅してサイコガンダムMk-Ⅱを撃破する。分離した頭部で脱出するプルツーを目撃したジュドーは「プルがプルに殺された」という事実に衝撃を受ける。幸いにしてコロニーは原型を留めたまま突き刺さる形で落着したことや、住民避難が間に合ったことで大きな被害には到らなかった。だが、阻止作戦に尽力したハヤトが[[ガルダ_(ガンダムシリーズ)#アウドムラ|アウドムラ]]の特攻により戦死を遂げる。
 
コロニー落とし成功を知った後、ハマーンは宇宙へ戻る<ref>アニメ第37話冒頭で語られる。</ref>。
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アーガマをカラバに託し宇宙へ戻ったアーガマクルーたちに、新造戦艦[[ネェル・アーガマ]]が与えられる。しかしエゥーゴの上層部は「子供」という理由のみで、主力パイロットであるジュドーたちの退艦を命令。一方的な命令に不満を抱いたクルーたちは、ジュドーたちの指揮と艦長就任予定だったブライトの攪乱工作でネェル・アーガマを強制出航させ、[[サイド (ガンダムシリーズ)#サイド3(ムンゾ)|サイド3]]を目指す。
 
ブライトの狙いはアーガマ艦長として常に後方に不安を抱えた経験に基づき、増援部隊の指揮を担うことで自らが育成した熟練クルーの担うネェル・アーガマを後方支援することだった。[[機動戦士Ζガンダムの登場人物#ブレックス・フォーラ|ブレックス・フォーラ]][[シャア・アズナブル]]が率いていた頃とは違い、煮え切らず場当たり的な作戦プランに終始するエゥーゴは地球連邦軍との共闘状態になってもなお迷走が続いていた。
 
なお、ブライトに代わる艦長としてビーチャが艦長代理として実質的な艦長職に就任する。
 
=== タイガーバウムでの邂逅 ===
ネェル・アーガマはサイド3宙域でネオ・ジオンに襲われる難民船を救助する。だが、この船にはジュドーに興味を抱いていたハマーンが自ら潜入していた。ネェル・アーガマは手近な中立コロニー、[[サイド (ガンダムシリーズ)#サイド3(ムンゾ)|タイガーバウム]]に入港するが、そこで好色な総監<ref>40話での、スタンパの配下とジュドーらの会話から。</ref>[[機動戦士ガンダムΖΖの登場人物#スタンパ・ハロイ|スタンパ・ハロイ]]に女性メンバーとハマーンを含む女性難民を拉致される。ジュドーたちはスタンパが個人的に収集していた旧ジオンのMSでかつてのジュドーたちのような地元の不良少年[[機動戦士ガンダムΖΖの登場人物#ルナン、ヤン、アルビン、テラ、ミレアム|ルナン]]たちと協力して彼女達を取り返すが、そこで[[アッガイ]]を駆るハマーンと直接対峙、一戦を交える。
 
=== キケロ潜入 ===
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一連の作戦で戦局は大きくネオ・ジオン側に傾いていたが、ネオ・ジオンもまたサイド3市民の支持を得られない、サイド3への帰還を果たしたことでもともと不明瞭だった組織全体の目的が完全に失われるなど内部は磐石ではなく、ついにハマーンの傀儡支配体制への潜在的な不満が暴発し、グレミー・トトを中心にした内乱が勃発した。グレミーは小惑星アクシズを占拠して決起するが、グレミー側にもサイド3市民の支持や明確な目標はなく、両者は漫然とした消耗戦に突入した。なお、グレミーはプルツーを使いハマーンを抹殺しようとしたが失敗している。
 
数で劣るグレミー軍だが[[プルシリーズ]]のクローンニュータイプ部隊や[[機動戦士ガンダムΖΖの登場人物#ラカン・ダカラン|ラカン・ダカラン]]のような熟練パイロットにより戦力的には強力だった。ハマーンはこれに対抗するため、[[強化人間]]に改造したマシュマー、キャラを投入する。なお、グレミー軍で用いられたモビルスーツには、ハマーン軍との識別を目的として、いくつかの機体でグレーの塗装が施されている。
 
=== コア3潜入 ===
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混乱極まる中、ハマーン軍の拠点コア3はグレミー軍の拠点アクシズ及びその居住ブロックモウサが衝突して共に壊滅。ハマーン軍のマシュマー・セロ、キャラ・スーン、グレミー軍の[[キュベレイ#量産型キュベレイ|量産型キュベレイ]]部隊やラカン・ダカラン率いる[[ドーベン・ウルフ]]隊など、主だった戦力は相打ちで壊滅。プルツーを伴って[[クィン・マンサ]]で前線に出たグレミーはガンダム・チームに倒され、プルツーは重傷を負いながらもジュドーらに保護される。全てを喪ったハマーンはジュドーとの決着を付けるべく[[キュベレイ]]で出撃するが、壮絶な[[一騎討ち]]の末に敗れて散った。また、行方不明となったジュドー捜索に最期の力を振り絞ったプルツーも命を落とす。その後、主を失った旗艦サダラーンが連邦・エゥーゴ艦隊に投降した際、ミネバは[[影武者]]であることが判明する。
 
宇宙世紀0089年1月17日、ネオ・ジオンの自滅的敗北によるエゥーゴの勝利という形で第一次ネオ・ジオン抗争は終結した。ネオ・ジオン軍の多くは連邦軍に投降したが、この時期に地球連邦の実権を掌握していたのがエゥーゴであったため、彼らが冷遇されることは無かった。これは、地球連邦政府がスペースノイドに関心を持っていなかったことも影響している<ref>バンダイ『機動戦士ガンダムキャラクター大図鑑II巻』P37より。</ref>。結果的にブライトの目論見はその尽力ぶりに報われず、連邦・エゥーゴの増援艦隊の到着は戦闘終結後だった。ネェルアーガマとラビアンローズ(撃沈)だけが孤軍奮闘するという結果にジュドーは激怒し、エゥーゴ上層部を含む大人達への不満をブライトにぶちまける。ブライトは大人の代表としてジュドーの制裁を甘受。ジュドーにとって唯一の朗報はリィナが[[セイラ・マス]]の庇護で無事だったことだけだった。
 
== 戦後処理とその後の影響 ==