削除された内容 追加された内容
外国人(留学生)がなまはげとなる地区もあること等を追記
11行目:
== 概要 ==
秋田県の[[男鹿半島]]([[男鹿市]])、および、その基部([[山本郡]][[三種町]]・[[潟上市]])の一部において見られる伝統的な民俗行事またはその行事を執り行う者の様相を指す。200年以上の歴史を有する。男鹿市などの調査によると、2012~2015年において市内148地区のうち約80地区でナマハゲ(なまはげ)行事がある<ref name="記者の目">[https://mainichi.jp/articles/20190221/ddm/005/070/006000c 【記者の目】ナマハゲ ユネスコ無形文化遺産/観光と伝統 両立モデルに/秋田支局 川口峡]『[[毎日新聞]]』朝刊2019年2月21日(2019年2月25日閲覧)。</ref>。「男鹿(おが)のナマハゲ」として、国の[[重要無形民俗文化財]]に指定されているほか、「[[来訪神|来訪神:仮面・仮装の神々]]」の一つとして[[国際連合教育科学文化機関|ユネスコ]]の[[無形文化遺産]]に登録されている。異形の仮面をつけ、藁などで作った衣装をまとった「なまはげ」が、家々を巡って[[厄払い]]をしたり、怠け者を諭したりする。
 
男鹿市の[[真山神社]]では、なまはげが登場するある柴灯祭(せどまつり)を[[神事]]と位置付けている<ref>[http://www.namahage.ne.jp/~shinzanjinja/entry2.html 真山神社 特異神事](2019年3月16日閲覧)。</ref>([[#観光]]も参照)。
 
なまはげと[[#同様の行事|同様の行事]]は[[日本]]各地に広く分布し、男鹿半島からそれらに伝播したとの証拠も無い。しかし、何故そのようなことになったのかは不明だが、なまはげだけが圧倒的な知名度を得て、秋田県の[[記号]]になるまでに至った。その訴求力の大きさから、秋田県の観光PRに用いられるのは勿論、秋田県に関連する私企業でもモチーフにされたり、秋田県関連の物販・飲食店での[[オーナメント]]や[[余興]]の1つとされたりして、頻繁に用いられている。
19 ⟶ 21行目:
[[第二次世界大戦]]後は更に2週間ほど前倒しされた、グレゴリオ暦の[[大晦日]]([[12月31日]])に行われている<ref>[http://sai-jiki.jp/column/fuyu/kosyogatusetubun 小正月から節分の風習と神仏](Sai-Jiki 彩時記)</ref>。なお、太陰太陽暦の大晦日は、[[12月30日 (旧暦)|12月30日]]または[[12月29日 (旧暦)|12月29日]]である。
 
=== 伝統的習俗の衰退と対応 ===
{{Pie chart
| caption = 男鹿市148町内会の大晦日の「なまはげ」(2015年度)<ref name="kahoku20171229">[http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201712/20171229_43003.html 男鹿「なまはげ」担い手いねがぁ~ 実施町内会5割強に減](『[[河北新報]]』 2017年12月29日)</ref>
40 ⟶ 42行目:
家々を回る年中行事としてのなまはげを実施する集落は、かつては男鹿半島のほとんどだったが、[[少子高齢化]]の影響で、現在はほぼ半減している<ref name="kahoku20171229"/><ref name="Nikkei20130418">[https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1800R_Y3A410C1CC0000/ なまはげ伝承に「黄信号」 少子高齢化で担い手不足](『[[日本経済新聞]]』2013年4月18日)</ref>。男鹿市の調査によると、2015年までの25年間に行事が約35地区で行事が途絶えた<ref name="記者の目"/>。
 
本来、地区の未婚の男性がなまはげを務めるのが習わしだったが、高齢化と地区の人口減により担い手の若者が減ったため、既婚男性や高齢者、さらには帰省中の親族など地区外の者が務める例も見られるようになった<ref name="kahoku20171229"/><ref name="Nikkei20130418"/>。男鹿市の双六地区では、なまはげ役を県内にある[[秋田大学]]や[[国際教養大学]]の外国人留学生も務めることがある<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38364860Q8A131C1000000/ 「ナマハゲの継承に尽力 大切な文化、後世に」]日本経済新聞ニュースサイト、2018年11月30日掲載の[[共同通信]]配信記事、2019年3月16日閲覧。</ref>。また、なまはげの主な訪問先である子供がいる世帯が少子化により減少しているため、実施する動機の減退も見られる<ref name="kahoku20171229"/>。その他、[[年末年始]]に仕事があったり、旅行などで不在だったりと、住民の生活の変化もなまはげの衰退の要因になっている。
 
対策として[[2012年]]度([[平成]]24年度)より男鹿市は、なまはげを実施する[[町内会]]に補助金を出すようになったが、同市内の148の町内会のうち同年度、補助金を受けて6会がなまはげを再開したものの、半数近い71会が実施しなかった<ref name="Nikkei20130418"/>。[[2015年]]度(平成27年度)も69会が実施しなかった<ref name="kahoku20171229"/>。
 
男鹿市の[[羽立駅]]前地区では2018年大晦日に、女性がなまはげに扮することが検討されたが、見送りとなった<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASLDV3RW5LDVUBUB006.html 「女性のナマハゲ、実現せず/抵抗強く、雰囲気を察し辞退」][[朝日新聞]]DIGITAL(2018年12月31日)2019年2月13日閲覧。</ref>。
49 ⟶ 51行目:
男鹿半島には観光用に年中なまはげを体験できる施設「男鹿真山伝承館」がある。また、男鹿地区に限らず秋田県の観光・物産PR活動において歴史的な習わしを超えて用いられており、各地に常設・仮設を問わず立像も設置されるなど、秋田県を象徴する[[記号]]にもなっている。「なまはげは未婚男性」というしきたりがある地区出身の既婚男性が、観光行事でなまはげに扮するといった使い分けも行われている<ref name="記者の目"/>。
 
観光客を楽しませる目的で、なまはげを[[モチーフ]]とした新たな芸能も創作されている。[[昭和]]の[[高度経済成長]]期に見られた[[団体旅行]]を中心とした[[レジャー]]ブーム期には「なまはげ踊り」が、[[平成]]が始まる頃の[[バブル景気]]期にみられた[[リゾート]]ブーム期には「なまはげ[[太鼓]]」が創作された。これらは季節性や地域性の枠を超え、[[竿燈|秋田竿灯まつり]]や様々な物産展などへの参加に留まらず、単独公演も行っている。これらは旧来のなまはげとは異なり、[[#「鬼」化|「鬼」化]]した仮面を被っており、また、藁ではなく、破損しづらい[[毛糸]]や[[]]ひもで作った衣装を着て演舞を行う。
 
[[File:左利きらしきナマハゲ (42229868864).jpg|thumb|男鹿地区外にある秋田市の[[居酒屋]]の「なまはげショー」(2018年6月)。大晦日でも小正月でもない日時において、民家でもない店舗内で実施。]]
82 ⟶ 84行目:
[[本州]]北部の[[日本海]]沿岸部には、[[青森県]]西津軽のナゴメタクレ、秋田県[[能代市]]のナゴメハギ、[[秋田市]]のやまはげ、秋田県沿岸南部のナモミハギ、[[山形県]][[遊佐町]]の[[アマハゲ]]等がある。主に[[新潟県]][[村上市]]や[[石川県]][[能登半島|能登地方]]には[[あまめはぎ]]が伝えられ、[[福井県]]には[[語源]]は異なるが[[あっぽっしゃ]]などの呼び名でも分布する。
 
東北地方の[[太平洋]]沿岸部([[三陸海岸]])にも同様のものが存在する。[[岩手県]]では[[久慈市]]のナガミ、[[野田村]]・[[普代村]]・[[山田町]]のナモミ、[[釜石市]]のナナミタクリ、[[大船渡市]][[三陸町]]吉浜の[[吉浜のスネカ|スネカ]]、同市三陸町越喜来のタラジガネ、内陸に入って[[遠野市]]のナモミタクリやヒカタタクリ等がある。
 
[[四国]]の[[愛媛県]][[宇和島市|宇和島地方]]では、前述の低温火傷を「あまぶら」といって、あまぶらができるような怠け者が便所に入ると、「あまぶらこさぎ」という者があまぶらを取り去るという<ref>{{Cite book|和書|author=[[水木しげる]]|title=[[水木しげるの妖怪事典|水木しげるの続・妖怪事典]]|year=1984|publisher=[[東京堂出版]]|isbn=978-4-490-10179-9|page=136}}</ref>。
194 ⟶ 196行目:
*:[[2001年]]に開催された、秋田[[ワールドゲームズ2001]]での大会マスコット。終了後は、[[秋田信用金庫]]に譲渡されて、同信金のマスコットとして配布物に使われている。
* 男鹿なまはげーず
*:アニメ[[Wake Up, Girls!]]に登場した、秋田県の3人組女性[[ご当地アイドル]]ユニット。メンバー3人とも、鬼化した赤面を被った「ジジナマハゲ」を衣装とする。
 
=== なまはげと命名されたがなまはげではないもの ===
* [[1985年]]([[昭和]]60年)~[[2006年]]([[平成]]18年)の期間と[[2012年]](平成24年)からの期間に[[トヨタ・カローラ|トヨタ・カローラ→トヨタ・カローラアクシオ]]セダンの1300ccモデルをベースとした秋田県限定の[[特別仕様車]]「なまはげ」が販売された。
* 『[[ウルトラマンエース]]』第38話「復活! ウルトラの父」 に「[[ウルトラマンAの登場怪獣#伝説怪人 ナマハゲ|伝説怪人ナマハゲ]]」が登場する。
* ゲーム・アニメ『[[妖怪ウォッチ]]』に登場するキャラクターの1つに「なまはげ」がある。
219 ⟶ 221行目:
==外部リンク==
* [https://web.archive.org/web/20061231114524/http://www.namahage.ne.jp/namahage/oga/oga.htm 男鹿のなまはげ](2006年12月31日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])
* [http://www.namahage-oga.akita.jp/index.html (重要無形民俗文化財)男鹿のナマハゲ 2012 男鹿市教育委員会  生涯学習課  文化財班] {{ja icon}}{{en icon}}{{ru icon}}{{zh icon}} {{ko icon}} 2015-06-13閲覧。
* [http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1174001?tocOpened=1 秋田叢書 別集 第1(菅江真澄集 第1) 牡鹿乃寒かぜ]([[国立国会図書館]]デジタルコレクション) 452ページ
{{日本の無形文化遺産}}